法人税

法人税―固定資産の交換

(原則)

法人が、法人が所有する固定資産を他の者が所有する固定資産と交換した場合には、原則、譲渡資産の時価による譲渡になります。 この場合に交換により譲渡する資産(以下「譲渡資産」といいます。)の帳簿価額よりも時価が高いときは、その差額を譲渡益として益金の額に算入することになります。

(特例)

しかし、等価交換など、基本的に担税力がない場合も多く、その配慮から一定の条件のもと、課税の繰り延べが出来ることになっています。 その交換が下記の様な要件を満たすときは、圧縮限度額の範囲内で交換により取得した資産(以下「取得資産」といいます。)の帳簿価額を減額し、損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。 

この圧縮記帳の対象となる交換は、下記の1から6すべての条件に該当する交換になります。

番号   区  分      内   容
資産の種類          譲渡資産                                                     取得資産                                                          
①土地(借地権を含む)①土地(借地権を含む)
②建物②建物
③機械及び装置③機械及び装置
④船舶④船舶
⑤鉱業権⑤鉱業権
注1 譲渡資産も取得資産も互いに同じ種類の資産であること。
注2 建物に附属する設備や構築物は建物と一体となって交換される場合に限りその建物に含まれます。
固定資産であること譲渡資産も取得資産もいずれも固定資産であること。
不動産業者などが販売目的で所有している土地、建物などの棚卸資産を交換した場合には、この圧縮記帳の対象外となります。
1年以上の所有であること              譲渡資産も取得資産も、いずれもそれぞれの所有者が1年以上所有していたものであること。
交換のための取得でないこと取得資産は、相手方が交換するために取得したものでないこと。
同一用途に供すること                    取得資産を譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
この用途は、土地については、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場または原野、その他に区分され、また、建物については、居住用、店舗または事務所用、工場用、倉庫用、その他の用に区分されています。
時価の差額が20%以下交換した時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)との差額が、これらの価額のうちいずれか多い方の価額の20パーセント相当額を超えないこと。

例えば、土地および建物と土地を交換した場合には、等価交換であっても、建物部分については圧縮記帳の適用を受けることはできません。 この場合の処理方法は下記のとおりです。

法人の区分等処 理 方 法
交換により建物を取得した法人                     建物の価額(時価)相当額の交換差金等を受けたことになります。
交換により建物を譲渡した法人建物の価額(時価)相当額の交換差金等を交付したことになります。
(注1)
建物の価額(時価)がいずれかの土地の多い方の価額の20パーセント相当額を超える場合
建物の価額(時価)が交換により取得する土地の価額(時価)と交換により譲渡する土地の価額(時価)のいずれか多い方の価額の20パーセント相当額を超える場合には、交換したいずれの土地についても圧縮記帳の適用を受けることはできません。

通常、交換譲渡資産と交換取得資産が等価であり、.交換差金(注1)が生じなければ(1)により計算しますが、交換差金が生ずる場合は⑵または⑶により計算します。

注1 交換差金とは交換の時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)に差額がある場合、のその差額を補うために授受される金銭等

交換差金の有無圧縮限度額
 交換差金等がない場合       取得資産の価額 - (譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)
 交換差金等を受け取った場合          取得資産の価額 - (譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)×取得資産の価額/(取得資産の価額+交換差金等の額)
 交換差金等を支払った場合取得資産の価額 - (譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額+交換差金等の額)

この圧縮記帳の特例の適用を受けるためには、原則として取得資産の帳簿価額を圧縮限度額以内の金額を損金経理により減額し、法人税の確定申告書に減額した金額の損金算入についての明細を記載して添付することが必要です。

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