医業 医療法人
医療法人の設立開業
医療法人の概略
現在、医療法人は、持分の定めのない医療社団法人又は医療財団法人しか設立することが出来ません。 しかしながらそれぞれいくつかの問題が有り、その設立には注意が必要です。 今後設立する場合はこれらの問題を避けるため、医療法人の設立開業に最適と思われる基金拠出型医療法人社団(持分の定めのない医療社団法人うち基金制度を持つ医療法人)の設立をお勧め致します。
基金拠出型医療法人社団をおすすめする理由
理由1
持分の定めのない医療社団法人及び医療財団法人の設立時に、最低でも必要とされる運転資金2ケ月分の金銭、土地、建物等の医療用設備を拠出すると贈与とみなされ、法人側にみなし贈与税の課税(いわゆる不当減少要件に該当した時)の恐れがあり、又贈与した側に原則みなし譲渡所得課税が行われます(ただしその贈与等が教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること、贈与等された財産がその贈与等があった日から2年以内に、公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること、その他一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについては、その財産の贈与等はなかったものとみなされて、みなし譲渡所得課税は適用されません)。 特に院長の親族のみでいわゆる一人医師医療法人を設立する時はみなし贈与課税が行われますので注意が必要です。
理由2
基金拠出型医療社団法人(持分の定めのない医療社団法人うち基金制度を持つ医療法人)は設立時の拠出金を基金として拠出する事によって1に記載された状態を避けることが出来ます。
理由3
相続発生時には、持分がないため課税対象になるのは基金拠出者の有する基金部分(基金の返還をもとめる債権)で相続税評価では、貸付金債権として評価されますので、持分の定めのある医療法人に対する出資金の高額な評価を避けることができます。
理由4
これにより長期にわたる経営で医療法人に蓄積されてきた利益も相続税が課税されず次の世代(子、孫)に引継がれ、相続、事業承継を円滑に進めることが出来ます。
医療法人の持分についての相続税の納税猶予制度
概要
相続人等が、相続又は遺贈により認定医療法人(相続税の申告期限において)の持分を相続した場合、納付すべき相続税のうち、この特例の適用を受ける持分の価額に対応する相続税については、所定の要件のもと、認定移行計画に記載された移行期限まで、その納税が猶予されます。 この場合の猶予される相続税額を医療法人持分納税猶予税額といいます。
認定医療法人とは
平成26年度の医療法改正により令和5年9月30日までに持ち分の定めがある社団が持ち分の定めのない社団に移行する計画を策定し、厚生労働大臣の認定を受けた場合その医療法人。
特例の適用を受けるための要件
この特例の適用を受けるための要件は、下記のとおりです。
(必要要件)
要 件 | |
1 | 被相続人が医療法人の持分を有していた人であること。 |
2 | 相続人等が被相続人から相続または遺贈により医療法人の持分を取得した人であること。 |
3 | 医療法人の持分が相続税の申告期限において認定医療法人の持分(遺産分割されているものに限ります。)であり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載したものであること。 |
猶予された相続税額
医療法人持分納税猶予税額が免除される場合
認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、下記の様な事由が生じた場合は、原則的に、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに掲げる金額に相当する相続税額は、届出書を提出することにより、免除されます。
区分 | 届出により免除される額 | |
---|---|---|
1 | 認定医療法人の持分のすべてを放棄した場合 | 医療法人持分納税猶予税額 |
2 | 認定医療法人が基金拠出型医療法人への移行をする場合において、持分の一部を放棄し、その残余の部分をその基金拠出型医療法人の基金として拠出したとき | 医療法人持分納税猶予税額から基金として拠出した額に対応する部分の金額を控除した残額 |
放棄の手続き 厚生労働大臣が定める「出資持分の放棄申出書」(医療法施行規則附則様式7)を認定医療法人に提出する ことにより放棄する必要があります。
医療法人持分納税猶予税額が免除されない場合
下記に該当する場合には、この特例の適用を受けることはできません。
区分 | |
1 | 相続開始の時から相続税の申告期限までの間に、医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合 |
2 | 相続開始の時から相続税の申告期限までの間に、医療法人の持分を譲渡した場合 |
3 | 相続開始の時から相続税の申告期限までの間に、認定医療法人の持分の全部または一部を放棄し、医療法人の持分についての相続税の税額控除の適用を受ける場合 |
医療法人持分納税猶予額の納付
(1) 医療法人持分納税猶予税額を納付しなければならない場合
納税猶予を受けている相続税額は、下記に該当する場合は、その相続税額の全部または一部を納付する必要があります。
<医療法人持分納税猶予税額の全部確定>
区分 | 詳 細 |
a | 相続税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合 |
b | 相続税の申告期限から認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までの間に、認定医療法人の持分の譲渡をした場合 |
c | 認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、新医療法人への移行をしなかった場合 |
d | 認定医療法人の認定移行計画について、厚生労働大臣の認定が取り消された場合 |
e | 認定医療法人が解散をした場合(合併により消滅をする場合を除きます。) |
f | 認定医療法人が合併により消滅をした場合(合併により医療法人を設立する場合において相続人等が持分に代わる金銭その他の財産の交付を受けないときなど一定の場合を除きます。) |
<医療法人持分納税猶予税額の一部確定>
認定医療法人が認定移行計画に記載された移行期限までに、基金拠出型医療法人への移行をする場合において、相続人等が認定医療法人の持分の一部を放棄し、その残余の部分を基金拠出型医療法人の基金として拠出したとき |
(2) 利子税
区分 | 内 容 |
原則 | 上記(1)により納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、年6.6パーセントの割合で利子税がかかります。 |
特例 | 各年の利子税特例基準割合(※1)が7.3パーセントに満たない場合には、その年中においては次の算式により計算した割合が適用されます。 算式[6.6% × 利子税特例基準割合(※1) ÷ 7.3%] (注)0.1パーセント未満の端数は切り捨て、その割合が0.1パーセント未満の割合である場合は年0.1パーセント 税特例基準割合については、国税庁の延滞税の割合をご参照ください。 |
納付義務の承継
認定医療法人の認定移行期間中に、この特例の適用を受けている相続人等が死亡した場合には、その相続人等に係る医療法人持分納税猶予税額の納付義務は、その相続人等の相続人が承継いたします。
申告等の方法
この特例の適用を受けるためにはの手続きは、①所轄の税務署に相続税の申告書を期限内に提出するとともに、➁医療法人持分納税猶予税額および利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。
一人医師医療法人
制度の背景
個人で診療所を運営し、順調に収益が伸びてきた場合、所得税の累進課税により高額の所得税を負担することになります。 これにより、診療所の経営(資金繰り等)に悪影響が及び、さらには地域医療にも悪影響を及ぼす可能性が生じます。 一人医師医療法人制度はこれらを解決するために準備されましたので、導入する為の条件が合えば利用することをお勧めいたします。
まず、その制度の導入により、診療所の経営の健全化を目指し、家計と診療所の会計を分離することによって、診療所の経営内容を明確化し、現状認識、課題の発見及び将来の展望を拓くことが可能となってきます。
一般的には①年収が6,000万円ぐらい、②後継ぎがいる、③医療経営に積極的であること等の条件が、一人医師医療法人を設立する目安と言われています。 医療の世界では診療所の経営が親から子、子から孫へと引き継がれていく場合が多く、一人医師医療法人化することによって相続も順調に行うことが出来るもの思われます。
概 略
一人医師医療法人制度の概略をその項目ごとに整理しますと、下記のようになります。
項 目 | 内 容 |
医療法人の種類 | ⑴ 社団医療法人 複数の人が現金、不動産等一定の財産を拠出して設立された団体で都道府県知事の認可を受け、登記された医療法人(現在設立される多くの法人がこの法人です) ⑵ 財団医療法人 個人又は法人が現金、不動産等一定の財産を無償で寄付し一定の条件のもとで都道府県知事の認可を受け、登記された医療法人 |
目的 | 家計と診療所経営を区分し、経営健全化、組織の強化等を目的とします。 また結果的に所得の分散により、副次的に節税効果が発生します。 |
適用税目 | ⑴ 医療法人は法人税、消費税、地方税の課税対象になります。 ⑵ 役員又は家族従業員には給与所得が発生し、これに対して所得税が課税されます。 |
組織の概要 | ⑴ 社員 社員総会の構成員で、拠出者でなくてもなることが出来、各一個の議決権を有します。 ⑵ 社員総会 最高の意思決定機関 ⑶ 理事会 業務執行機関 ⑷ 監事 医療法人の財産等及び業務の監査を行います。 |
出資者の要件 | 自然人、法人ともに出資者になることができます。 ただし確定拠出型社団医療法人、財団医療法人の場合は出資金は有りません。 |
社員の資格要件 | 自然人および営利法人以外の法人は社員になることができます。 社員は出資者でなくてもなることが出来、各一個の議決権を有します。 |
役員の人数 | 理事3人以上と監事1人以上。 ただし知事の認可を受け、1人又は2人にすることが出来ます。 |
理事の資格要件 | 理事になれる人は自然人で次の欠格事由に該当していない人で、社員と兼務することが出来ます。 ⑴ 成年被後見人又は被保佐人 ⑵ 医療法、医師法等医療法施行令5条の5の7に定める医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者 ⑶ ⑵に該当する者を除くほか刑法等において禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者 |
一人医師医療法人の代表者 | 一人医師医療法人の代表者は理事長のみです。 |
理事長の資格要件 | 医師、歯科医師である理事のうちから選出する(ただし都道府県知事の認可を受けた場合は医師、歯科医師でない理事のうちから選出することができる)。 *例外規定 理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった場合にその子女が医科又は歯科大学在学中か、又は卒業後、臨床研修を終えるまでの間、医師、歯科医師でない配偶者が理事長に就任しようとするようなとき。 |
理事会の役割 | 医療法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長の選出及び解職を行います。 |
監事の役割 | 医療法人の財産等及び業務の監査を行います。 医師である必要はありませんが理事又は従業員、理事の親族、医療法人に拠出している個人、顧問関係にある個人(税理士、公認会計士、弁護士等)は監事になることができません |
設立に必要な資金 | 一人医師医療法人を設立する場合には、2か月以上の運転資金を用意しなければなりません。 |
会計年度 | 原則として、4月1日から翌年3月31日まで。 ただし定款によって別に定めることが出来ます。 |
提出及び届け出 | 会計年度終了後、2か月以内に財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作成し税務署等に確定申告する必要があります。 また決算書を3か月以内に知事に届け出る必要もあります。 |
設立手続き等
一人医師医療法人の設立手続きの概略をその項目ごとに整理しますと、下記のようになります。 また定款の作成と同時又は事前に受付期間の確認と都道府県に設立認可を受けるための打ち合わせが必要ですので、御留意願います。
項目 | 内容 |
定款の作成 | 定款の作成が義務付けられており、目的、名称、所在地、資産、会計、役員、社員、解散等を定める必要があります。 厚生労働省のモデル定款をご参照ください。 |
設立総会の開催 | 総会において、次の事を審議し、決定する必要があります。 ① 一人医師医療法人設立の承認 ② 社員の確認 ③ 定款の承認 ➃ 出資の申し込み、設立時の財産目録の承認 ⑤ 2年分の事業計画及び収支予算の承認 ⑥ 設立当初の役員の選任 ⑦ 設立代表者の選任 ⑧ 医療設備、土地などを賃貸する場合の契約の承認 ⑨ その他必要な事項 |
設立認可承認申請書に添付が必要な書類 | ① 医療法人の定款 ② 法人設立者(院長)の経歴書 ③ 役員就任承諾書 ➃ 法人後の2~3ヵ年の事業計画書 ⑤ 財産目録 ⑥ 予算書 ⑦ 医療法人設立を決定した際の設立総会議事録 ⑧ 社員および役員名簿 ⑨ その他必要な書類 |
設立登記 | 医療法人の設立認可があった場合は、認可のあった日から2週間以内に主たる事務所を管轄する登記所に設立登記の申請をする必要があります。 ⑴申請する必要がある事項 ① 目的及び業務 ② 名称 ③ 事務所の所在地 ➃ 理事長の住所及び氏名 ⑤ 存立時期又は解散事由を定めたときは、その時期又は事由 ⑥ 資産の総額 ⑵登記申請書に添付する書類 ① 定款 ② 理事長の資格を有する書面 ③ 設立認可書 ➃ 資産の総額を称する書面 |
設立届け出 | 設立登記後、速やかに知事に法人診療開設許可申請を行い、許可を受けた場合は10日以内に法人診療開設届及び個人診療所廃止届を提出する必要があります。 |
解散 | 下記の事由が生じた場合は解散することになります。 ① 定款で定めた解散事由の発生 ② 目的である業務の成功の不能(知事の認可が必要) ③ 社員総会の決議(知事の認可が必要) ➃ 他の医療法人との合併 ⑤ 社員の死亡 ⑥ 破産 ⑦ 設立認可の取消 |
個人と法人の税金上の差異
一人医師医療法人化することによって、法人税、所得税、消費税、事業税及び住民税が下記のように変化し、税金の合計額が少なくなり、有利になる場合もありますのでご参照願います。
設 例
*所得税と住民税の所得控除額は多少異なりますが、便宜上同じ金額で計算し、法人市県民税の均等割は標準金額にて計算していますのでご了承下さい。
項目 | 内容 | 金額 |
個人の開業医 | 所得(青色事業専従者給与控除前) | 2,000万円 |
所得控除合計 | 200万円 | |
青色事業専従者(配偶者) | 青色事業専従者給与収入 | 600万円 |
所得控除合計 | 100万円 | |
法人化した場合の院長 | 給与収入 | 1,400万円 |
令和4年の税法に基づき計算 |
税額比較一覧表
税目 | 個人 | 医療法人 | |||
本人 | 青色事業専従者 | 医療法人 | 院長 | 法人理事(家族理事) | |
法人税 | - | - | 0円 | - | - |
消費税 | 0円 | - | 0円 | - | - |
課税所得 | 12,000,000円 | 3,360,000円 | - | 10,050,000円 | 3,360,000円 |
所得税 | 2,424,000円 | 244,500円 | - | 1,780,500円 | 244,500円 |
住民税 | 1,200,000円 | 336,000円 | 72,000円 | 1,005,000円 | 336,000円 |
事業税 | 5,000円 | - | 0円 | - | - |
合計 | 3,629,000円 | 580,500円 | 72,000円 | 2,785,500円 | 580,500円 |
総合計 | 4,209,500円 | 3,438,000円 | |||
差額税額 | 771,500円 *法人化する方が有利 |
(個人確認事項)
区 分 | 内 容 |
本人課税所得 | 1200万円[1400万円-200万円(所得控除)] |
配偶者の課税所得 | 336万円[ 436万円(600万円の給与所得控除後の金額)-100万円(所得控除)] |
個人の住民税率 | 10% |
配偶者の青色事業専従者給与 | 一般的に500~600万円が多いと言われています(業務内容、他の従業員の給与との比較、他医院との比較して妥当な金額でなおかつ届け出の範囲内との制限があります)。 |
(医療法人確認事項)
区 分 | 内 容 |
院長課税所得 | 1005万円 [(1400万円の給与所得控除後の金額)-200万円(所得控除)] |
理事課税所得 | 336万円 [ (600万円の給与所得控除後の金額)-100万円(所得控除)] |
個人の住民税率 | 10% |
役員報酬の金額 | 院長及び他の家族役員の給与は法人が自由に決められますが、多すぎると過大役員報酬として一部否認されることがありますので適切に決める必要が有ります。 |
医療法人の法人税等の計算
法人税法における法人種類別の課税対象
番号 | 法人の種類(下記の区分、所得金額に応じて税率が変わります) | 医療法人の種類 | 課税対象 |
1 | 普通法人 | 一般の医療法人 | 所得 |
2 | 協同組合等 | 所得 | |
3 | 公益法人等 ⑴公益社団法人、公益財団法人、又は非営利型法人 ⑵公益法人等とみなされるもの ⑶上記以外の公益法人 | 社会医療法人 | 収益事業(*注)から生じた所得 |
4 | 人格のない社団等 | 収益事業(*注)から生じた所得 | |
5 | 特定医療法人 | 特定医療法人 | 所得 |
一般の医療法人
社会医療法人及び特定医療法人以外の医療法人
社会医療法人
医療法の所定の要件を満たし、都道府県知事の認定を受けた医療法人
特定医療法人
その事業が医療の普及や向上などに大きく寄与し、かつ公的に運営されているものとしての要件を満たしたもので国税庁長官の承認を受けたもの
収益事業
収益事業とは詳しくは法人税法施行令第5条において34業種が規定されていますのでご確認下さい。 要約しますと、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業、労働者派遣業です。
医療法人が行う医療保健業
医療法人が行う医療保健業は、収益事業に該当します。 しかし、法人税法施行令第5 条①二十九チの規定により社会医療法人が行う医療保健業は、収益事業の範囲から除外されていますので、医療保健業以外の収益事業(附帯業務等)に課税されます。参照条文
法人税法施行令第5 条①二十九 医療保健業(財務省令で定める血液事業を含む。以下この号において同じ。)のうち次に掲げるもの以外のもの 法令 5 ①二十九チ 医療法(昭和23年法律第205号)第42条の2第1項(社会医療法人)に規定する社会医療法人が行う医療保健業(同法第42条(附帯業務)の規定に基づき同条各号に掲げる業務として行うもの及び同項の規定に基づき同項に規定する収益業務として行うものを除く。) |
所得金額
所得金額 = 各事業年度の益金の額 - 損金の額 |
(益金の意義)
別段の定めがあるものを除き、資産の販売、役務の提供等その他の取引で資本取引以外のものに係る収益の額 |
(損金の意義)
別段の定めがあるものを除き、次の金額
1 売上原価、完成工事原価等原価の額
2 販売費および一般管理費(その事業年度期末までに債務の確定しているもの)
3 資本取引以外の損失の額
(2の販売費および一般管理費のうち、主なもの)
1 租税公課
税目による損金算入、不算入の区分
法人税の所得の計算上租税公課等に損金経理しても損金が認められる税金等と損金が認められない税金等があり、それぞれ次の様に区分されます
処理方法
処理区分 | 税 目 |
損金不算入の税金等 | ①法人税の本税、延滞税及び加算税 |
➁住民税(県民税、市民税)の本税、延滞金及び加算金 | |
➂事業税の延滞金及び加算金 | |
➃源泉所得税の不納付加算税及び延滞税 | |
⑤その他税金の延滞税及び延滞金 | |
⑥印紙税の過怠税 | |
⑦罰金、過料、科料 | |
⑧交通反則金 | |
➈法人税等充当額 | |
損金算入の税金等 | ①法人税の利子税 |
➁住民税の納期延長に係る延滞金 | |
➂事業税の本税 | |
➃事業税の納期延長に係る延滞金 | |
⑤印紙税の本税 | |
⑥固定資産税 | |
⑦都市計画税 | |
⑧自動車税、軽自動車税 | |
➈不動産取得税 | |
⑩登録免許税 | |
⑪事業に係る事業所税他 | |
⑫労働保険、社会保険の延滞金 |
損金算入時期
申告納税方式の税金
申告書が提出された日の属する事業年度
賦課課税方式の税金
賦課決定のあった日の属する事業年度
2 交 際 費
交際費の意義
交際費とは交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先、従業員等、事業に関係ある者に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為の為に支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費に含まれないものとする。 又接待飲食費とは交際費のうち飲食その他に類する行為のため要する費用で一定のものをいうが、そのうち一人当たり5,000円以下のものは交際費に含まれません。
交際費に含まれないもの
①寄付金 ➁値引き及び割り戻し ➂広告宣伝費 ➃福利厚生費 ⑤給与等 |
具体的な交際費の判定
①交際費に該当するもの
内 容 | |
1 | 売り上げ割り戻し等と同一基準により得意先に対して行う旅行、観劇等に招待する費用 |
2 | 売り上げ割り戻し等と同一基準により得意先に対する物品(3,000円超のもの)の贈与 |
3 | 正当な対価でない情報提供料等 |
4 | 得意先、仕入先等の者に対する慶弔費用 |
5 | 記念式典等の費用で、得意先、仕入先等にかかる式典費用、宴会費用、交通費、記念品代 |
6 | 得意先等の従業員に対する謝礼 |
7 | 法人会員の場合のゴルフクラブの年会費及び事業遂行上必要なプレ-費、年決めロッカ-料等 |
➁交際費に該当しないもの
内 容 | |
1 | 得意先に対する少額物品(3,000円以下のもの)の贈与 |
2 | 会議に際し社内又は通常会議を行う場所で昼食の程度を超えない飲食等のために通常要する費用(来客との商談、打ち合わせを含む) |
3 | 不特定多数のものに対する広告宣伝を意図するものの費用 |
4 | 通常要する社葬費 |
5 | 記念式典等の費用で従業員に一律に供した飲食等の費用 |
6 | 記念式典等の費用で式典の祭事の為に通常要する費用 |
7 | 従業員等(元従業員等を含む)又はその家族に対する慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用 |
8 | 新製品等の展示会等に得意先を招待する費用 |
9 | 得意先等に工場などの施設を見学させるための費用 |
10 | 渡切の交際費は従業員に対する分は給与に該当し、役員に対する分は毎月定期的なものは定期同額給与、そうでない場合は定期同額給与に該当しない給与となる |
11 | 事業に直接関係のない者(近所の神社、寺等)に対する金銭、物品等の贈与は寄付金になる |
12 | 交際費のうち飲食その他に類する行為のため要する費用で人当たり5,000円以下のもの |
交際費等の損金不算入額
①期末資本金の額が1億円以下の法人
各事業年度における交際費等のうち定額控除限度額又は接待飲食費の額の50%相当額を超える金額は損金に算入しない *定額控除限度額 800万円 × 事業年度の月数 ÷ 12
➁期末資本金の額が1億円超100億円以下の法人
各事業年度における交際費等のうち接待飲食費の額の50%相当額を超える金額は損金に算入しない
➂期末資本金の額が100億を超える法人
交際費全額が損金不算入
資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等の損金不算入は➁によります
3 寄附金
寄附金の意義
原則的な寄附金
寄附金の額とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、金銭その他の資産の贈与又は経済的な利益の無償の供与をした場合の、金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は経済的な利益のその供与の時の価額をいう。 ただし、広告宣伝費等、交際費、接待費及び福利厚生費とされるものは、寄附金に該当しない。
内 容 | 勘定科目 |
社会事業団体、政治団体に対する寄附、神社の祭礼等の寄贈金は原則として寄附金になります | 寄附金 |
カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用 ⑴ 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用 ⑵ 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用 ⑶ 製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用 ⑷ 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用 ⑸ 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用 ⑹ 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用 ⑺ 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用 | 広告宣伝費 |
協賛金⑴ 不特定多数の人に宣伝の効果がある場合 | 広告宣伝費 |
協賛金⑵ 宣伝の効果がないが、今後も継続して取引を行うことを目的に協賛金を支払う場合 | 交際費 |
協賛金⑶ 事業との関連性がなく宣伝効果も期待できない場合 | 寄附金 |
従業員に対する社会通念上相当と認められる慶弔費 | 福利厚生費 |
特例的な認定寄附金
資産の譲渡(土地信託の信託財産の構成物の譲渡を含む。)又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が資産の譲渡時の価額又はその経済的な利益のその供与時の価額に比して低いときは、その対価とその価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、寄附金となる。(資産の低額譲渡、無利息又は低金利による貸付等)
寄付金に該当しない場合
内 容 | 処理方法 | |
1 | 町内会の会費 | 一般の経費 |
2 | 役員等が個人として負担すべきもの | その役員等に対する給与 |
3 | 子会社等を整理する場合の損失金等 (子会社等の解散に伴い債権放棄、債務の引き受け等をした場合で相当の理由がある場合) | 一般の経費 |
4 | 子会社等に対する無利息貸付等 (子会社等の倒産を防止し、再建させるために無利息又は低利の貸付等で相当の理由がある場合) | 一般の経費 |
子会社等とは その法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者も含みます。
子会社等を整理する場合の相当の理由 損失の負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであるとみとめられる場合等
寄附金の損金算入額
法人が支払った寄附金はその支払先によって損金算入金額が下記の様に取り扱われます。
国等に対する寄附金及び指定寄附金
国や地方公共団体に対する寄附金及び指定寄附金は、その支払金額が全額損金に算入されます。
指定寄附金とは
公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
具体的には次のようなもの
日本赤十字社に対する寄附で一定のもの、国立大学法人及び公立大学法人に対する寄附金、各都道府県共同募金会が行う赤い羽根募金等の寄附金
特定公益増進法人等に対する寄附金
特定公益増進法人に対する寄附金、特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭及び認定NPO法人等の非営利活動に係る寄附金の合計額と次の特別損金算入限度額とのいずれか少ない金額が損金に算入されます。
特別損金算入限度額
〔資本金等の額 ×当期の月数/12×3.75/1000 + 所得の金額×6.25/100〕 × 1/2 |
資本金等の額
資本金等の額とは、資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額をいいます。
所得の金額
所得の金額とは、支出した寄附金の額を損金に算入しないものとして計算します。 (注) 特定公益増進法人等に対する寄附金のうち損金に算入されなかった金額は、下記の一般の寄附金の額に含めます。
特定公益増進法人
特定公益増進法人とは(国税庁HPより) 公共法人、公益法人等(一般社団法人および一般財団法人を除きます。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する次のような法人をいいます。
(1) 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人
(2) 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人で一定のもの
(3) 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校復興・共済事業団および日本赤十字社
(4) 公益社団法人および公益財団法人
(5) 私立学校法第3条に規定する学校法人で一定のもの
(6) 社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人
(7) 更生保護事業法第2条第6項に規定する更生保護法人
上記以外の寄附金(一般の寄附金)
上記に該当しない寄附金は、下記の損金算入限度額までが損金に算入されます。
〔損金算入限度額〕
〔資本金等の額 ×当期の月数/12×2.5/1000 + 所得の金額×2.5/100〕×1/4 |
資本金等の額
資本金等の額とは、資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額をいいます。
所得の金額
所得の金額とは、支出した寄附金の額を損金に算入しないものとして計算します。
設例
資本金等の額1,000万円、所得の金額1,000万円、1年決算法人の場合の損金算入限度額
〔1,000万円×12/12×2.5/1000+1000万円×2.5/100 〕×1/4=〔6.875万円〕
損金算入の手続
法人が寄附金を損金に算入する場合には、確定申告書にその金額を記載し、寄附金の明細書など所定の書類を添付するとともに、所定の書類を保存している必要があります。
4 修繕費
資本的支出に該当する支出(修繕費に該当しないもの)
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。(昭55年直法2-8「二十六」により追加)
建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。 (法人税基本通達7-8-1)
修繕費に含まれる費用
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。(昭55年直法2-8「二十六」、平7年課法2-7「五」により改正)
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(7-3-12《集中生産を行う等のための機械装置の移設費》の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額 (基法人税本通達7-8-2)
少額又は周期の短い費用の損金算入
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下7-8-5までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した費用の額については、7-8-1にかかわらず、修繕費として損金経理をすることができるものとする。(昭55年直法2-8「二十六」により追加、平元年直法2-7「五」、平15年課法2-7「二十」により改正)
(1) その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額。以下7-8-5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
(注) 本文の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下7-8-5までにおいて同じ。 (法人税基本通達7-8-3)
形式基準による修繕費の判定
一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。(昭55年直法2-8「二十六」により追加、平元年直法2-7「五」、平19年課法2-7「八」により改正)
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(注) 1 前事業年度前の各事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)において、令第55条第4項《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一の減価償却資産の取得価額をいうのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産の取得価額との合計額をいうことに留意する。
2 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。 (法人税基本通達7-8-4)
資本的支出と修繕費の区分の特例
一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(7-8-3又は7-8-4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「二十六」により追加、平7年課法2-7「五」、平19年課法2-7「八」により改正) (注) 当該固定資産の前期末における取得価額については、7-8-4の(2)の(注)による。 (法人税基本通達7-8-5)
災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例
災害により被害を受けた固定資産(当該被害に基づき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定による評価損を計上したものを除く。以下7-8-6において「被災資産」という。)について支出した次に掲げる費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、7-8-1から7-8-5までの取扱いにかかわらず、それぞれ次による。(昭55年直法2-8「二十六」、平7年課法2-7「五」により改正)
(1) 被災資産につきその原状を回復するために支出した費用は、修繕費に該当する。
(2) 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、法人が、修繕費とする経理をしているときは、これを認める。
(3) 被災資産について支出した費用(上記(1)又は(2)に該当する費用を除く。)の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(注) 1 法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別の施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
2 上記の固定資産に係る災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例は、令第114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産に係る他の者の有する固定資産につき、災害により損壊等の被害があった場合について準用する。 (法人税基本通達7-8-6)
ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費
法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。(平12年課法2-19「十」により追加、令3年課法2-21「八」により改正)
(注)1 既に有しているソフトウエア又は購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更するための費用のうち、7-3-15の2(注)2 《自己の製作に係るソフトウエアの取得価額等》により取得価額になったもの(7-3-15の3《ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用》により取得価額に算入しないこととしたものを含む。)以外のものは、資本的支出に該当することに留意する。
2 本文の修正等に要した費用(修繕費に該当するものを除く。)又は上記(注)1の費用が研究開発費(自社利用のソフトウエアについてした支出に係る研究開発費については、その自社利用のソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費に限る。)に該当する場合には、資本的支出に該当しないこととすることができる。 (法人税基本通達7-8-6の2)
機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良
法人が、その有する固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として損金の額に算入することができる。
当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。(昭55年直法2-8「二十六」により追加)
(注) 当該補償金の交付を受けた日の属する事業年度終了の時までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。 (法人税基本通達7-8-7)
地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上げ
法人が地盤沈下に起因して防潮堤、防波堤、防水堤等の積上げ工事を行った場合において、数年内に再び積上げ工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上げ工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。(昭55年直法2-8「二十六」により改正) (法人税基本通達7-8-8)
耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等
耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出した費用の額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。(昭55年直法2-8「二十六」により追加) (法人税基本通達7-8-9)
損壊した賃借資産等に係る補修費
法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいう。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、当該賃借資産が災害により被害を受けたため、当該法人が、当該賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、これを認める。 法人が、修繕等の補修義務がない販売をした又は賃貸をしている資産につき補修のための費用を支出した場合においても、同様とする。(平29年課法2-2「二」により追加)
(注)
- 1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用は、12-2-6《災害損失特別勘定の設定》の災害損失特別勘定への繰入れの対象とはならないことに留意する。
- 2 当該法人が、その修繕費として経理した金額に相当する金額につき賃貸人等から支払を受けた場合には、その支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する。
- 3 法人が賃借している法第64条の2第1項《リース取引に係る所得の金額の計算》に規定するリース資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額及び災害のあった日の属する事業年度において支払った金額を除く。)については、災害のあった日の属する事業年度において、未払金として計上することができることに留意する。
- (法人税基本通達7-8-10)
資本的支出と修繕費の区分
判定基準表
判定基準 | 資本的支出 | 修繕費 |
支出金額が10万円未満 | ○ | |
3年周期の支出 | ○ | |
明らかに資本的支出 | ○ | |
30万円未満 | ○ | |
取得価格の10%以下 | ○ | |
割合区分による方法 | 支出金額 - 修繕費 | ①支出金額の30% ➁取得金額の10% ①と➁の少ない金額 |
実質により判定 | 資本的支出の場合 | 資本的支出でない場合 |
5 減価償却費
概 要
事業などの業務のために用いられる建物等の資産は、時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産(土地、美術品等は時の経過等によってその価値が減っていきませんので除かれます)といいます。 減価償却資産の取得費は、取得した時に全額経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり、その資産の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却限度額の範囲内で損金算入していくべきものです。
減価償却資産の判定
1 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の経費とします。
2 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において経費に算入することができます。
3 一定の要件を満たす青色申告法人が、取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記2の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の経費に算入できるという特例があります。
4 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。
償却方法
1 定額法
償却限度額 = 取得価額 × 定額法の償却率
2 定率法
⑴原則
償却限度額 = 未償却残高 × 定率法の償却率
⑵償却額が償却保証額を下回った年以降の事業年度
償却限度額 = 改定取得価額 × 改定償却率
償却保証額 | 取得価額に、耐用年数に応じた保証率を乗じた金額 |
改定取得価額 | 償却額が初めて償却保証額に満たなくなる年の期首未償却残高 |
改定償却率 | 償却額が償却保証額に満たなくなる年以降に使用する当該資産の耐用年数に応じた償却率 |
中古資産の耐用年数
1 見積もり可能 見積もり耐用年数
2 見積もり不可能 簡便法等
簡便法
①耐用年数の一部を経過している場合 (法定耐用年数 – 経過年数) + 経過年数 × 20%
➁耐用年部の全部を経過している場合 法定耐用年数 × 20%
*端数処理 1年未満の端数は切り捨て 2年未満の場合は2年
例外
法定耐用年数
減価償却の特例
特別償却
1 中小企業投資促進税制による特別償却
⑴概要
この制度は、青色申告書を提出する中小企業者などが指定期間内に新品の機械および装置などを取得しまたは製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却を認めるものです。
⑵償却限度額
償却限度額は、基準取得価額の30パーセント相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額です。
2機械装置等が特定経営力向上設備等に該当する場合の特別償却
⑴概要
中小企業者などが、一定の期間内に、生産等設備を構成する機械および装置、工具、器具および備品、建物附属設備ならびに特定のソフトウェアで中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に該当するもののうち一定の規模のものの取得等をして、国内の対象事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、即時償却ができます。 *即時償却とは資産の取得金額の全額を資産を取得した事業年度に一括で損金に計上するものです。
⑵対象事業者
この制度の適用対象法人は、青色申告法人である次の法人です。
中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合
(注) 令和3年4月1日前に取得等をした対象資産についてこの制度の適用を受ける場合には、上記の適用対象法人から商店街振興組合を除きます。
中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。以下同じです。)に該当するものは除かれます。
1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
(1) その発行済株式または出資(自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人を除きます。)
(注1) 大規模法人とは、次のイからニに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
イ 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
ハ 大法人(次の(イ)から(ハ)に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
(イ) 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(ロ) 相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(ハ) 受託法人 ニ 100パーセントグループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を直接または間接に保有されている法人(ハに掲げる法人を除きます。)
(注2) 令和3年4月1日前に取得等をした対象資産についてこの制度の適用を受ける場合には、上記(注1)の大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小企業等経営強化法の認定を受けたいわゆる事業承継ファンドの出資に係る部分に限ります。)を除きます。
⑶指定事業
この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です。 製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの) (注1)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。 また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。 (注2)令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等についてこの制度の適用を受ける場合には、上記の指定事業から次の事業を除きます。 1 不動産業 2 物品賃貸業 3 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)
⑷適用対象資産
この制度の対象となる資産(以下「特定機械装置等」といいます。)は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)次に掲げる資産(匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものを除きます。)で、指定期間内に取得しまたは製作して指定事業の用に供したものです。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付けの用に供する資産は、特定機械装置等には該当しません。 (注) 令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等については、匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものも含まれます。 1 機械および装置で1台または1基の取得価額が160万円以上のもの 2 製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台または1基の取得価額が120万円以上のもの 3 上記2に準ずるものとして測定工具および検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。) 4 ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。以下同じ。)で次に掲げるいずれかのもの (1) 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの (2) その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの 5 車両および運搬具のうち一定の普通自動車(注)で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの 6 内航海運業の用に供される船舶
⑸適用の対象となる期間
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産を取得しまたは製作して指定事業の用に供した場合におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。 ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。
⑹手続き
特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
その他各種特例計算
A 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分 B 償却は任意償却 C 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます D リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
区分 | 詳細 | 企業の区分 | 処理方法 |
所有権移転ファイナンスリ-ス | リ-ス期間中にキャンセルが出来なくて、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約 | - | リース料の総額を取得価格額に算入し法定耐用年数の期間で償却する |
所有権移転外ファイナンスリ-ス | リ-ス期間中にキャンセルが出来なく、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約 | 中小企業以外 | リース料の総額を取得価格額に算入しリース期間定額法で償却する |
中小企業 | 一定の条件のもと例外的に支払時に損金に算入することが出来る | ||
オペレ-ティングリ-ス | 途中でキャンセルが出来る契約 | - | リ-ス料を支払時に損金に算入する |
税額の計算
所得金額 × 税率 - 税額控除 |
税 率
法人の種類別の税率
法人の種類 | 詳細 | 所得金額が800万円以下の部分 | 所得金額が800万円超の部分 |
普通法人等 | ① 資本金1億円以下の法人 | 15% | 23.2% |
② 資本金1億円超の法人と相互会社 | 23.2% | ||
協同組合等 | 15% | 19% | |
公益法人等 | ① 公益社団法人、公益財団法人及び非営利型法人 | 15% | 23.2% |
② その他の公益法人 | 15% | 19% | |
人格のない社団等 | 15% | 23.2% | |
特定の医療法人 | ① ②以外 | 15% | 19% |
② 適用除外事業者 | 19% | 19% |
医療法人の事業税について
事業税の所得についての概要
医療法人等の法人事業税ついては、一般法人と所得の計算方法が異なっており、地方税法第72条の23のにより社会保険診療報酬に係る所得は非課税となり、また計算方法もそれぞれの地域により異なっておりますので注意が必要です。
原則
[内国法人の所得は、各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし、この法律(地方税法第第七十二条の二十三)又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例により算定する]となっております。 ただし[医療法人等は地方税法第第七十二条の二十三の規定により、社会保険診療につき支払を受けた金額は、益金の額に算入せず、また、当該社会保険診療に係る経費は、損金の額に算入しない]と規定されております。
特例
実務上、経費を社会保険診療に係る経費とそれ以外の経費に区分することが困難なために具体的な計算方法はそれぞれの都道府県により、次のように分かれて計算されています。 1 所得配分方式 (医業所得を社会保険診療報酬とその他の収入の割合で按分する方法*多数の都道府県で採用されています) 課税所得 = 総医業所得 × その他の収入金額 / (社会保険診療報酬に係る医療収入+その他の収入金額)2 経費配分方式(一部の都道府県で採用されています) 課税所得 = 総医業所得-社会保険診療報酬に係る所得 (社会保険診療報酬に係る所得) 社会保険診療報酬に係る医療収入-社会保険診療報酬に係る経費 (社会保険診療報酬に係る経費) 社会保険診療報酬に係る専属経費+共通経費×(社会保険診療報酬に係る医療収入)/(社会保険診療報酬に係る医療収入+その他の収入金額) 注1 この他に共通費を医療直接費とその他の経費に区分して計算する方法を採用している都道府県もありますのでご確認願います。 (社会保険診療報酬) 社会保険診療報酬とは、次の法律の規定に基づく療養等の給付又は医療、介護、助産若しくはサ-ビスに限られます。
法 律 の 種 類 |
1 健康保険法 |
2 国民健康保険法 |
3 高齢者の医療の確保に関する法律 |
4 船員保険法 |
5 国家公務員等共済組合法(防衛庁職員給与法を含む) |
6 地方公務員等共済組合法 |
7 私立学校教職員共済組合法 |
8 戦傷者特別援護法 |
9 母子保健法 |
10 児童福祉法 |
11 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 |
12 生活保護法 |
13 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律 |
14 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 |
15 麻薬及び向精神薬取締法 |
16 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 |
17 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療お及び観察等に関する法律 |
18 介護保険法 |
19 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 |
20 難病の患者に対する医療等に関する法律 |
(その他の収入) 細かく規定されていますが大きな項目は下記の様な収入です。(医療法人等に係る所得金額の計算書参照)
項目 | 内容 |
労働者災害補償保険法 | |
介護保険法 | 地方税法第72条の23に規定する社会保険診療報酬以外の収入 |
自動車損害賠償責任保険及び損害保険等の保険金に相当する部分の金額により医療費等として支払いを受ける金額 | |
自費診療収入 | |
入院料、ベッド代差額収入 | |
入院料、予防注射等 | |
その他の医療収入 | |
事務取扱手数料等 | |
患者等の食事収入 | |
健康診断等証明収入 | |
受託技工、検査料等収入 | |
電話、電気、ガス、テレビ、寝具等使用料収入 | |
生産品等販売、不用品売却収入 | |
その他の付随収入 |
(医療保険業の収入金額にも算入されない収入)
項目 |
各種引当金の戻し入れ及び準備金の取り崩しによる益金算入額 |
土地等の譲渡に係る益金算入額 |
従業員の社宅等の使用料及び従業員の食事代収入 |
収入に計上した国税及び地方税に係る還付金又は充当金若しくは過誤納金で、還付加算金を除いた額 |
償却資産の売却収入(売却時の帳簿価額を超えない金額に限ります。)等経費の戻入と認められる収入金額 |
購入棚卸資産に係る仕入割り戻し(リベ-ト)の額として収入に計上した額 |
事業税の税率
医療法人等は法人税法では一般法人ですが、事業税においては特別法人に該当していて下記のような二段階の低い標準税率が適用されています。 ただし都道府県によって異なる税率を定めることが出来ることになっていますので、申告時には実際に確認する必要があります。
区分 | 税率 |
課税所得年400万円以下 | 5.0% |
課税所得年400万円超及び清算所得 | 6.6% |
事業税の申告
医療法人(社会医療法人を除く)は、法人税では普通法人とされているため、法人県民税では普通法人扱いとなりますが、法人事業税では特別法人とされています。 そのため、中間申告の取扱いは、法人税で中間申告義務がある場合、法人県民税は中間申告義務がありますが、法人事業税では特別法人であるため中間申告義務がないことになります。 したがって、事業税の申告は確定申告のみで中間申告は必要ありませんのでご注意願います。 社会医療法人は法人税で公益法人等、事業税では特別法人とされるため、法人県民税・事業税ともに中間申告義務はありません。 (参照 地方税法第72条の23)
第七十二条の二十三 第七十二条の十二第三号の各事業年度の所得は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより算定するものとする。一 内国法人 各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし、この法律又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例により算定する。 二 外国法人 各事業年度の法人税法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に係る所得の金額及び同号ロに掲げる国内源泉所得に係る所得の金額の合算額によるものとし、この法律又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である同号イに掲げる国内源泉所得に係る所得及び同号ロに掲げる国内源泉所得に係る所得の計算の例により算定する。 2 前項の規定により第七十二条の十二第三号の各事業年度の所得を算定する場合には、法人税法第五十七条第六項から第八項まで、第五十九条第五項、第六十二条の五第五項、第六十四条の五、第六十四条の七及び第六十四条の八並びに租税特別措置法第五十五条(同条第一項及び第八項に規定する特定株式等で政令で定めるものに係る部分を除く。)の規定の例によらないものとし、医療法人又は医療施設(政令で定めるものを除く。)に係る事業を行う農業協同組合連合会(特定農業協同組合連合会を除く。)が社会保険診療につき支払を受けた金額は、益金の額に算入せず、また、当該社会保険診療に係る経費は、損金の額に算入しない。 3 前項に規定する社会保険診療とは、次に掲げる給付又は医療、介護、助産若しくはサービスをいう。 一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十二条第一項においてその例によるものとされる場合を含む。以下この号において同じ。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)、児童福祉法又は原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)の規定に基づく療養の給付(健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法若しくは私立学校教職員共済法の規定により入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費若しくは特別療養費(国民健康保険法第五十四条の三第一項又は高齢者の医療の確保に関する法律第八十二条第一項に規定する特別療養費をいう。以下この号において同じ。)を支給することとされる被保険者、組合員若しくは加入者若しくは被扶養者に係る療養のうち当該入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費若しくは特別療養費の額の算定に係る当該療養に要する費用の額としてこれらの法律の規定により定める金額に相当する部分(特別療養費に係る当該部分にあつては、当該部分であることにつき総務省令で定めるところにより証明がされたものに限る。)又はこれらの法律の規定により訪問看護療養費若しくは家族訪問看護療養費を支給することとされる被保険者、組合員若しくは加入者若しくは被扶養者に係る指定訪問看護を含む。)、更生医療の給付、養育医療の給付、療育の給付又は医療の給付 二 生活保護法の規定に基づく医療扶助のための医療、介護扶助のための介護(同法第十五条の二第一項第一号に掲げる居宅介護のうち同条第二項に規定する訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション若しくは短期入所療養介護、同条第一項第五号に掲げる介護予防のうち同条第五項に規定する介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション若しくは介護予防短期入所療養介護又は同条第一項第四号に掲げる施設介護のうち同条第四項に規定する介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスに限る。)若しくは出産扶助のための助産若しくは健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第九十一条の規定による改正前の生活保護法の規定に基づく介護扶助のための介護(同法第十五条の二第一項第四号に掲げる施設介護のうち同条第四項に規定する介護療養施設サービスに限る。)又は中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)の規定(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成十九年法律第百二十七号)附則第四条第二項において準用する場合を含む。)に基づく医療支援給付のための医療その他の支援給付に係る政令で定める給付若しくは医療、介護、助産若しくはサービス若しくは中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成二十五年法律第百六号)附則第二条第一項若しくは第二項の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の規定に基づく医療支援給付のための医療その他の支援給付に係る政令で定める給付若しくは医療、介護、助産若しくはサービス 三 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)の規定に基づく医療 四 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により居宅介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定居宅サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション又は短期入所療養介護に限る。)のうち当該居宅介護サービス費の額の算定に係る当該指定居宅サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分、同法の規定により介護予防サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定介護予防サービス(介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション又は介護予防短期入所療養介護に限る。)のうち当該介護予防サービス費の額の算定に係る当該指定介護予防サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により施設介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスのうち当該施設介護サービス費の額の算定に係る当該介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第二十六条の規定による改正前の介護保険法の規定により施設介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定介護療養施設サービスのうち当該施設介護サービス費の額の算定に係る当該指定介護療養施設サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分 五 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)の規定により自立支援医療費を支給することとされる支給認定に係る障害者等に係る指定自立支援医療のうち当該自立支援医療費の額の算定に係る当該指定自立支援医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により療養介護医療費を支給することとされる支給決定に係る障害者に係る指定療養介護医療(療養介護に係る指定障害福祉サービス事業者等から提供を受ける療養介護医療をいう。)のうち当該療養介護医療費の額の算定に係る当該指定療養介護医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は児童福祉法の規定により肢体不自由児通所医療費を支給することとされる通所給付決定に係る障害児に係る肢体不自由児通所医療のうち当該肢体不自由児通所医療費の額の算定に係る当該肢体不自由児通所医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により障害児入所医療費を支給することとされる入所給付決定に係る障害児に係る障害児入所医療のうち当該障害児入所医療費の額の算定に係る当該障害児入所医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分 六 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号)の規定により特定医療費を支給することとされる支給認定を受けた指定難病の患者に係る指定特定医療のうち当該特定医療費の額の算定に係る当該指定特定医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は児童福祉法の規定により小児慢性特定疾病医療費を支給することとされる医療費支給認定に係る小児慢性特定疾病児童等に係る指定小児慢性特定疾病医療支援のうち当該小児慢性特定疾病医療費の額の算定に係る当該指定小児慢性特定疾病医療支援に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分 |
MS法人
MS法人とは
MS法人とはメディカルサービス法人の略称です。 一般の株式会社等であるMS法人を設立することよって、医療法人では制約があり、難しいとされている、介護サ-ビスの提供、コンタクトレンズ・化粧品等の物品販売等を行うことができます。 その結果、所得の分散により節税効果が期待できます。
MS法人設立のメリット
区分 | 内容 |
節税効果がある | 消費税が増えるが所得の分散により、所得税が減少する。また、法人の収入金額に相当する金額は医療法人の損金又は個人の事業所得の必要経費になり、過不足ゼロになります |
医業の経営を分離することによって医業に専念できる | 診療と管理を分離することによって、病院等の経営が明確になり、運営がしやすくなります |
医療法人(出資持分ありの医療法人)に留保された利益の移転による医業経営の安定化 | 医療法人は配当ができないので利益が留保されて、出資持分の相続税の評価が高くなります。そこで合理的な取引により、医療法人から留保された利益をMS法人に移すことによって持分の評価を下げ相続をスムーズに行い、医業を安定させることが出来ます |
医療法人では出来ないこともできる | 介護サービス等の事業拡大が容易になります |
相続税対策がしやすい | 医療法人の経営を後継者に譲り、引退した医師又は家族がMS法人の役員に就任することで、老後資金を確保でき相続税対策がスムーズに進みます |
MS法人設立のデメリット
区分 | 内容 |
運営コストが増加する | 医療法、薬事法等に規定されている人材確保、会計、保険請求業務を行える人材をそろえるため人件費等が増加する |
消費税が増加する | MS法人が支払う消費税が増加する一方、もともと免税業者であった場合に、個人開業医又は医療法人に減税効果が出ない |
医療法等の知識が必要になる | 業務内容によるが、医療法、薬事法等に関連する業務も行う場合は、これに関連する法律等の知識が必要になる |
税務上のリスクがある | ペ-パ-カンパニ-ではないかとの疑義を持たれ、絶えずその業務の内容、金額の妥当性等がチックされ、場合によっては否認されるケ-スもありうる |
医療法人とMS法人の取引の制限等
MS法人の設立には上記の様なメリットもありますが、医療法人とMS法人との取引については、税法上ペ-パ-カンパニ-ではないかとの疑義を持たれ、絶えずその業務の内容、金額の妥当性等がチックされ、取引実態によっては否認されるケ-スも考えられます。 またMS法人の業務内容については、各種法律等による制限、許可等が必要な場合もあり、その業務内容は慎重に選択する必要があります。
項目 | 内容 | 取引を行う為の必要資格等 |
薬事法の制限 | 医薬品等の売買 | 医薬品製造販売業許可 |
医療用機器等のリ-ス | 高度管理医療機器等販売業・賃貸業許可又は高度管理医療機器等販売業・賃貸業届出 | |
医療法の制限 | 医療法施工令第4条の7に該当する業務 (診療等に著しい影響を与える業務) 第四条の七 法第十五条の三第二項に規定する政令で定める業務は、次のとおりとする。一 医療機器又は医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務 二 病院における患者、妊婦、産婦又はじよく婦の食事の提供の業務 三 患者、妊婦、産婦又はじよく婦の病院、診療所又は助産所相互間の搬送の業務及びその他の搬送の業務で重篤な患者について医師又は歯科医師を同乗させて行うもの 四 厚生労働省令で定める医療機器の保守点検の業務 五 医療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務(高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)の規定により高圧ガスを製造又は消費する者が自ら行わなければならないものを除く。) 六 患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の寝具又はこれらの者に貸与する衣類の洗濯の業務 七 医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務の用に供する施設又は患者の入院の用に供する施設の清掃の業務 | 当該業務を適切に行う能力のあるものとして厚生労働省令で定める基準に適合する者が必要(具体的には医療法施行規則を参照ください) 左記一 第九条の九 左記二 第九条の十 左記三 第九条の十一 左記四 第九条の十二 左記五 第九条の十三 左記六 第九条の十四 左記七 第九条の十五 |
MS法人で行えそうな業種とその条件
区分 | 条件等 | |
1 | 介護事業サービス | 介護サービス提供責任者が必要。 なることが出来る資格の種類は介護福祉士・看護師・准看護師・保健師・実務者研修・ホームヘルパー1級・介護職員基礎研修です。 |
2 | コンタクトレンズ、化粧品等の販売 | コンタクトレンズ-高度管理医療機器等販売業許可が必要。 化粧品-国内製造の化粧品の場合、国内のメーカー(製造販売業者)や卸(問屋・ディーラー)から仕入れる場合は、資格不要(ただし海外製造の化粧品の場合、直接海外から仕入れる場合には、化粧品製造販売業許可が必要)。 |
3 | 医療用機器の販売及び賃貸 | 「特定保守管理医療機器」に該当する医療機器(高度管理医療機器等)の販売及び貸与を行うためには事前に許可の取得が必要です。 |
4 | 院内の給食、院内の清掃 | 当該業務を適切に行う能力のあるものとして厚生労働省令で定める基準に適合する者が必要です。 |
5 | 院内のリネンクリーニング | 〃 |
6 | 人材派遣業 | 労働者派遣業の資格必要 |
7 | 不動産の管理 | 資格なし |
8 | 医療事務、経理事務等 | 資格なし |
9 | 保険請求事務 | 資格なし |
10 | 院内の売店の運営 | 資格なし |
11 | 保険の代理店 | 資格なし (ただし各保険会社と代理店契約をし、各保険会社が行っている研修を受ける必要があります) |
お勧めできる業種
上記のようにMS法人の業務は、法律等で色々とが制限されますが、6を除き、資格、許可等の条件なしでできる業務は下記の様な業務となりますので下記業務を選択することをお勧めいたします。 なお、積極的事業展開を志向する場合は、それぞれの業務についての条件をクリアする必要がありますが、大きくMS法人設立の効果を受けることが出来ると思います。
区分 | 内容 | |
1 | 不動産の賃貸業務 | 診療所等の土地、建物の賃貸 |
2 | 病院等の清掃 | 診療所等内の清掃業務 |
3 | 物品の販売業 | 衣類、書籍等の販売 |
4 | 事務の請負業 | 経理、一般事務等の請負 |
5 | 保険請求業務の請負 | レセプトの請求業務 |
6 | 人材派遣業(労働者派遣事業の許可が必要) | 診療所等内の人材の派遣業 |
医療法人と同族会社の関係等
医療法人と同族会社の関係
原則
医療法人は会社ではありませんので法人税法上の同族会社には該当しません。 したがって法人税法上のいわゆる下記の様な(同族会社の)規定は適用されません。
- 同族会社の行為または計算の否認
- 役員または使用人兼務役員の範囲の特例
- 特定同族会社の留保金課税
例外
医療法人は会社ではありませんので法人税法上の同族会社には該当しませんが、法人税法132条ニの規定により、同族会社等に該当した場合は、下記の規定が適用されることになります。
同族会社等の行為または計算の否認
同族会社等の行為または計算の否認 租税回避を防ぐための規定で、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算が否認され、税務署長の権限で税額を計算できるというものです。 (法人税法132条ニ)イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。 |
ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。 |
ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。 |
医療法人とみなし役員との関係
みなし役員の規定
同族会社の使用人のうち、つぎの⑴から⑶のすべての要件を満たす者で、その法人の経営に事しているもの
⑴ その会社の株主グループにつき、その所有割合が大きいものから順に並べ、 上位3位グループの所有割合を算定した場合に、その使用人がつぎの①から③のいずれかのグループに属していること | ①第1順位の株主グループの所有割合が50%超である場合の、その株主グループ ②第1順位と第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ ③第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ |
⑵ その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。 | |
⑶ その使用人(その配偶者ならびにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含む)の所有割合が5%を超えていること。 |
結論
したがって医療法人は同族会社ではありませんので、経営に従事していると認めらりる者以外であればこのみなし役員の規定は適用されず、経営者の配偶者及び子供でもみなし役員にならず、使用人給与として支給することが出来ます。(参照条文) (同族会社等の行為又は計算の否認) 第百三十二条 税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。 一 内国法人である同族会社 二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人 イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。 ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。 ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。 2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。 3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。
兵庫県の一人医師医療法人の設立
(兵庫県HPより)
1.医療法人設立認可申請に対する処分の「審査基準」および「申請の手引き」
下記リンクの「審査基準」に基づいて、医療法人設立認可申請に対する処分を決定します。 医療法人設立認可申請に対する処分の「審査基準」(PDF:61KB)一人医師医療法人設立認可手引(令和2年4月版)(PDF:1,172KB)※令和2年4月に更新
2.一人医師医療法人の設立認可申請に係る様式類
医療法に基づく一人医師医療法人(医師又は歯科医師が常時一人又は二人勤務する診療所を開設する医療法人)の設立に係る様式類について、下記のとおり電子ファイルにより提供いたします。 申請手続きを行う場合は、先に「医療法人設立認可申請手引(一人医師医療法人)」ファイルに記載された内容を熟読いただいた後、申請に必要な書類の作成を進めてください。
3.設立スケジュール
一人医師医療法人の設立に係る詳細なスケジュール等は、「医療法人設立認可申請手引(一人医師医療法人)」に記載していますが、概要は下記のとおりです。
申請書(案)提出期限 | ヒアリング(注) | 県医療審議会での審議 | 設立認可 | 設立登記 |
---|---|---|---|---|
毎年5月末 | 7月~8月頃 | 11月頃 | 12月頃 | 1月頃 |
毎年9月末 | 12月~1月頃 | 2月頃 | 3月頃 | 4月頃 |
(注)ヒアリングは提出いただいた申請書(案)の事前審査を経て、2回実施します。そのうち1回は、理事長となる予定の医師・歯科医師の方に出席いただきます。 4.病院を開設する医療法人の設立認可について 病院を開設する医療法人設立の認可申請に係る提出書類は、一人医師医療法人設立の認可申請に係る書類と一部異なりますので、医務課医療指導班(内線3227)までご連絡願います。 5.様式
関連メニュー 医療法に関する許認可・届出様式(病院・医療法人関係)トップページ病院・放射線に関する申請・届出医療法人に関する申請・届出一人医師医療法人の設立について医療機能の報告義務について お問い合わせ 部署名:健康福祉部健康局医務課 医療指導班 電話:078-362-3242 内線:3227 FAX:078-362-4267 Eメール:imu@pref.hyogo.lg.jp
医療法人の種類
組織形態による分類
医療法人社団
複数の人が現金、不動産等一定の財産を拠出して設立された団体で都道府県知事の認可を受け、登記された医療法人(現在設立される多くの法人がこの法人である)
医療法人財団
個人又は法人が現金、不動産等一定の財産を無償で寄付し一定の条件のもとで都道府県知事の認可を受け、登記された医療法人
その他の法律による医療法人の分類
医療法人の種類 | 内 容 |
特定医療法人 | 医療法人のう一定の要件のもと国税庁長官の承認を受けた法人で、法人税の軽減措置が受けられる |
社会医療法人 | 医療法人のうち、より公共性が高い法人で一定の要件のもと都道府県知事の認定を受けた法人で税制上の優遇、付帯事業の拡大等が認められています |
一人医師医療法人 | 医師が1~2人の小規模の医療法人で、その権利義務については他の医療法人と同じです |
広域医療法人 | 複数の都道府県において医療施設等を開設する医療法人で、その認可権者が各都道府県知事ではなく厚生大臣(実務は地方厚生局長)とされている法人 |
認定医療法人 | 平成26年度の医療法改正により令和5年9月30日までに持ち分の定めがある社団が持ち分の定めのない社団に移行する計画を策定し、厚生労働大臣の認定を受けた場合その医療法人。 この場合に移行計画期間中に出資者の一部が持ち分放棄をした場合、他の出資者にみなし贈与として贈与税及び出資者全員が持ち分を放棄して持ち分のない医療法に移行した場合、利益を受ける医療法人に贈与税が課税される場合があるので注意が必要。 |
医療法人の運営
1 医療法人の組織形態
⑴社団医療法人の組織図
項目 | 詳細 | 定員 | 任期 |
社員 | 社員は拠出者でなくてもなることが出来、各一個の議決権を有します。 また社員には法人(営利を目的とする法人を除く)もなることが出来ますが運営上の観点から適当でないとされています | 3人以上 | |
理事 | 1 理事になれる人は自然人で次の欠格事由に該当していない人で、社員と兼務することが出来ます。 ⑴ 成年被後見人又は被保佐人 ⑵ 医療法、医師法等医療法施行令5条の5の7に定める医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者 ⑶ ⑵に該当する者を除くほか刑法等において禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者 2 その医療法人の開設する全ての病院、診療所又は介護老人保健施設の管理者を理事に加えなければならない。 | 3人以上 | 2年以内(定款の規定による) |
理事会 | 医療法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長の選出及び解職を行います。 | ||
理事長 | 医師、歯科医師である理事のうちから選出する(ただし都道府県知事の認可を受けた場合は医師、歯科医師でない理事のうちから選出することができる)。 *例外規定 理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった場合にその子女が医科又は歯科大学在学中か、又は卒業後、臨床研修を終えるまでの間、医師、歯科医師でない配偶者が理事長に就任しようとするような場合 | 1人 | 2年以内(定款の規定による) |
監事 | 医療法人の財産等及び業務の監査を行います。 医師である必要はありませんが理事又は従業員、理事の親族、医療法人に拠出している個人、顧問関係にある個人(税理士、公認会計士、弁護士等)は監事になることができません | 1人以上 | 2年以内(定款の規定による) |
社員総会 | 社員総会は社団医療法人の最高意思決定機関で各一個の議決権を有する社員で構成されます。 理事長は少なくとも毎年1回定時社員総会を開かなければなりません(厚生労働省のモデル定款により実務上は年2回行われることが一般的になっています) |
⑴ 財団医療法人の組織図
綱目 | 詳細 | 定員 | 任期 |
評議員 | 財団医療法人の最高意思決定機関で、諮問機関である評議員会の構成員で医療従事者、病院の経営に関して見識を有する者又は患者等のうちから寄付行為で定める方法により選出することになっています。 ただし次の人は評議員になれません。 ⑴法人 ⑵成年被後見人又は被保佐人 ⑶医療法、医師法等医療法施行令5条の5の7に定める医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者 ⑷⑶に該当する者を除くほか、刑法等において禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又執行を受けることがなくなるまでの者 ⑸当該医療法人の役員、職員 | 理事の定数を超える数 | 2年以内(寄付行為の規定による) |
評議員会 | ⑴事業報告書等の承認 ⑵法人の重要事項の決定 ⑶理事、監事の選任、解任 ⑷理事、監事の報酬額の決定(寄付行為で規定がない場合) | ||
理事 | 1 理事になれる人は自然人で次の欠格事由に該当していない人で、社員と兼務することが出来ます。 ⑴成年被後見人又は被保佐人 ⑵医療法、医師法等医療法施行令5条の5の7に定める医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者 ⑶⑵に該当する者を除くほか刑法等において禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又執行を受けることがなくなるまでの者 2 その医療法人の開設する全ての病院、診療所又は介護老人保健施設の管理者を理事に加えなければならない | 3人以上 | 2年以内(寄付行為の規定による) |
理事長 | 医師、歯科医師である理事のうちから選出する(ただし都道府県知事の認可を受けた場合は医師、歯科医師でない理事のうちから選出することができる) *例外規定 理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった場合にその子女が医科又は歯科大学在学中か、又は卒業後、臨床研修を終えるまでの間、医師、歯科医師でない配偶者が理事長に就任しようとするような場合 | 1人 | 2年以内(寄付行為の規定による) |
監事 | 医療法人の財産等及び業務の監査を行います。 医師である必要はありませんが理事又は従業員、理事の親族、医療法人に拠出している個人、顧問関係にある個人(税理士、公認会計士、弁護士等)は監事になることができません | 1人以上 | 2年以内(寄付行為の規定による) |
2 運 営
医療法人の運営は医療法人運営管理指導要綱に従い運営する必要が有ります 実務上は医療法人運営管理指導要綱に従い運営する必要が有りますので厚生労働省の医療法人運営管理指導要綱への案内をいたしますのでご参照ください
3 医療法人の会計、会計年度及び作成書類
⑴ 会 計
①会計基準
医療法人は医療法及び厚生労働省令で定めるところにより、一般的に公正妥当と認められる会計の慣行に従い適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならないとされています。 また、医療法第51条第2項に該当する医療法人の場合は公認会計士等の外部監査が義務付けられ、貸借対照表及び損益計算書については医療法人会計基準により作成しなければならないとされています。 医療法第51条第2項に該当する医療法人(医療法人会計基準により作成する必要がある法人)とは 医療法第51条第2項に規定する医療法人とは以下のとおりです(医療法施行規則第33条の2)。
- 貸借対照表に計上した負債の合計額が50億円以上又は損益計算書に計上した事業収益の合計額が70億円以上である医療法人
- 貸借対照表に計上した負債の合計額が20億円以上又は損益計算書に計上した事業収益の合計額が10億円以上である社会医療法人
- 社会医療法人債発行法人である社会医療法人
➁会計期間
医療法人の会計年度は4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるとされています。 ただし定款又は寄付行為に別段の定めがある場合は、この限りでないと規定されています。
⑵ 事業報告書等(毎決算期に作成する必要がある書類です)
①事業報告書
➁財産目録
➂貸借対照表(医療法人の種類により次のとおり分かれています)
一般(医療法人会計基準適用以外) | イ 病院又は介護老人施設を開設する医療法人 | A 持分の定めがないもの B 経過措置医療法人 |
ロ 診療所のみを開設する医療法人 | A 持分の定めがないもの B 経過措置医療法人 | |
医療法人会計基準適用 | イ 病院又は介護老人施設を開設する医療法人 | A 持分の定めがないもの B 経過措置医療法人 |
ロ 診療所のみを開設する医療法人 | A 持分の定めがないもの B 経過措置医療法人 |
➃損益計算書
イ 病院又は介護老人施設を開設する医療法人 ロ 診療所のみを開設する医療法人
⑤監事監査報告書
⑥関係事業者との取引状況に関する報告書
医療法人における事業報告書等の様式について (厚生労働省ホ-ムペ-ジより) 1 医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第51条第1項の事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び関係事業者との取引の内容に関する報告書並びに第46条の4第7項第3号の監査報告書の様式を次のとおり定めたこと。 (1) 事業報告書 様式1 (2) 財産目録 様式2 (3) 貸借対照表 ① 病院、介護老人保健施設又は介護医療院を開設する医療法人 様式3―1 ② 診療所のみを開設する医療法人 様式3―2 (4) 損益計算書 ① 病院、介護老人保健施設又は介護医療院を開設する医療法人 様式4―1 ② 診療所のみを開設する医療法人 様式4―2 (5) 関係事業者との取引の状況に関する報告書 様式5 (6) 監事監査報告書 様式6 2 法第54条の2第1項の社会医療法人債を発行した医療法人(当該社会医療法人債の総額について償還済みであるものを除く。)の財産目録、貸借対照表及び損益計算書の様式については、1にかかわらず、社会医療法人債を発行する社会医療法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(平成19年厚生労働省令第38号)の様式第一号、様式第二号及び様式第三号により取り扱われたいこと。 3 法第51条第2項の医療法人の財産目録、貸借対照表及び損益計算書の様式については、1にかかわらず、財産目録については、医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針(平成28年4月20日医政発0420第5号)の様式第三号、貸借対照表及び損益計算書については、医療法人会計基準(平成28年厚生労働省令第95号)の様式第一号及び第二号により取り扱われたいこと。
〔別紙〕 厚生労働省ホ-ムペ-ジにリンク画像1 (39KB)
4 変更登記
登記項目 | 登記内容 |
⑴ 定款又は寄付行為の変更の許可を受けた登記事項の変更 | 医療法人の名称及び事務所の所在地の変更、診療所の新規開設があった場合等の場合は登記の変更が必要になります |
⑵ 総資産額の変更 | 毎会計年度終了後2か月以内に、財産目録に記載された資産の総額の登記が必要になります |
⑶ 理事、理事長の変更 | 理事、理事長の任期満了等による変更があった場合は変更の登記が必要になります |
⑴、⑶の変更登記は2週間以内にする必要が有ります |
5 税金に係る申告書の提出及び納付
税 目 | 手続き |
⑴ 法人税の申告 | 原則毎会計年度終了の日から2か月以内に確定申告書を提出する必要が有り、また、前期の税額が一定額を超える場合は期中で予定申告書を提出する必要が有ります |
⑵ 法人県民税及び事業税の申告 | 会計年度終了の日から2か月以内に確定申告書を提出する必要が有り、また、場合により期中で予定申告書を提出する必要が有ります(ただし事業税の予定申告は必要ありません) |
⑶ 法人市民税の申告 | 会計年度終了の日から2か月以内に確定申告書を提出する必要が有り、また、場合により期中で予定申告書を提出する必要が有ります |
⑷ 源泉所得税の納付 | 従業員の給与に係る源泉所得税を徴収月の翌月10日までに納付する必要が有ります(但し納期の特例の承認を受けた場合は、1月-6月分は7月10日迄に、7月-12月分は翌年1月20日迄) |
⑸ 市民税の納付 | 従業員の特別徴収の市民税は徴収月の翌月10日までに納付する必要が有ります |
⑹ 償却資産(固定資産税)の申告 | 毎年1月31日までに1月1日現在の償却資産(固定資産税)の申告書を提出する必要が有ります |
6 理事及び監事の報酬等
項 目 | 内 容 |
⑴ 理事の報酬等 | 理事の報酬等は定款又は寄付行為によりその額を定めていないときは、社員総会や評議員会(以下社員総会等という)の決議によって定めることされています。 実務は総額を社員総会等で定め具体的な個々の理事の金額は理事会で決めることになります。 |
⑵ 監事の報酬等 | 監事の報酬等は定款又は寄付行為によりその額を定めていないときは、社員総会等の決議によって定めることされています。 監事が二人以上の場合は決められた総額の範囲内で監事の協議で決めることになっています。 |
⑴、⑵が不相当に高額な場合 | ただし税法上、役員報酬(定時同額給与及び税務署の承認を受けた場合は届出の賞与)は原則損金に算入されますが、その役員の職務の内容、同種同規模法人の報酬支給状況に照らして不相当に高額な金額は損金になりません(法人税第34条) |
不相当の判定方法 | 不相当に高額かどうかの判定は、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であるかどうかによります |
兵庫県の医療法人に関する申請・届出
(兵庫県HPより抜粋した分ですので下記もご参照下さい)医療法人に関する医療法上の申請・届出様式を掲載しています。
申請書、届出書の宛名、申請窓口、提出部数等について
- 申請書、届出書の宛名、申請窓口、提出部数等について
- 病院・介護老人保健施設を運宮する医療法人、法人の主たる事務所が神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市に所在する法人、2以上の都道府県に医療施設を開設している法人 *例:兵庫県内に主たる事務所のある病院を開設する法人、神戸市内に主たる事務所のある診療所のみを開設する法人、兵庫県内に主たる事務所があり兵庫県内と大阪府内に診療所や病院を開設する法人
- 宛名:「兵庫県知事」としてください。
- 提出先:法人の主たる事務所の所在地を所管する各市保健所(姫路市、尼崎市、明石市、西宮市の場合。神戸市は各区役所の保健センター管理係。)、又は県健康福祉事務所(左記5市以外の場合)
- 提出部数 申請書3部(内訳:正本、副本、進達機関(保健所等)の控え) 決算届3部(内訳:正本、副本、進達機関(保健所等)の控え) その他の届出2部(内訳:正本、進達機関(保健所等)の控え) ※提出者側の控えとして上記に必要部数を加えてください。
- 上記以外の法人 *例:加古川市内に主たる事務所のある診療所のみを開設する法人
- 宛名:1部提出の届出及び決算届「兵庫県○○県民局長(県民センター長)」としてください。 (例:芦屋市に所在する法人=兵庫県阪神南県民センター長、加古川市に所在する法人=兵庫県東播磨県民局長) 2部提出の届出「兵庫県知事」としてください。 申請書「兵庫県知事」としてください。
- 提出先:法人の主たる事務所の所在地を所管する県健康福祉事務所
- 提出部数 申請書3部(内訳:正本、副本、進達機関(保健所等)の控え) 決算届2部(内訳:正本、副本) その他の届出1部(内訳:正本) ※ただし、定款(寄付行為)変更認可を経た登記事項変更登記完了届及び定款(寄付行為)変更届は、2部(内訳:正本、副本) ※提出者側の控えとして上記に必要部数を加えてください。
- 問合せ・提出先一覧 問合せ・提出先一覧(PDF:46KB)
- 留意事項
- 申請については、認可書等とともに、副本をお返しします。認可書は提出先から交付を受けてください。(原則提出先の保健所(*神戸市は各区役所の保健センター管理係)又は健康福祉事務所で交付。郵送を希望する場合は申請者の負担となります。)
- 申請書正本に添付する資料等で、原本交付が可能なもの(登記事項証明等)については、原本を添付してください。その他、原本を添付できない場合(社員総会議事録等)は理事長の原本証明を添付してください。
- 届出については、提出先の保健所又は健康福祉事務所に提出した時点で完了します。控えに受理印が必要な場合には別途1部控えをご用意いただき、提出先窓口で受理印の押印を受けてください。
- 申請・届出内容については、必要書類が添付できているか、字句等の誤り、計算誤り等がないかを確認した上で提出してください。(誤りがあった場合は、内容の確認、書類の差し替えをお願いしますので担当者の連絡先電話番号を必ず記載してください。)
- 記載例を確認していただき作成してください。
- 本様式集は社団法人形式の医療法人を想定して作成しているため、財団形式の医療法人については、定款を寄附行為に、社員総会を評議員会にする等、適時必要に応じて読み替えて使用してください。
1 医療法人の運営について[平成28年9月1日より]
平成27年9月28日に公布された「医療法の一部を改正する法律」により医療法が改正され、関係政省令の改正により医療法人の役員の義務や公認会計士等による監査、医療法人会計基準の導入などに関する規定が整備され、平成28年9月1日から適用となっています。 つきましては、下記のとおり、改正後の法令に対応した医療法人の定款(財団医療法人にあっては寄附行為)変更及び運営上の留意点等についてとりまとめましたので、必要な手続を行うとともに、医療法人の運営について適切に実施いただきますようお願いいたします。 (1)改正法令に対応した医療法人の定款変更について 「2よくある申請・届出(1)医療法人の定款変更認可申請」を参照し、下記ア又はイの区分に応じて定款変更申請を行ってください。
- ア 社会医療法人、病院又は介護老人保健施設を運営する法人、現行定款上では理事会が存在しない法人
- →(申請書提出期限):平成30年9月1日まで
- イ ア以外の法人[例:診療所のみを運営する法人(定款上理事会を設置していない法人は除く)]
- →特に期限は設けませんが、事業の追加等他の項目に関する定款変更認可申請の際に合わせて変更してください。
認可後の法務局への登記手続きの案内はこちら(内容に関するお問い合わせは法務局へ)(外部サイトへリンク) (2)医療法人の運営上の留意点について「平成27年度改正医療法に基づく医療法人の運営に関する留意事項」(PDF:234KB)を参照ください。 また、医療法人関係者と医療法人の間の取引が発生する場合は、「医療法人関係者と医療法人の間の取引について」(PDF:57KB)により、取引額の設定を適切に行ってください。
- 法令の規定が優先されるため、定款を変更していない場合でも、 『平成28年3月25日付医政発0325第3号医政局長通知「医療法人の機関について」』(PDF:521KB)を参照し、会議の運営・決議事項・議事録の内容等に遺漏のないよう法人運営を行ってください。
- また、決算規模が一定額以上の法人については、平成29年4月2日以後に開始する会計年度から、下記通知のとおり、会計基準の変更、公認会計士等による外部監査、関係者取引の報告等新たに対応が必要であるので留意してください。
『平成28年4月20日付医政発0420第7号厚生労働省医政局長通知「医療法人の計算に関する事項について」(PDF:424KB)『平成28年4月20日付医政発0420第5号厚生労働省医政局長通知「医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針」』(PDF:268KB)
2 よくある申請・届出
(1)医療法人の定款変更認可申請 下記ア又はイの区分に応じて、平成27年度医療法改正に伴うモデル定款に準拠した条文の追加・修正を行ってください。
- ア 社会医療法人、病院又は介護老人保健施設を運営する法人、現行定款上では理事会が存在しない法人→(申請書提出期限):平成30年9月1日まで
- イ ア以外の法人【例:診療所のみを運営する法人(ただし、定款上理事会を設置していない法人は上記アになります)】 →特に期限は設けませんが、事業の追加等他の項目に関する定款変更申請の際に合わせて変更してください。 「新モデル定款に準拠した定款変更手続について」(ワード:40KB) 『平成28年3月25日付医政発0325第3号医政局長通知「医療法人の機関について」』(PDF:521KB) 「新旧条文対照表記載例(持ち分のある医療法人)」(ワード:32KB) 「新旧条文対照表記載例(持ち分のない医療法人)」(ワード:32KB) 「定款案記載例持ち分のある医療法人)」(ワード:55KB) 「定款案記載例持ち分のない医療法人)」(ワード:58KB)
及び別添1~7(PDF:7,335KB)、8~12(PDF:1,993KB)
新たな事業を追加される場合は、事業内容に応じ、以下の様式を使用ください。
- 様式(予算書関係)(エクセル:87KB) ※病院・診療所を開設する場合
- 様式(予算書関係)(エクセル:60KB) ※附帯業務を開設する場合(エクセル:48KB)
- 様式(予算書関係)(エクセル:89KB) ※介護老人保健施設を開設する場合(エクセル:73KB)
- 様式(予算書関係)(エクセル:31KB) ※共通様式(法人全体として作成するもの)(エクセル:34KB)
主たる事務所を神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市におく法人については、申請時、新旧条文対照表、現行定款、変更後の定款案のワードファイルを添付し、ファイル名を「医療法人○○会定款案等」とした電子メールを次のEメールアドレス(imu@pref.hvoao.lg.jp)あて提出してください。 (2)特別代理人認可申請(平成28年8月31日以降は申請不要となりますが、理事会決議等法人内部の手続が新たに必要となるので、上記1(2)医療法人の運営上の留意点についてを参照すること。) (2)決算届(事業報告書等) 医療法人は、医療法第52条第1頁の規定に基づき、毎会計年度終了後3月以内に事業報告書等を都道府県知事に届け出なければなりません。
医療法第51条第2項の医療法人 注1 | 左記以外の医療法人 | |||
---|---|---|---|---|
社会医療法人 | その他の医療法人 | 社会医療法人 | その他の医療法人 | |
決算届 | 様式11号(ワード:23KB) | |||
事業報告書 | 様式11-1(ワード:26KB) | |||
財産目録 | 様式11-2(エクセル:17KB) | |||
貸借対照表 | 様式11-3(エクセル:16KB) ※診療所のみを開設する法人様式11-4(エクセル:21KB) ※病院、介護老人保健施設又は介護医療施設を開設する法人 | |||
損益計算書 | 様式11-5(エクセル:16KB) ※診療所のみを開設する法人様式11-6(エクセル:19KB) ※病院、介護老人保健施設又は介護医療施設を開設する法人 | |||
関係事業者との取引の状況に関する報告書 注2 | 様式11-7(エクセル:18KB) 記載例(PDF:46KB) | |||
監事監査報告書 | 様式6(ワード:23KB) | |||
純資産変動計算書 | 様式第四号(エクセル:19KB) | ー | ||
附属明細表 | 様式第五号から様式第九の二号様式(エクセル:59KB) | ー | ||
重要な会計方針等の記載及び貸借対照表等に関する注記 | 注記(ワード:20KB) | ー | ||
公認会計士等の監査報告書 | 様式なし(任意様式) | ー |
注1 医療法第51条第2項に規定する医療法人とは以下のとおりです(医療法施行規則第33条の2)。
- 貸借対照表に計上した負債の合計額が50億円以上又は損益計算書に計上した事業収益の合計額が70億円以上である医療法人
- 貸借対照表に計上した負債の合計額が20億円以上又は損益計算書に計上した事業収益の合計額が10億円以上である社会医療法人
- 社会医療法人債発行法人である社会医療法人
なお、上記に該当する医療法人及び社会医療法人は社員総会の承認を受けた貸借対照表及び損益計算書(会計基準を適用している場合は注記も含む。)を公告しなければなりません。 注2 医療法第51条第1項に定める関係事業者とは、医療法人の役員・近親者(配偶者又は二親等内の親族)、医療法人の役員・近親者が支配する法人(社員総会等の議決権の過半数を占めている法人)などを指します(医療法施行規則第32条の6)。
- ○社会医療法人については、事業報告書等に加え、医療法第42条の2第1頁第1号から第6号に該当する旨を説明する書類の提出が必要です。
- ○社会医療法人債発行法人については、「社会医療法人債を発行する社会医療法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(平成19年厚生労働省令第38号)」で定める様式を使用してください。
《参考》
- 全ての医療法人について、決算終了後3ヶ月以内に、決算届により事業報告書、財産目録、貸借対照表、監査報告書の届出義務があります。
- 決算届の閲覧についてはこちらをご覧ください。
(以下再掲)
- 提出部数(うち1部が閲覧用のため理事長印及び監事の印は押印しない)
3部
- 病院・介護老人保健施設を運営する医療法人
- 法人の主たる事務所が神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市(※1)に所在する診療所のみを運宮する法人
- 2以上の都道府県に医療施設を運営する法人
2部
- (※1)以外の市長に所在する診療所のみを開設する法人
- 主たる事務所の所在地を所管している各市保健所(姫路市、尼崎市、明石市、西宮市の場合。神戸市は区役所)又は県健康福祉事務所(左記5市以外の場合)に提出ください。
(3) 役員変更届
- 役員が全て重任の場合:提出は不要。
- 姓の変更があった場合:姓の変更前後が分かるもの(住民票等)を併せて提出。
- 役員が死亡し、補充しない場合:(1)社員総会(理事会)の議事録の写し(理事長の原本と相違ない旨の証明が必要)、(2)変更前及び変更後の役員及び社員(評議員)名簿を提出。ただし、定款に定めている定員以内であることが必要。
(4)登記事項変更登記完了届
※オンラインによる登記事項証明書の請求はこちら(内容に関するお問い合わせは法務局へ)(外部サイトへリンク)
3 その他の申請・届出(外部サイトヘリンク)
上記の申請・届出を含む医療法人に関する様式及び記載例を提供します。
お問い合わせ 部署名:健康福祉部健康局医務課 医療指導班 電話:078-362-3242(直通) 内線:3226(病院・老健を運営する法人)、内線3227(診療所のみを運営する法人) FAX:078-362-4267 Eメール:imu@pref.hyogo.lg.jp医療・保健衛生
医療法人の持分の定めのない医療法人への移行
医療法人の現況
医療法人の現在の状況は下記の様になっていますが平成19年4月1日以後は持分の定めのない医療法人しか設立出来なくなり、又それ以前に設立された持分の定めのある医療法人も持分の定めのない医療法人に移行する必要が有り、以下移行する時の注意事項を御説明いたします。
1 現行の医療法人の形態
医療法人の種類 | 経過措置 | 移行時の課税関係 | 現状及び問題点 |
⑴財団医療法人 | そのまま存続 | - | 新設法人に利用されてない |
⑵持分の定めのない社団医療法人 | そのまま存続 | - | 設立後に2か月分の運転資金が必要になるため院長の個人資産を投入する必要が有り、これによる課税関係が発生する可能性が有るので新規設立開業には向かない |
⑶持分の定めのない基金拠出型社団医療法人 | そのまま存続 | - | 設立後に2か月分の運転資金及び医業設備を基金として拠出ることが出来るのでスムーズに開業できる |
⑷持分の定めの有る社団医療法人(経過措置医療法人) | 持ち分定めのない社団医療法人に移行する必要があります(当分の間に) | (持分を全員放棄した場合) 持分放棄した者の親族その他これらの者と特別の関係のある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少したと認められるときはその医療法人に贈与税課税されることになります | 現在医療法人の多くが持ち分という財産権の消滅と法人に対する贈与税の課税のおそれのため、この状態にあります。持分の定めのない社団医療法人に移行する必要が有りますが慎重に推移しています。 しかしこのままでいると出資者に相続が発生した場合の相続人に、又持分払い戻し請求を受けた場合の医療法人に多額の金銭が必要になる恐れがあります |
⑸出資額限度医療法人(経過措置医療法人) | 持ち分定めのない社団医療法人に移行する必要があります (当分の間に) | (持分を全員放棄した場合) 持分放棄した者の親族その他これらの者と特別の関係のある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少したと認められるときはその医療法人に贈与税課税されることになります | 持分の定めの有る社団医療法人から出資額限度医療法人に変更して限度額を基金に充てることによって持分の定めのない基金拠出型社団医療法人なるために利用される可能性が有ります |
2 移行する場合の問題点
原則的取り扱い (不当減少要件)
持分の定めある医療法人が持分の定めない医療法人に移行する場合の重要な点は、医療法人に相続税法第66条第4項による贈与税の課税があるか否かです。 そのポイントになるのが[持分の定めない医療法人に対して財産の贈与又は遺贈があった場合において、当該贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、これを個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する]という規定です。 しかし次の要件を満たすときは贈与税の課税がされないことになっています。
⑴医療法人の運営組織が適正であること ⑵同族親族関係者が役員等の総数の3分の1以下であること ⑶医療法人関係者に対する特別利益供与が禁止されていること ⑷残余財産の帰属先が国、地方公共団体、公益法人等に限定されていること ⑸法令違反等の事実がないこと |
例外 (認定医療法人の認定基準)
医療法人の種類⑷及び⑸に対して、現在持ち分ありの医療法人から持ち分なしの医療法人へ移行するための移行の促進を図るため、令和5年9月30日までに認定基準を満たして認定医療法人の認定を受けることによって、以前の条件よりも緩和された所定の条件を整えることにより一定の移行期間内に移行した場合は、移行時のみなし贈与課税が非課税になる措置の適用を受けることが出来ます(贈与税の申告期限までに所定の書類を添付して申告することが条件になっています)
項 目 | 要 件 |
(最初の要件) | ①社員総会の議決があること |
➁移行計画が有効かつ適正であること | |
➂移行計画が3年以内であること | |
(追加された要件) | |
運営方法 | ① 法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと |
② 役員に対する報酬等が不当に高額にならないよう支給基準を定めていること | |
③ 株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと | |
④ 遊休財産額は事業にかかる費用の額を超えないこと | |
⑤ 法令に違反する事実、帳簿書類の隠蔽等の事実その他公益に反する事実がないこと | |
事業状況 | ⑥ 社会保険診療等(介護、助産、予防接種含む)に係る収入金額が全収入金額の80%を超えること |
⑦ 自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること | |
⑧自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によること |
診療所及び医療法人の事業廃止
1 診療所の廃止
保健所に診療所廃止届を提出する
2 医療法人の廃止
⑴保健所に診療所廃止届を提出する
⑵医療法人の解散
区 分 | 詳 細 | 手続き |
① 認可が必要な場合 | 55条6項(目的たる業務の成功の不能、社員総会の決議)に該当する場合は都道府県知事の認可を受ける必要が有り、次のような手続きが必要です | イ 解散認可申請 → ロ 医療審議会に諮問 → ハ 医療審議会の審議 → 二 解散認可 |
➁ 届出が必要な場合 | 定款をもつて定めた解散事由の発生、社員の欠亡に該当する場合は都道府県知事に届け出る必要が有ります | イ 届け出 |
➂ 合併の場合 | イ 合併認可申請 → ロ 医療審議会に諮問 → ハ 医療審議会の審議 → 二 合併認可 → 合併登記 | |
➃ 設立認可の取り消しの場合 | イ 命令違反による取り消しの場合 → ロ 医療審議会に諮問 → ハ 医療審議会の審議 → 二 設立認可の取消 | |
⑤ 破産場合 | イ 裁判所による破産宣告→ 裁判所の職権による破産登記 → 破産終結の決定 → 裁判所の職権による破産終結登記 | |
上記①➁➃場合はその後さらに下記の様な手続きが必要になります |
⑶ 解散登記
2週間以内に解散登記し、清算人の登記及び知事(保健所)に住所、氏名を届出
⑷ 清算手続き
債権の取立及び債務の弁済 、残余財産の引き渡し
⑸ 清算結了
知事(保健所)への届出、清算結了の登記
⑹ 残余財産の処理
合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に引き渡す。 この規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。(医療法第56条) * この場合持分の定めがある医療法人の出資者に対する残余財産の分配金が資本金等の額を超える場合は超える部分の金額は配当所得とみなされ所得税が課税されます
(医療法第55条)
三 社員総会の決議
四 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。次条第一項及び第五十六条の三において同じ。)
五 社員の欠亡
六 破産手続開始の決定
七 設立認可の取消し
2 社団たる医療法人は、総社員の四分の三以上の賛成がなければ、前項第三号の社員総会の決議をすることができない。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
3 財団たる医療法人は、次に掲げる事由によつて解散する。
一 寄附行為をもつて定めた解散事由の発生
二 第一項第二号、第四号、第六号又は第七号に掲げる事由
4 医療法人がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、裁判所は、理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
5 前項に規定する場合には、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
6 第一項第二号又は第三号に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
7 都道府県知事は、前項の認可をし、又は認可をしない処分をするに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
8 清算人は、第一項第一号若しくは第五号又は第三項第一号に掲げる事由によつて医療法人が解散した場合には、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。(昭二五法一二二・追加、昭六〇法一〇九・平一六法七六・平一八法五〇・平一八法八四・平二七法七四・一部改正)
第五十六条 解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
医療法人の出資持分の相続税評価
形態別評価方法
1 財団医療法人と持分の定めのない社団医療法人
評価しない (持分がない為)
2 基金拠出型社団医療法人
評価しない (基金部分は劣後債に該当するので貸付金の評価)
3 持分の定めがある医療法人
相続税基本通達により[取引相場のない式]の原則的評価方法に準じて評価します
① [比準要素数1の会社]、[株式保有特定会社]、[土地保有特定会社]、[開業後3年未満の会社等]、[開業前又は休業 中の会社]に該当する場合
それぞれの基準により区分し下記のように評価
種類 | 評価方法 | 適用条文 |
比準要素数1の会社 | 純資産価額又は(類似業種比準価格×0.25)+(純資産価額×0.75) | 基本通達189-2 |
株式保有特定会社 | 純資産価額又は S1+S2 | 基本通達189-3 |
土地保有特定会社 | 純資産価額 | 基本通達189-4 |
開業後3年未満の会社等 | 純資産価額 | 基本通達189-4 |
開業前又は休業 中の会社 | 純資産価額 | 基本通達189-5 |
精算中の会社 | 基準利率による清算分配見込価額 | 基本通達189-6 |
② ①以外の会社
評価方法 従業員数、総資産価額、年取引金額により下記のように区分し評価します
種類 | 判定 | 評価方法 |
大会社 | ①従業員は70人以上 ②年取引金額は20億円以上 ③総資産価額15億円以上で、従業員数は35人超 | ① 類似業種比準価額 ② 純資産価額 ③ ①と②のいずれか低い価額 |
中会社 (大) | ①年取引金額は5億円以上 ②総資産価額5億円以上で、従業員は数35人超 | ① 類似業種比準価額×0.75 + 純資産価額×(1-0.75) ② 純資産価額 ③ ①と②のいずれか低い価額 |
中会社 (中) | ①年取引金額は2億5000万円以上 ②総資産価額2億円5000万円以上で、従業員数は20人超 | ① 類似業種比準価額×0.75 + 純資産価額×(1-0.75) ② 純資産価額 ③ ①と②のいずれか低い価額 |
中会社 (小) | ①年取引金額は6000万円以上 ②総資産価額4000万円以上で、従業員数は5人超 | ① 類似業種比準価額×0.60 + 純資産価額×(1-0.60) ② 純資産価額 ③ ①と②のいずれか低い価額 |
小会社 | 上記以外 | ① 類似業種比準価額×0.50 + 純資産価額×(1-0.50) ② 純資産価額 ③ ①と②のいずれか低い価額 |
(類似業種比準価額の計算方法)
*大分類[その他の産業]の株価を適用 *比準要素は利益金額と純資産価額の2つのみ
(類似業種比準価額の評価の計算方法)
A × [(C1÷C2) + (D1÷D2)] ÷ 2 × 斟酌率A 大分類[その他の産業]の株価 C1 評価する医療法人の1株当たりの利益金額 C2 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額 D1 評価する医療法人の1株当たりの純資産価額(帳簿価額) D2 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額)
(純資産価額の計算方法)
[相続税評価額により計算した金額 - 相続税評価額により計算した金額-帳簿価額により計算した金額) × 37%] ÷ 課税時期による出資口数 *相続税評価額により計算した金額とは 相続税評価額により計算した総資産価額-負債の金額 *帳簿価額により計算した金額とは 帳簿価額により計算した総資産価額-負債の金額