法人税

法人税―保険金等で取得した固定資産の圧縮記帳

法人が所有する固定資産の滅失または損壊(以下滅失等という)が発生した場合、資産の滅失等により支払を受けた保険金や損害賠償金であっても、益金として法人税の課税対象になり、一方滅失等をした資産の滅失直前の帳簿価額及び滅失経費の額は、損失の額として損金に算入されます。 この結果、.保険差益[ 保険金等の額−滅失等により支出する経費の額−滅失又は損壊した固定資産のうち被害部分に相当する金額]は法人税の課税対象になります。 しかし、これに課税することは、資金繰り的に滅失等した資産に代わる新たな資産の取得を困難にすることになりますので、法人税法上保険差益に対する課税の繰延措置として、一定の条件のもと圧縮記帳が認められています。 

下記の⑴から⑷の条件に該当した場合は保険金等で取得した固定資産の圧縮記が出来ます。 その減額または経理した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。

番号 条  件
⑴ 法人が所有する固定資産の滅失または損壊が発生した場合
その滅失または損壊のあった日から3年以内に支払の確定した保険金等(注1)の支払を受けた場合
その支払を受けた事業年度において下記条件に適合する代替え資産の取得等(代替資産の交付を受けた場合も含む)をした時
これらの固定資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金算入することにより減額、または、決算において積立金として積み立てる方法等により経理処理したとき

(適用条件) 

ケ-ス  内  容取得した代替資産及び改良
⑴保険金等を受け取る場合(注1)保険金等とは一定の保険金、共済金または損害賠償金⑴滅失をした固定資産に代替する同一種類の固定資産(以下「代替資産」といいます)を取得した場合。  ただしこの代替え資産には所有権移転外リース取引による取得は除かれます。
⑵損壊を受けた固定資産や代替資産となるべき資産の改良をした場合
⑵保険金等を受け取らない場合    ―保険金等の代わりに代替資産の交付を受けた場合

 保険金等の支払を受けた事業年度に何らかの理由で代替資産の取得または改良ができない場合でも、その事業年度の翌期首から原則として2年以内に代替資産の取得または改良をする見込みであるときは、圧縮限度額の範囲内の金額をその事業年度の確定した決算において特別勘定への繰り入れによる損金経理をした場合は圧縮記帳の適用を受けることができます。

(1) 保険金等の支払を受けた場合

項  目      詳   細
圧縮限度額圧縮限度額 = ⑴ × ⑵  /  ⑶
⑴保険差益の額保険差益の額 = 保険金等の額 − 滅失又は損壊により支出する経費の額 − 滅失又は損壊した固定資産のうち被害部分に相当する金額
⑵分子の額代替え資産の取得又は改良に充てた保険金等の額(ただし⑶の金額の範囲内)
⑶分母の額保険金等の額―滅失又は損壊により支出する経費の額

(2) 保険金等の支払に代えて代替資産の交付を受けた場合

項  目       計算方法
圧縮限度額   [交付を受けた時における代替え資産の価額 − 滅失又は損壊により支出する経費の額] − 滅失又は損壊した固定資産の被害直前の帳簿価額の内うち被害部分に相当する金額

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