法人税

法人税―定期同額給与の減額

法人税では、法人が役員に対して支給する給与の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。 したがって減額する場合も定期同額給与に該当するように変更する必要がありますので注意が必要です。

定期同額給与とは、その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。

定期給与で、次に掲げる減額がされた場合において、当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるものは定期同額給与に該当。

当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあっては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定

当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(①に掲げる改定を除きます。)

当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、①及び➁に掲げる改定を除きます。)

法人税基本通達9-2-13には経営の状況の著しい悪化に類する理由とは経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいます。 したがって、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことになっています。

定期同額給与に該当

現状では数値的指標が悪化しているとまでは言えない状態でも、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められる場合には、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。 また、今後著しく悪化することが不可避と認められる場合であって、これに対する経営改善策を講じたことにより、結果として著しく悪化することを予防的に回避できたときも、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。

定期同額給与に該当

(図1)

①定期同額➁定期同額ではない
支給日        4/205/206/207/208/209/2010/2011/2012/201/202/203/20
改定5/25同額改定11/2540万円に減額改定
給与50万円50万円50万円50万円50万円50万円50万円50万円40万円40万円40万円40万円

定期同額給与に該当しない

損金不算入額は、減額改定前の定期給与の額のうち減額改定後の定期給与の額を超える部分の金額60万円[10万円×6ヶ月分(6/20-11/20)]となります。

法人の慣行等からその法人の通常改定の時期が確認できる場合には、前年の通常改定(例えば、定時株主総会)で決議された支給額を当年も引き続き支給することとしたため、改めて当職務執行期間に係る支給額についての決議を経ないといったようなときであっても、当年の通常改定において、同額改定の決議があったときと同様に取り扱うことが相当と考えられます。 その後臨時改定が行われて減額した場合にも図1と同様の状態となることから、4月及び5月の給与は定期同額給与に該当するものと取り扱っていいことになっています。
また、6月以降の給与は、臨時改定事由や業績悪化改定事由による改定に該当しない減額改定によって、各支給時期における支給額が同額となっていませんが、その減額改定後(12月以降)の各支給時期における支給額が同額であるときなどは、減額改定後の定期給与の額(40 万円)を当職務執行期間において継続して支給するとともに、減額改定前の期間(6月分から11月分までの6ヶ月間)においてはその継続して支給している定期給与の額(40万円)に10万円を上乗せして支給していたものともみることができることから、その減額改定後の定期給与の額(40万円)に相する部分が定期同額給与となるものと考えられます。

損金不算入額は、減額改定前の定期給与の額のうち減額改定後の定期給与の額を超える部分の金額60万円[10万円×6ヶ月分(6月分から11月分まで)]となります。

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