所得税

所得税―譲渡所得の対象となる資産

譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、配偶者居住権、配偶者敷地利用権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)、暗号資産などが含まれます。 ただし、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。

譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。 所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させるいっさいの行為をいうものと解すべきであるとされています。

したがって、下記の様な事由が生じた場合にも資産の譲渡があったものとされます。

内容詳細
法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
次のイまたはロのような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいいます。以下同じ。)で資産の譲渡があったものとされます。
イ 法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡
ロ 限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます。)
1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者が国外転出等をする場合(平成27年7月1日以後)
地上権や賃借権、地役権を設定して権利金などを受け取った場合建物や構築物を所有するための地上権や賃借権(以下「借地権」といいます。)の設定などにより受ける権利金などについて、その金額が借地権の設定された土地の時価の2分の1(特定の場合は1/4もあり)を超える場合には、譲渡所得の対象とされます。
資産が消滅することによって補償金などを受け取った場合収用などにより、借地権、漁業権などの資産が消滅したり、その価値が減少することにより一時に補償金などを受け取ったときは、その補償金などは譲渡所得の対象とされます。
ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式の返還または移転があった場合詳細は国税庁へ
特定従事者がストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を保有したまま国外転出する場合詳細は国税庁へ

譲渡所得の内、土地若しくは土地の上に存する権利(以下土地等という)又は建物及びその付属設備若しくは構築物(以下建物等という)の譲渡が分離譲渡所得該当します。 建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定で所定のものは資産の譲渡とみなされます。

区分詳細
生活用動産の譲渡による所得家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
強制換価手続により資産が競売などをされたことによる所得資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合に、強制換価手続(滞納処分や強制執行、担保権の実行としての競売、破産手続等)により、資産を譲渡したことによる所得および強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡代金の全部が債務の弁済に充てられたものです。
貸付信託の受益権等の譲渡による所得償還差益につき租税特別措置法41条の12第1項の規定の適用を受ける割引債、預金保険法2条2項5号に規定する長期信用銀行債等、貸付信託の受益権、農水産業協同組合貯金保険法2条2項4号に規定する農林債の譲渡による所得です。
国または地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合の所得法人に対して財産を贈与または遺贈(以下「寄附」といいます。)した場合には、時価で財産の譲渡があったものとされますが、国や地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合には、その寄附はなかったものとみなされます。
国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得文化財保護法により指定されている重要文化財(土地を除きます。)を国、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立科学博物館、地方公共団体、一定の地方独立行政法人または一定の文化財保存活用支援団体に譲渡した場合の譲渡所得については、課税されません。
財産を相続税の物納に充てた場合の所得財産を相続税の物納に充てた場合には、その財産の譲渡はなかったものとみなされます。
債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の所得法人に対して財産を贈与した場合には、時価で財産の譲渡があったものとされますが、中小企業者である法人の取締役等でその法人の債務の保証人であるものが、その法人の事業の用に供されている資産を、債務処理計画に基づき令和7年3月31日までの間にその法人に贈与した場合には、一定の要件の下、その贈与はなかったものとみなされます。

資産の譲渡による所得であっても、棚卸資産等所定のものは譲渡所得ではなく、事業所得や雑所得、山林所得として課税されます。

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