相続 保管証書遺言の新設

  • 1 (保管証書遺言) デジタル技術を利用してパソコンやスマホ等で作成した遺言の全文が記載または記録された証書(文書でも電子デ-タ-でも可)を、法務局の関与のもとで遺言書保管官の前で遺言内容の全文を口述すること、又はウェブ会議を利用して遺言書保管官に全文を口述するということにより本人確認を行い、法務局にデータ等で保管してもらう新しい遺言制度で、正式名称は「保管証書遺言」といいます。 これまでの(自筆証書遺言)や(公正証書遺言)に追加された、新しい選択肢として民法に新設されました(新民法第967条・第968条の2・第968条の3)。
  • 2 (閲覧請求等) 遺言者本人は保管された遺言の閲覧請求等ができ、死亡後は相続人等が保管の有無の証明や内容の閲覧請求をすることができます。また、相続人等の一人に閲覧等をさせた場合には、他の相続人等にも保管の旨が通知される仕組みが予定されています。
  • 3 (撤回等) さらに、保管証書遺言については、保管の申請をいつでも撤回できるものとされており、その場合は遺言自体を撤回したものとみなされます。 
  • 4 (施行予定日) この法律は2026年6月17日に国会で成立しましたが、保管証書遺言の制度は「公布の日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日」から施行と規定されています。 現時点(2026年6月17日)ではまだ利用できません。

現状の自筆証書遺言の条件として、民法968条に遺言者がその全文、日付、氏名を自書し、これに押印しなければならないとされており、一部の例外として財産目録の全文又は一部の目録のみをパソコン作成したものや通帳コピー等の添付が認められるとされています。 この自書するという条件が高齢者にとってハードルが高くて、実際に利用しにくいとの評判がありました。 これを改善するために、今般法務省より[遺言制度の見直しに向けた検討]が示されました。 改正後は自筆証書遺言作成の為の労力の軽減化と遺言書保管制度の利用と合わせてその利用が広がっていく可能性も予想されますのでその内容を下記にご紹介させていただきます。

(現在の法律)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

遺言書の比較
区分保管証書遺言自筆証書遺言自筆証書遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言書公正証書遺言秘密証書遺言
メリット比較的費用がかからない、自書する負担が減少する費用がかからない比較的費用がかからない遺言書は基本的に無効になることがない遺言内容が秘密にできる
デメリット法務局に行く、またはWEB会議で口述する必要あり遺言書が無効になるリスクがある
遺言書の目録以外を自書する必要がある
無効になるリスクがあるが、法務局に保管申請時に適合するかどうかの外形的チェックを受けることが出来るので無効になるリスクは軽減できる。 費用がかかる。 財産の評価額により異なる無効になるリスクがあり、費用がかかる。 
発生費用安価基本的にゼロ保管料は1通につき3900円書類作成費と法定費用11000円
相続発生時に発見されるかどうか発見されやすい自宅で保管しているので、保管状況次第で発見されにくいこともある発見されやすい発見されやすい遺言書を作成したことは証明されるが、保管状況次第で発見されにくいこともある
証人不要不要不要二人二人
作成方法パソコン等で書類又は電子データ-作成し法務局で口述等する自分で作成する手間がかかるが、内容が簡単でありば早く作成できる可能性がある自分で作成する手間がかかり、かつ法務局に預ける手間ががかる公証役場に行く必要と必要書類を集める必要があり、比較的手間がかかる遺言書を作成する手間と、公証役場に行く必要があり、比較的手間がかかる
家庭裁判所の検認不要必要 不要不要必要
遺言書の保管法務局自分で保管法務局公証役場自分で保管