法人税
法人税―退職給与引当金
退職給与引当金の概要
原則、会計上は正確な期間損益を計算するため退職給与引当金を計上する必要がありますが、現在の法人税法上は退職給与引当金の繰入額は損金算入が認められていません。 以前は期末時点の退職給与規定に基づき計算された要支給額の一定額までは損金算入が認められていましたが、平成14年の改正により損金不算入となりました。 同時に経過措置としてこれまでの退職給与引当金の取崩を10年にわたって処理することになりました。 これは法人が実際に使用人の退職時に退職金を支給しなかったり、少なく支払ったりすることがあり、社内留保による退職引当金に本当に負債性があるかどうかという問題が浮上したため等、これらを是正するためにこの様な改正になりました。 したがいまして現在では従業員の退職金を実際に支給した時に損金算入が原則ですが、この欠点を補うため、その退職金及び年金の準備のため下記の様な制度があり、その掛け金は法人の支払い時に損金算入されますので、ご利用されることをお勧めいたします。
退職金等支払準備のための制度
区分 | 確定給付企業年金 | 企業型確定拠出年金* | 中小企業退職金共済(中小企業のみ加入可) |
種別 | 企業年金 | 企業年金 | 共済 |
受給額 | 運用成績により金額が変動しない | 運用成績により金額が変動する | 運用成績により金額が変動しない |
受取り方法 | 一時金又は年金 退職後に受取り可能 | 一時金又は年金 但し、原則60歳以上に制限 | 一時金又は分割払い 退職後に受取り可能 |
運用方法 | 一般的に資産運用機関などが委託運用 | 加入者自身が行う | 機構が行う |
加入対象者 | 役員も加入可 (厚生年金保険被保険者) | 役員も加入可 (厚生年金保険被保険者) | 従業員のみ加入可 (要全員加入) |
確定給付企業年金とは
確定給付企業年金には下記の2種類があります。
種 類 | 区 分 | 内 容 |
基金型 | 単独型 | 企業が厚生労働大臣の認可を受けて企業年金基金(特別法人)を設立し、確定給付企業年金事業を行う |
複数事業主型 | 企業が複数の事業主が共同で企業年金基金(特別法人)を設立又は加入し、確定給付企業年金事業を行う | |
規約型 | 企業が主体となって、確定給付企業年金事業を行います。 実際の運用は信託会社や生命保険会社などに任せることも出来ます。 |
企業型確定拠出年金とは
確定拠出年金には下記の2種類があります。
区 分 | 内 容 | |
個人型確定拠出年金 | 個人で掛金を支払う「個人型」確定拠出年金 | |
企業型確定拠出年金 | 規約型 | 企業が生命保険会社もしくは信託会社(生命保険会社等)と契約をし、企業は規約にもとづいて定期的に掛金を拠出し、生命保険会社・信託会社が年金資産を管理・運用し、年金給付を行います。 |
基金型 | 企業が法人格を持った企業年金基金を設立し、基金が、管理・運用・給付を行う企業年金制度です。 |
中小企業退職金共済とは
中小企業のために設けられた退職金制度で、独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営を行っています。 従業員が退職した場合、退職金は中小企業退職金共済から直接従業員に支払われます。
中小企業退職金共済(中退共)に加入できる企業の条件
この制度に加入できるのは、次の企業です。 ただし、個人企業や公益法人等の場合は、常用従業員数(一週間の所定労働時間が同じ企業に雇用される通常の従業員とおおむね同等である者であって、雇用期間の定めのない者、雇用期間が2か月を超えて使用される者を含みます。)によります。
業種 | 常用従業員数 | 資本金・出資金 | |
---|---|---|---|
一般業種(製造業、建設業等) | 300人以下 | または | 3億円以下 |
卸売業 | 100人以下 | または | 1億円以下 |
サービス業 | 100人以下 | または | 5千万円以下 |
小売業 | 50人以下 | または | 5千万円以下 |