消費税

(記事は概要を記載していますので詳細は当事務所にお問い合わせ下さい)

(札幌市 北海道大学ポプラ並木)

Table of Contents

納税義務者

原 則 

事業者は国内において行った課税資産の譲渡等につき消費税の納税義務がある。

小規模事業者に係る納税義務の免除

基準期間における課税売上高が1千万円以下である者。

基準期間

個人事業者その年の前々年
法人その事業年度の前々事業年度

 

課税売上

課税資産の譲渡等の税抜き対価の合計額から売り上げに係る返還等の税抜価額の合計を控除した金額(ただし基準期間が免税事業者の場合は税込み金額)。 尚、基準期間が1年未満の法人はこれを1間に換算した金額。

(北海道美瑛 青い池)

消費税の簡易課税制度

中小事業者の仕入れに係る消費税額の特例計算

簡易課税選択届出書の届出及び効力

事業者(基準期間の課税売上金額が5000万円以下の事業者に限る)が納税地の所轄税務署長に簡易課税選択届出書を提出した場合はその提出した日の属する課税期間の翌課税事業年度以後の課税期間に簡易課税制度が適用される。ただしその提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間の場合はその提出した日の属する課税期間以後の課税期間について簡易課税制度が適用されれる。

*ただし簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間が分割等に係る課税期間であるときはこの規定は適用されない。

*調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合には届出の期間制限等別途定めがある

計算方法

課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は原則によらず次の計算より算出した金額とする

(課税標準に対する消費税額 - 売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税の合計額) × みなし仕入率

みなし仕入れ率及び事業区分

⑴ 1事業のみを営む場合
①第一種事業 90%  (卸売業 *仕入た商品を加工しないで他の事業者に販売する事業)                  
➁第二種事業 80%  (小売業 *仕入れた商品を加工しないで販売する事業)            
➂第三種事業 70%  (製造業 *建築業等 卸売業、小売業、役務の提供をおこなう事業を除く 事業)      
➃第四種事業 60%  (➀から➂及び⑤⑥以外の事業 )                          
⑤第五種事業 50%  (サ-ビス業 *金融、保険、サ-ビス業(飲食店を除く)等で➀~➂の事業を除く事業)         
⑥第六種事業 40%  (不動産業)       
⑵ 2以上の事業を営む場合

➀原則

第一種事業の消費税額×90%+第二種事業の消費税額×80%+第三種事業の消費税額×70%+第四種事業の消費税額×60%+第五種事業の消費税額×50%+第六種事業の消費税額×40%   の合計額

                   ÷          売り上げに係る消費税額

➁特例 

 2以上の事業を営む場合で特定1事業の課税売上割合が75%以上である場合、その特定1事業の仕入れ率で計算できる

 3以上の事業を営む場合で特定2事業の課税売上割合が75%以上である場合下記の算方法によることもできる

仕入れ率の高い事業の消費税額×その仕入率+[(売り上げに係る消費税-高い事業の消費税額)]×仕入率の低い事業の仕入率の合計額

                   ÷         売り上げに係る消費税額

⑶ 事業区分をしていない場合

 事業を区分していない課税資産の譲渡等は区分をしていない事業のうち仕入率の最も低い事業に係るものとする

選択不適用の届出及び効力

⑴届出書の提出

簡易課税制度の適用をやめようとする場合又は事業を廃止した時は、簡易課税制度選択不適用届出書をその納税地の所轄税務署長にに提出しなければならない

⑵届出の制限

事業者は事業を廃止した場合を除き簡易課税制度が適用されることとなった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ簡易課税制度選択不適用届出書を提出することができない

⑶届出書の効力

簡易課税制度選択不適用届出書の提出があったときは、その提出した日の属する課税期間の翌課税期間より簡易課税制度選択届出書はその効力を失う

届出に関する特例

簡易課税制度の適用を受けようとする事業者が、災害その他やむを得ない事情があるため所定の日までに提出できなかった時に、提出の日の属する課税事業年度の翌課税事業年度から適用を受ける場合で納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは簡易課税制選択届出書をその課税期間の初日の前日に提出したものとみなされます。 又事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間である場合は納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは簡易課税制度選択届出書をその課税期間の末日に提出したものとみなされます。 この承認を受けようとする事業者は簡易課税制度選択適用に係る特例承認申請書を提出しなければなりません

*簡易課税制度選択不適用届出書についても同様に扱われます

(宮崎県宮崎市 青島)

インボイス制度の概要

インボイス制度の概要について、次のとおりとなります。(国税庁HPより)

適格請求書(インボイス)とは、

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

インボイス制度とは、

<売手側> 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。<買手側> 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

令和5年度税制改正関係

1.「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)」の概要

(1)  インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方については、仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができます(いわゆる2割特例)(28改正法附則51の2①②)。

⑵ 2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方が対象です。
 したがって、基準期間における課税売上高が1千万円を超える事業者の方、資本金1千万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者の方等、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や、課税期間を1カ月又は3カ月に短縮する特例の適用を受ける場合などについては、2割特例の対象とはなりません。

(3)  2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

(4)  2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます(28改正法附則51の2③)。
 また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。

2割特例を適用できる期間

 2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

(免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受ける場合)
 令和5年分(10月から12月分)の申告から令和8年分の申告までの計4回の申告が適用対象範囲となります。

(免税事業者である3月決算法人が令和5年10月1日から登録を受ける場合)
 令和5年10月から令和6年3月の申告から令和8年期の申告までの計4回の申告が適用対象範囲となります。

2割特例を適用するに当たっての注意点

(1)  2割特例は、免税事業者(消費税課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)がインボイス発行事業者となる場合(注)にインボイス発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、適用することができます(28改正法附則51の2①)。

(注) 課税事業者がインボイス発行事業者となった場合であっても、当該インボイス発行事業者となった課税期間の翌課税期間以降の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

なお、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間であっても、以下の場合は、2割特例の適用を受けることはできません。

① 消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間(当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間を含みます。)

② 令和5年10月1日より前から消費税課税事業者選択届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間

その他、2割特例の適用ができない課税期間の詳細については、インボイスQ&A問112≪2割特例の適用ができない課税期間①≫(PDF/5.19MB)及び問113≪2割特例の適用ができない課税期間②≫(PDF/5.19MB)を参照してください。

(例:令和4年12月に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となった個人事業者)

※  上記のように令和4年中に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となった事業者については、令和5年10月1日より前から消費税の課税事業者であることから、2割特例の適用を受けることができません。そのため、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出した事業者の方で、消費税課税事業者選択届出書の提出により令和5年10月1日を含む課税期間から課税事業者となる事業者については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することにより、消費税課税事業者選択届出書の効力を失わせる措置が設けられています(28改正法附則51の2⑤)。
 これにより、上記例の場合、令和5年12月31日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、令和5年1月から9月分の納税義務が免除されることになり、令和5年10月1日からインボイス発行事業者(課税事業者)となりますので、2割特例を適用することができるようになります。

(2)  2割特例の適用に当たっては、消費税の申告を行う都度、適用を受けるかどうかの選択が可能ですが、申告する課税期間が2割特例の適用対象となる課税期間である必要があります。
 2割特例は、インボイス発行事業者の登録がなかったとしたならば、消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間を対象としていますので、例えば、基準期間における課税売上高が1千万円を超えるような課税期間については適用することはできません(28改正法附則51の2①)。
 また、上記例のように、令和4年中に「消費税課税事業者選択届出書」と合わせて「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となったことにより令和5年分について2割特例の適用を受けることができない事業者においても、令和4年分の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、令和6年分について2割特例を適用することができます。

(3)  2割特例は、一般課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、適用することが可能です。そのため、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していたとしても、申告の際に2割特例を適用することが可能です。

2. 「2割特例」後に簡易課税制度を選択する場合

 免税事業者がインボイス発行事業者の登録申請を行った場合には、登録を受けた日から課税事業者となることができる経過措置が設けられており(28改正法附則44④)、この経過措置の適用を受ける場合、登録開始日を含む課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出することにより、その課税期間から簡易課税制度を適用することができます(30改正令附則18)。

2割特例を適用した課税期間後の簡易課税制度の選択

 2割特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、消費税簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます(28改正法附則51の2⑥)。

少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)の概要

1 少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。これは取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、免税事業者であっても同様です(28改正法附則53の2、30改正令附則24の2)。

※ 少額特例は、少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存を不要とするものであり、インボイス発行事業者の交付義務が免除されているわけではありませんので、インボイス発行事業者は課税事業者からインボイスを求められた場合には交付する必要があります。

2 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が、適用対象者となります。
 特定期間における課税売上高については、納税義務の判定における場合と異なり、課税売上高に代えて給与支払額の合計額による判定はできません。

(注1) 「基準期間」とは、個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度のことをいいます。

(注2) 「特定期間」とは、個人事業者については前年1月から6月までの期間をいい、法人については前事業年度の開始の日以後6月の期間をいいます。

3 少額特例は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間となります。

(注) 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う課税仕入れが適用対象となりますので、たとえ課税期間の途中であっても令和11年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例の対象とはなりませんので、仕入税額控除を受けるためには、原則として、インボイスと一定の事項を記載した帳簿の保存が必要となります。

税込1万円未満の判定単位

 少額特例は税込1万円未満の課税仕入れが適用対象となります。
 「税込1万円未満の課税仕入れ」に該当するか否かについては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)が1万円未満かどうかで判定するため、課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
 したがって、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入した場合(合計12,000円)には、少額特例の対象とはなりません。

少額な返還インボイスの交付義務免除の概要

1 インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻しなどの売上げに係る対価の返還等を行った場合には返還インボイスの交付義務がありますが、その金額が税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されます(新消法57の4③、新消令70の9③二)。
 例えば、売手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合には、通常、当該振込手数料相当額は1万円未満となりますので、当該売上値引きに係る返還インボイスの交付義務が免除されます。

(注) 売手が負担する振込手数料相当額を、課税仕入れとして処理している場合には金融機関や取引先から受領するインボイスが必要となります。
 なお、売手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることもできますが、この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うことから、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載する必要があります。
 この点、支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられます。

2 インボイス制度開始日である令和5年10月1日以降の課税資産の譲渡等につき行う売上げに係る対価の返還等について適用され、適用期限や適用対象者について特段の制限はありません。

登録制度の見直しと手続の柔軟化に関する概要

免税事業者の登録手続

 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間において、令和5年10月2日以後にインボイス発行事業者となる場合には、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載する必要があります(30改正令附則15②)。
 この場合、税務署長は当該登録希望日により登録をすることになります。
 なお、実際に登録が完了した日が、登録希望日後であっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされます(30改正令附則15③)。

翌課税期間の初日から登録を取りやめる場合の取消届出書の提出期限の見直し

 翌課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を取りやめる場合の「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限について、取りやめる課税期間の初日から起算して15日前の日までに変更されました。

(岐阜県郡上市 郡上踊り会場-新町通 )

電子帳簿保存法の概要

(一部国税庁HPより)

1. 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等の制度の概要 

電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。

(1) 国税関係帳簿書類の保存義務者(以下「保存義務者」といいます。)は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4①)。

(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➁)。

注1 「保存義務者」とは、国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいいます(電子帳簿保存法2四)。

注2 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいいます(電子帳簿保存法2三)。具体的には、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等の記録媒体上に、情報として使用し得るものとして、情報が記録・保存された状態にあるものをいいます。

(電子取引の範囲)

電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。

番号内容
1いわゆるEDI取引
2インターネット等による取引
3電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
4インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引

(参考1)電子帳簿保存時の要件
(参考2)電子帳票システム別の対応関係

2. 国税関係帳簿書類のCOMによる保存等の制度の概要

(1) 保存義務者は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及びCOMの保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5①)。

(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➁)。

(3) 国税関係帳簿書類の電磁的記録による備付け及び保存をもって書類の保存に代えている保存義務者は、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➂)。

(注) 「COM」とは、電子計算機を用いて電磁的記録を出力することにより作成するマイクロフィルムをいいます。電子帳簿保存法では、「電子計算機出力マイクロフィルム」という用語で定義されています(電子帳簿保存法2七)。

3. スキャナ保存制度の概要

⑴ 保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除きます。)の全部又は一部について、その国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により、電磁的記録に記録する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➂)。


⑵ 国税関係書類のうち、財務省令で除かれるものとしては、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類が定められています(電子帳簿保存法規則2➃)。


⑶ 国税関係書類に記載されている事項を電磁的記録に記録する財務省令で定める装置として、スキャナが定められています(電子帳簿保存法規則2⑤)。

4. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の概要

 所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています(電子帳簿保存法7)。

5. 個人及び中小企業の具体的対応

電子帳簿等保存及びスキャナ保存については、保存義務者が書面で保存するかデータで保存するかを決められるため、いままで通りでも問題ありません。

電子取引データ保存は、2024年1月から適用されますので、 検索機能の確保に対応したソフトの導入か、 検索機能の確保ができる検索簿等を作成するかの事前準備が必要です。 また真実性の担保については、タイムスタンプ等の導入は経費がかかりますので、不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」に準拠した事務処理規程(国税庁のホームページからダウンロードすることができます。)を作成することをお勧めいたします。

規定集のサンプル

JIIMA認証情報リスト(適合ソフトの情報)

 令和3年度税制改正前においては、電子帳簿保存、電子書類保存及びスキャナ保存制度に関して、申請者の予見可能性を向上させ、またその手続負担を軽減させる観点から、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下、「市販のソフトウェア等」といいます。)を対象に、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の確認(「認証」)を受けたものを利用する場合については、承認申請書の記載事項や添付書類を一部省略することを可能としていました(令和元年(2019年)9月30日以後に行う承認申請から適用。)。
 また、電子取引についても、予見可能性向上の観点から、同様にJIIMAによる市販ソフトウェア等の認証制度が設けられています。

 令和3年度税制改正において事前承認制度は廃止となりましたが、保存義務者の予見可能性を確保する観点や優良な電子帳簿の普及促進の観点から、引き続き認証を受けた市販のソフトウェア等について、以下のリンク(JIIMA公式サイト)に掲載されていますので、ご確認ください。

要件適合性に関する事前相談窓口(自前で作成する場合)

 電子帳簿等保存制度を利用するため、各企業等において受託開発されるシステムや自社開発のシステムを対象に、電子帳簿保存法における要件適合性に関する事前相談の窓口を設けています。

税務署所管の法人又は個人事業者の方

税務署担当部門
各税務署法人課税部門 又は 個人課税部門

国税局又は沖縄国税事務所所管の法人

国税局等担当課
東京国税局、大阪国税局及び名古屋国税局調査開発課 電子帳簿保存法担当
関東信越国税局調査総括課 電子帳簿保存法担当
沖縄国税事務所調査課 電子帳簿保存法担当
上記以外の国税局調査管理課 電子帳簿保存法担当

※ お問い合わせの際は、担当者に法人名をお伝えください。

※ 制度等に関する一般的なご質問やご相談につきましては、各国税局の電話相談センターにてお受けしております(所轄(又は最寄り)の税務署におかけいただいた後、自動音声に沿って「1」を選択していただきますと、各国税局の電話相談センターにおつなぎします。)。

法人税・所得税と消費税との差異

所得税法、法人税法での取り扱い

令和3年度の税制改正により、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)および法人税に係る保存義務者については、2024年1月1日以後行う電子取引の取引情報に係る電子データうち、電子帳簿等保存及びスキャナ保存は書面に出力して保存することが認められていますが、電子取引データ保存を書面に出力して保存することが廃止されています。 その電子データを一定の要件の下、保存しなければならないこととされています。

消費税の取り扱い

消費税法での取り扱いについては、消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して、令和4年1月1日以後も引き続き、その電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められています。