法人税―研究開発税制
研究開発税制
法人が各事業年度に試験研究費の額がある場合に、試験研究費に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。 その研究開発税制は、下記のとおり3種類の制度で構成されています。
選 択 | 制度の種類 | 内 容 |
どちらか一つ選択 | ⑴一般試験研究費の額に係る税額控除制度 | 青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除するものです。 |
⑵中小企業技術基盤強化税制 | 中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者を除きます。)または農業協同組合等である青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、上記の「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」に代えて適用するときは、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除するものです。 | |
別枠 | 特別試験研究費の額に係る税額控除制度 | 青色申告法人の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合に、上記「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「中小企業技術基盤強化税制」の制度とは別枠でその特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除するものです。 |
試験研究の意義
試験研究とは、事物、機能、現象などについて新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う創造的で体系的な調査、収集、分析その他の活動のうち自然科学に係るものをいい、新製品の製造又は新技術の改良、考案若しくは発明に係るものに限らず、現に生産中の製品の製造又は既存の技術の改良、考案若しくは発明に係るものも含まれる。(令3年課法2-21「四」により追加、令4年課法2-14「四」により改正)
試験研究に含まれないもの
措置法第42条の4第19項第1号イ(1)に規定する試験研究には、例えば、次に掲げる活動は含まれない。(令3年課法2-21「四」により追加、令4年課法2-14「四」、令5年課法2-8「二」により改正)
試験研究費に含まれない具体例 | |
1 | 人文科学及び社会科学に係る活動 |
2 | リバースエンジニアリング(既に実用化されている製品又は技術の構造や仕組み等に係る情報を自社の製品又は技術にそのまま活用することのみを目的として、当該情報を解析することをいう。)その他の単なる模倣を目的とする活動 |
3 | 事務員による事務処理手順の変更若しくは簡素化又は部署編成の変更 |
4 | 既存のマーケティング手法若しくは販売手法の導入等の販売技術若しくは販売方法の改良又は販路の開拓 |
5 | 性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として行うデザインの考案 |
6 | [5]により考案されたデザインに基づき行う設計又は試作 |
7 | 製品に特定の表示をするための許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験 |
8 | 完成品の販売のために行うマーケティング調査又は消費者アンケートの収集 |
9 | 既存の財務分析又は在庫管理の方法の導入 |
10 | 既存製品の品質管理、完成品の製品検査、環境管理 |
11 | 生産調整のために行う機械設備の移転又は製造ラインの配置転換 |
12 | 生産方法、量産方法が技術的に確立している製品を量産化するための試作 |
13 | 特許の出願及び訴訟に関する事務手続 |
14 | 地質、海洋又は天体等の調査又は探査に係る一般的な情報の収集 |
15 | 製品マスター完成後の市場販売目的のソフトウエアに係るプログラムの機能上の障害の除去等の機能維持に係る活動 |
16 | ソフトウエア開発に係るシステム運用管理、ユーザードキュメントの作成、ユーザーサポート及びソフトウエアと明確に区分されるコンテンツの制作 |
一般試験研究費の額に係る税額控除制度
青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。
中小企業技術基盤強化税制による税額控除制度
中小企業者または農業協同組合等である青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、上記の「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」に代えて適用するときは、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。
特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)
この制度は、青色申告法人の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合に、上記「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「中小企業技術基盤強化税制」の制度とは別枠でその特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度です。
特別試験研究費の額(法第42条の4第19項第10号)
試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究(共同試験研究)、国の試験研究機関、大学その他の者に委託する試験研究(委託試験研究)、中小企業者からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究、新規高度研究業務従事者に対して人件費を支出して行う試験研究その他の政令で定める試験研究に係る試験研究費の額として政令で定めるものをいいます。
なお、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」または「中小企業技術基盤強化税制」の計算の基礎に含めた試験研究費の額は、特別試験研究費の額に含めないこととなります