所得税
所得税―居住者と非居住者の区分
所得税-居住者と非居住者の課税区分
所得税では、納税者を居住者と非居住者に区分し、それぞれの課税範囲及び課税方法を規定いています。
居住者 | 非居住者 | |
定 義 | ⑴日本国内に住所『納税者の生活の本拠をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかについては、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになっています』がある人 ⑵現在まで引き続いて1年以上居所『その人の生活の本拠という程度には至らないものの、その人が現実に居住している場所』』がある人 | 居住者以外の人 |
課税所得 | 全ての所得 | 国内源泉所得 ⑴恒久的施設を有する非居住者に対する使用料等の対価について、 ①その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合は、源泉徴収の上、申告納税方式を原則としています。 ➁またその対価が恒久的施設に帰せられない所得である場合は、原則として源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。 ⑵「恒久的施設」を有しない非居住者に対する使用料等の対価については、源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。 |
所得控除 | すべての控除が適用されます | 雑損控除、寄付金控除、基礎控除の3つです |
配当控除、外国税額控除制度 | すべての税額控除が適用されます | 配当控除及び一定の条件のもと外国税額控除制度が適用されます。 |
給与所得者が海外勤務になった場合の課税関係
国外における勤務期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて原則として、所得税法上の非居住者と推定されます。 この場合には下記のように課税関係が異なります。
1月1日から出国の日までの期間(居住者の期間) | 出国の日の翌日から12月31日まで期間及び翌年以降の期間(非居住者の期間) | |
給与所得だけの場合 | 居住者としての最後の給与支給の際に年末調整で手続き終了。 確定申告必要なし | 課税なし |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 納税管理人が゛翌年3月15日までに全ての所得についての確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに国内源泉所得と居住者期間についての所得と一緒に確定申告書を提出 |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 出国の日までに確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに非居住者の期間の不動産所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出時の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して翌年3月15日までに納税管理人を通して確定申告が必要。 一定の要件のもと、含み益に対する税額の納税猶予の手続きも可能 | 給与所得と対象資産の含み益と非居住者の期間の国内源泉所得の確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出予定日から起算して3か月前の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して出国の日までに確定申告が必要。 | 非居住者の期間の国内源泉所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
国外転出時課税の対象者とは | ⑴対象資産の価額の合計が1億円以上であること ⑵原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること | |
国外転出時課税の対象資産とは | 有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・ デリバティブ取引 |