医療 節税対策
各種制度の利用
小規模企業共済
毎月、個人事業主が将来の廃業に備え、将来の生活のため一定額(最高70,000円/毎月)を積み立てていく退職金制度です。 この共済金の掛け金全額を所得控除として所得から控除できます。 事業廃業後は共済金は一括(退職所得)もしくは分割(雑所得)で受け取ることができます。
掛金は全額所得控除になる他、共済金は一括なら退職所得、分割なら公的年金等の雑所得という扱いになるので有用です。
倒産防止掛金
取引先が倒産した場合、規定の金額の範囲内で資金の借り入れができる制度です。 掛金の100%を返還してもらうためには、40ヶ月以上の加入期間が必要です。
生命保険
従業員の生命保険に加入すれば、節税につながることはもちろん従業員の病気等に対するリスクヘッジになります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
老後の生活資金のために自分自身の判断で掛金を拠出し、運用資産(定期預金・投資信託など)を選定、運用しながら資産を形成する制度です。 掛け金(毎月68,000円まで拠出可能)は全額所得控除になります。
ふるさと納税
寄付金で2,000円を超える部分は、寄付した年の所得税・翌年の住民税から減額されるようになります。 節税ではありませんが、返礼品(寄付金の30%以内に相当)がもらえるのでその分が得です。 ただし限度額があるので慎重に金額を決めてください。

事業所得の必要経費
必要経費に該当する費用を認識し、計上漏れのないようにする必要がありますので下記の経費のうち特に医業に関連する費用はアンタ゜-ラインを表示致しますのでご参照下さい。
1 売上原価
| 期首棚卸 + 商品等の仕入 - 期末棚卸 |
*棚卸資産とは
| ①商品 |
| ➁材料 |
| ➂消耗機材 |
| ➃給食材料 |
| ⑤その他消耗品(貯蔵品に該当するもので毎年一定の購入の仕方の場合は棚卸を計算しないで購入額を必要経費に算入できる) |
2 租税公課
| ①事業用資産に対する固定資産税(生計を一にする親族の所有する事業用資産の固定資産税も含む) |
| ➁事業税 |
| ➂自動車税 |
| ➃事業用資産の登録免許税(登録により権利が発生する資産は取得価格算入) |
| ⑤事業用資産の不動産取得税 |
| ⑥事業所得の利子税 |
| ⑦消費税(税込み処理の場合) |
| *所得税、住民税、相続税、贈与税、延滞税、加算金等は必要経費にならない |
3 給料
従業員及びパ-ト従業員等に支払う給料、賞与及び退職金(以下給与等という)で、下記のように区分します。
| 区分 | 給料勘定に該当 | 勘定科目 |
| 社員に支払う給料等 | 〇 | 給料 |
| パート従業員に支払う給料等 | 〇 | 雑給 |
| 製造現場等で働く従業員に支払う給料等 | 〇 | 賃金 |
| 派遣社員に支払う給料等 | × | 外注費、人材派遣料等(給料には該当しません) |
| 青色事業専従者に支払う給料等(退職金は除く) | × | 青色事業専従者給与 |
4 青色事業専従者給与
概 要
所得税の場合、生計を一にする配偶者及びその他の親族に対する経費の支払いは原則的に必要経費に算入出来ませんが、青色申告承認申請書を提出して、承認を受け、かつ、青色事業専従者給与の届出書を提出することで、給与を支払い、必要経費に算入することが出来ます。
| 専従者の区分 | 内 容 |
| 配偶者の事業専従者給与 | 基本的には同規模事業者の専従者給与に相当する金額ですが、配偶者の勤務時間、資格などにより金額は相当幅広くなると思われます。 |
| その他の事業専従者給与 | 基本的に配偶者と同じ |
| 参考資料 | ちなみに国税庁「申告所得税標本調査結果」によれば令和2年度で専従者給与の額は単純平均で一人当たり平均222万円となっています。 |
青色事業専従者の要件
| ⑴生計を一にする親族でその年12月31日現在で年齢15歳以上であること |
| ⑵専ら青色申告者の事業に従事していること |
専従期間
専ら事業に従事するとは、その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を越えていることをいいます。ただし、次の様な場合には、事業に従事できる期間を通じて1/2を超えればよいことになっています。
| ① | 年の途中の開業等その事業が年中を通して行われなかった場合 |
| ② | 長期の病気などで専従者がその年中を通して事業に従事できない事情があった場合 |
| 注意 | 学生(夜間の学生を除く)、他でアルバイトをしている者、自分で事業をしている者等は専ら事業に従事する事が出来ませんので専従者にはなれません。 |
5 修繕費
詳細は別掲1修繕費をご覧ください
①事業用資産の通常の維持管理に要する費用は修繕費に該当します
➁その支出に資本的支出が含まれている場合は区分し修繕部分のみが修繕費になります
➂資本的支出と修繕費の区分
判定基準
| 判定基準 | 資本的支出 | 修繕費 |
| 支出金額が10万円未満 | ○ | |
| 3年周期の支出 | ○ | |
| 明らかに資本的支出 | ○ | |
| 30万円未満 | ○ | |
| 取得価格の10%以下 | ○ | |
| 割合区分による方法 | 支出金額 - 修繕費 | ①支出金額の30% ➁取得金額の10% ①と➁の少ない金額 |
| 実質により判定 | 資本的支出の場合 | 資本的支出でない場合 |
6 旅費交通費
| ①従業員の通勤費 |
| ➁本人の通勤費(社会通念上妥当な額) |
| ➂同業者会の参加費(事業の遂行の必要な費用) 学会等の研修会参加費 |
| ➃海外への渡航費(事業の遂行に直接必要な費用) |
7 交際接待費
①交際費とは、取引先や仕入先その他事業に関係する者に対して、接待、供応、慰安、贈答等のために支出する費用をいいますが、もっぱら事業の運営上必要な経費かどうかにより判断します。 もし公私を混同して、家族との食事や事業に関係ない人とのゴルフなど私的な支出を交際費として処理しまい、それが税務調査で否認された場合、医師としての社会的信用を失墜しますので注意が必要です。
(注1) 医療、経営等の情報交換のため医師同士等の会合、ゴルフ代は交際費に該当しますので詳細な情報を保存する必要があります。 なおゴルフ会員権を購入した場合はゴルフ会員権として資産計上する必要があり、必要経費に該当しません。
➁冠婚葬祭費は原則交際費にはならない(従業員に対する分は福利厚生費として必要経費に該当する)。
8 保険料
| ①事業用建物(事業部分のみ)、事業用資産に対する火災保険 |
| ➁従業員に対する生命保険で定期保険の掛け金 |
| ➂従業員に対する傷害保険の掛け金 |
| ➃従業員に対する労災保険の保険料 |
| ⑤従業員に対する社会保険の事業主負担分 |
| *所得補償保険は必要経費になりません |
9 減価償却費
概 要
事業用資産(取得価額が10万円以上の物)の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却費が必要経費になります。 医業の場合に車輛を購入したときは、どの程度事業に使用しているか判断し、償却割合を決める必要があります。
特 例
各種特例計算
| A 青色申告者に対する30万円未満の少額特例(所定の手続きにより全額必要経費に算入) |
| B 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分 |
| C 機械等の特別償却費は普通償却費に加算 |
| D 償却費は強制償却(該当年の償却費はその年の必要経費) |
| E 生計を一にする親族の所有する事業用資産の償却費は本人の必要経費になります(ただし対価を支払っても必要経費に算入することが出来ません) |
| F 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます |
リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
| 区分 | 処理方法 |
| 所有権移転ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約) | リース料の総額を取得価額に算入し法定耐用年数の期間で償却する |
| 所有権移転外ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約) | リース料の総額を取得価額に算入しリース期間定額法で償却する(ただし中小企業の場合は一定の条件のもと例外的に支払時に必要経費に算入することが出来る) |
| オペレ-ティングリ-ス(途中でキャンセルが出来る契約) | リ-ス料を支払時に必要経費に算入する |

10 繰延資産
①繰延資産とは個人が支出する費用のうちその効果が支出の日以後1年以上に及ぶ次に掲げるもので10万円以上のもの(前払費用は除く)
A 開業費
事業を開始するまでの期間に支出する広告宣伝費、接待費、旅費、土地建物の賃借料、電気、水道、ガス等の費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
B 開発費
新たな技術、新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓のために特別に支出する費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
C その他
| 種類 | 細目 | 償却期間 |
| 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合 | その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
| 〃 | (2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合 | その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数 |
| 共同的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設がその負担者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合 | イ 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の7/10に相当する年数 ロ 土地の取得に充てられる部分の負担金については、45年 |
| 〃 | (2) 商店街等における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん灯等負担者の共同の用に供されるとともに併せて一般公衆の用にも供されるものである場合 | 5年(その施設について定められている耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数) |
| 建物を賃借するために支出する権利金等 | 1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上にその建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合 | その建物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
| 〃 | (2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになってい | その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数 |
| 〃 | (3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合 | 5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)相当する年数 |
| 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用 | その機器の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間) | |
| ノウハウの頭金等 | 5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数) | |
| スキー場のゲレンデ整備費用 | 12年 | |
| 出版権の設定の対価 | 設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年) | |
| 同業者団体等の加入金 | 5年 | |
| 職業運動選手等の契約金等 | 契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年) |
11 その他の費用
① 貸倒損失
別掲2 貸倒損失を御参照下さい
得意先が行方不明、資産状況から回収不能が明らかな場合はその債権を貸倒処理することが出来ます
➁ 損害賠償金
事業に関する損害賠償金は故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➂ 従業員の行為によって支払う侵害賠償金
従業員の行為に対して事業主に故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➃ 従業員の交通反則金
事業に関連して従業員の交通反則金を支払った場合も必要経費になりません(所得税法では罰金、科料、過料は必要経費になりません)。 事業に関係しない場合は従業員対する給与として必要経費になります。
⑤ 研究費
事業に直接必要な研究、研修費用は必要経費になります(図書費、学会等の参加費等)
⑥ 貸倒引当金
必要経費算入限度額 = 年末の貸金等の額(社会保険診療報酬の未収分も含む) × 55 ÷ 1000