法人税

法人税―有価証券の評価損

株式などの有価証券を短期的な資金運用によってキャピタルゲインなどの運用益を目的として保有する場合は「売買目的有価証券」になります。 ただし法人税法上はより限定的に、証券会社や金融機関でディーリング部門など専門の部署を設けて運用している有価証券や、それ以外に取得日に短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載したもの等がこの売買目的有価証券に該当すると規定されています。

法人の所有している売買目的有価証券は、法人税法上期末時点で時価評価する必要があります。 期末時点の時価とは一般的に、証券取引所(金融商品取引所)において公表された事業年度終了の日の最終の売買価格(事業年度終了の日の最終の売買価格がない場合には、事業年度終了の日の最終の気配相場の価格、または合理的な方法により計算した金額となります)をいいます。 取得価格と時価の差額については、有価証券評価損又は有価証券評価益で計上し損金又は益金に算入します。

法人が所有する有価証券について、下記の様な事由が生じた場合には、原則として、帳簿価額と時価との差額など一定の金額を限度として評価損の計上が認められます。 完全支配関係がある子会社で清算中の法人等および通算法人が有する他の通算法人(通算親法人等を除きます。)の株式等に対し計上する評価損は除きます。

この評価損については時価法による評価損益と異なり翌事業年度での洗替計算をする必要はありません。

1 法人の所有する有価証券について下記のょうな事実が生じた場合で、その法人がその有価証券の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき
区  分事   実
⑴上場有価証券等
取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券およびその他価格公表有価証券等の一定の有価証券(いずれも企業支配株式に該当するものを除きます。)       
その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。
(注1)「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、
当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなりかつ
近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。
(注2)回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準が示される限りにおいては、その基準が尊重されることとなります。
したがって、必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。
⑵非上場有価証券 
上記(1)以外の有価証券              
その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。
(注)有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したこと」には、次に掲げる事実がこれに該当する。
① 当該有価証券を取得して相当の期間を経過した後に当該発行法人について次に掲げる事実が生じたこと。
イ 特別清算開始の命令があったこと。
ロ 破産手続開始の決定があったこと。
ハ 再生手続開始の決定があったこと。
ニ 更生手続開始の決定があったこと。
➁ 当該事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が当該有価証券を取得した時の当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。
③ 上記①、➁に準ずる特別の事実
2 法人の所有する有価証券について、更生計画認可の決定があったことにより、会社更生法または金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従って評価換えをしてその帳簿価額を減額したときの規定に従って評価換えをしてその帳簿価額を減額したとき
3 有価証券を所有する法人について、再生計画認可の決定があったこと又は再生計画認可の決定に準ずる事実が生じた場合で、その法人が売買目的有価証券および償還有価証券以外の一定の有価証券の価額について再生計画認可の決定があった時の価額により行う評定などの評定を行っているとき

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