法人 低額譲渡
低額譲渡
低額譲渡の課税関係
低額譲渡とは時価よりも低い価額で資産を売却することです。 租税回避を目的として親族間等で行われることが多いこの低額譲渡を放置することによって、課税の公正さが損なわれます。 その為に所得税、法人税及び贈与税においてこの租税回避を防ぐための各種税制が設けられていますので下記をご参照下さい。
(低額譲渡に対する課税関係)
| 番号 | 取引相手 | 売り手 | 買い手 | ||
| 税目 | 課税対象 | 税目 | 課税対象 | ||
| 1 | 個人→個人 | 所得税 (譲渡所得) | 譲渡対価による譲渡所得 | ⑴贈与税 (みなし贈与) 著しく低い価額による売却の場合 | 取得金額と時価との差額 |
| ⑵贈与税課税なし 相続税評価額による売買の場合 (時価の80%の価額は著しく低い価額による売却に該当しない。 ただし相続税評価額が時価の80%以下の場合は⑴による課税もあるとの判決) 参照判例-東京地方裁判所平成18年(行ウ)第562号贈与税決定処分取消等請求事件 | なし | ||||
| 2 | 個人→法人 | 所得税 (みなし譲渡所得) 時価の2分の1未満で譲渡した時 | 時価よる譲渡とみなし、時価で計算した譲渡所得 | 法人税 (受贈益) | 取得価額と時価との差額 |
| 3 | 法人→個人 | 法人税 (売却損益・寄附金or給与) | 時価よる譲渡で差額も課税し、差額を寄附金又は給与(一部損金に算入されない) 寄附金/売却益 給与/売却益 | 所得税 一時所得―雇用関係がない場合 給与所得―雇用関係がある場合 | 時価よる譲渡として差額を一時又は給与で課税 |
| 4 | 法人→法人 | 法人税 (売却損益・寄附金) | 時価よる譲渡で差額も課税し、差額相当額を寄附金に計上 寄附金/売却損益 | 法人税 (受贈益) 資産/雑収入 | 取得価額と時価との差額 |
売主が個人の場合
(個人→個人の場合)
売主の個人
所得税では、実際の譲渡価額を収入金額として譲渡所得税が課せられます。 この場合、譲渡価額が時価の2分の1未満の場合には譲渡損失が生じてもなかったことになり、他の所得との損益通算が出来ないことになります。
買主の個人
買主は、その譲渡価額が時価よりも著しく低い価額にあたる場合には、時価と譲渡価額との差額についてみなし贈与として贈与税の課税対象となります。
(注1) 譲渡価額が時価に比べて低い価額であっても、その譲渡価額が時価よりも著しく低い価額にあたらない場合にはみなし贈与課税の対象となりません。
(注2) 譲渡価額が時価の2分の1未満の場合には、買主は売主の取得時期及び取得価額を引き継ぎます。
著しく低い価額」の定義
著しく低い価額」の定義が贈与税に明確に規定されていません。 この場合に比較される時価とは不特定多数者間の自由な取引によって決まる価額とされていて、個別に個々の取引の事情等を総合的に勘案し判断することになっていますます。 現在、土地については判例で相続税評価額による売買価額(時価の80%以上)は著しく低い価額に該当しないとの判例があり、また非上場株式の場合において時価の4分の3以上(時価の75%以上)が著しく低い価額に該当しないとの判例がありますが、一つの目安にはなると思われますが課税庁が著しく不適当と考える場合には総則6項の適用がある可能性もあり絶対的な基準ではありませんので注意が必要です。
(注1) 東京地方裁判所平成18年(行ウ)第562号贈与税決定処分取消等請求事件
(注2) 昭和53年5月11日の大阪地方裁判所の判決で「4分の3未満の額を指すと解するのが相当」という判示
(個人→法人場合)
売主の個人
所得税では、原則、譲渡によって得た対価である収入額に対して課税することになっています。
しかし譲渡価額が時価の2分の1未満である譲渡は時価(通常の取引価格、この場合非上場株式は取引市場がないため、一般的に相続税評価額を時価とします)による譲渡があったものとみなされ譲渡所得税が課されます。
(注1) 時価の2分の1以上の価額で譲渡した場合、みなし譲渡には該当しないことから、実際の取引価額により譲渡所得を計算します。
買主の法人
時価と取得価額の差額について受贈益として課税されます。
(注1) 同族会社で、低額譲渡によりその法人の株式の価額が増加した場合には、その増加した部分について財産を譲渡した者から贈与を受けたものとして株主(支配株主)に贈与税(個人の譲渡者からの利益供与とみなされる場合)または所得税等(法人の譲渡者からの利益供与とみなされる場合)が課税される場合があります。
売主が法人の場合
(法人→個人の場合)
売主の法人
法人は資産を譲渡した場合、譲渡金額に関係なく時価で譲渡したとみなされ法人税が課税されます。
(時価と譲渡価額の差額の処理の仕方)
| 買主の個人と法人との関係 | 差額の処理 | |
| 雇用関係等がない場合 | 寄付金 (一部又は全部損金不算入の可能性あり) | |
| 雇用関係等がある場合 | 一般の社員 | 給与 |
| 法人の役員 | 役員賞与 (全部損金不算入の可能性あり) | |
買主の個人
時価と譲渡価額との差額について一時所得又は給与、役員報酬(給与所得)として所得税が課税されます。 これは、譲渡価額が著しく低い価額による譲渡のみならず、時価よりも低い場合(無償を含みます)に適用されます。
| 買主の個人と法人との関係 | 所得の種類 | |
| 雇用関係等がない場合 | 一時所得 | |
| 雇用関係等がある場合 | 一般の社員 | 給与所得 |
| 法人の役員 | 給与所得→役員賞与に該当 | |
(法人→法人の場合)
売主の法人
法人は資産を譲渡した場合、譲渡金額に関係なく時価で譲渡したとみなされ法人税が課税されます。
買主の法人
時価と譲渡価額の差額について、売主から贈与を受けたものとして、買主に法人税が課税されます。
(注1) 買主の法人が同族会社である場合、低額譲渡により買主の株式の価額が増加した場合には、その増加した部分について、買主の株主に対して贈与税(売主の株主からの利益供与とみなされる場合)または所得税等(売主の法人からの利益供与とみなされる場合)が課税されます。