消費税

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インボイス制度の概要

インボイス制度の概要について、次のとおりとなります。(国税庁HPより)

適格請求書(インボイス)とは、

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

インボイス制度とは、

<売手側> 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

<買手側> 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。

(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

令和5年度税制改正関係

1.「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)」の概要

(1)  インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方については、仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができます(いわゆる2割特例)(28改正法附則51の2①②)。

⑵ 2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方が対象です。
 したがって、基準期間における課税売上高が1千万円を超える事業者の方、資本金1千万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者の方等、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や、課税期間を1カ月又は3カ月に短縮する特例の適用を受ける場合などについては、2割特例の対象とはなりません。

(3)  2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

(4)  2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます(28改正法附則51の2③)。
 また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。

2割特例を適用できる期間

 2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

(免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受ける場合)
 令和5年分(10月から12月分)の申告から令和8年分の申告までの計4回の申告が適用対象範囲となります。

(免税事業者である3月決算法人が令和5年10月1日から登録を受ける場合)
 令和5年10月から令和6年3月の申告から令和8年期の申告までの計4回の申告が適用対象範囲となります。

2割特例を適用するに当たっての注意点

(1)  2割特例は、免税事業者(消費税課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)がインボイス発行事業者となる場合(注)にインボイス発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、適用することができます(28改正法附則51の2①)。

(注) 課税事業者がインボイス発行事業者となった場合であっても、当該インボイス発行事業者となった課税期間の翌課税期間以降の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

なお、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間であっても、以下の場合は、2割特例の適用を受けることはできません。

① 消費税課税期間特例選択届出書の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間(当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間を含みます。)

② 令和5年10月1日より前から消費税課税事業者選択届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間

その他、2割特例の適用ができない課税期間の詳細については、インボイスQ&A問112≪2割特例の適用ができない課税期間①≫(PDF/5.19MB)及び問113≪2割特例の適用ができない課税期間②≫(PDF/5.19MB)を参照してください。

(例:令和4年12月に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となった個人事業者)

※  上記のように令和4年中に消費税課税事業者選択届出書と合わせて適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となった事業者については、令和5年10月1日より前から消費税の課税事業者であることから、2割特例の適用を受けることができません。そのため、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出した事業者の方で、消費税課税事業者選択届出書の提出により令和5年10月1日を含む課税期間から課税事業者となる事業者については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することにより、消費税課税事業者選択届出書の効力を失わせる措置が設けられています(28改正法附則51の2⑤)。
 これにより、上記例の場合、令和5年12月31日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、令和5年1月から9月分の納税義務が免除されることになり、令和5年10月1日からインボイス発行事業者(課税事業者)となりますので、2割特例を適用することができるようになります。

(2)  2割特例の適用に当たっては、消費税の申告を行う都度、適用を受けるかどうかの選択が可能ですが、申告する課税期間が2割特例の適用対象となる課税期間である必要があります。
 2割特例は、インボイス発行事業者の登録がなかったとしたならば、消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間を対象としていますので、例えば、基準期間における課税売上高が1千万円を超えるような課税期間については適用することはできません(28改正法附則51の2①)。
 また、上記例のように、令和4年中に「消費税課税事業者選択届出書」と合わせて「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、令和5年1月から消費税の課税事業者となったことにより令和5年分について2割特例の適用を受けることができない事業者においても、令和4年分の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、令和6年分について2割特例を適用することができます。

(3)  2割特例は、一般課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、適用することが可能です。そのため、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していたとしても、申告の際に2割特例を適用することが可能です。

2. 「2割特例」後に簡易課税制度を選択する場合

 免税事業者がインボイス発行事業者の登録申請を行った場合には、登録を受けた日から課税事業者となることができる経過措置が設けられており(28改正法附則44④)、この経過措置の適用を受ける場合、登録開始日を含む課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出することにより、その課税期間から簡易課税制度を適用することができます(30改正令附則18)。

2割特例を適用した課税期間後の簡易課税制度の選択

 2割特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、消費税簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます(28改正法附則51の2⑥)。

少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)の概要

1 少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。これは取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、免税事業者であっても同様です(28改正法附則53の2、30改正令附則24の2)。

※ 少額特例は、少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存を不要とするものであり、インボイス発行事業者の交付義務が免除されているわけではありませんので、インボイス発行事業者は課税事業者からインボイスを求められた場合には交付する必要があります。

2 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が、適用対象者となります。
 特定期間における課税売上高については、納税義務の判定における場合と異なり、課税売上高に代えて給与支払額の合計額による判定はできません。

(注1) 「基準期間」とは、個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度のことをいいます。

(注2) 「特定期間」とは、個人事業者については前年1月から6月までの期間をいい、法人については前事業年度の開始の日以後6月の期間をいいます。

3 少額特例は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間となります。

(注) 令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う課税仕入れが適用対象となりますので、たとえ課税期間の途中であっても令和11年10月1日以後に行う課税仕入れについては、少額特例の対象とはなりませんので、仕入税額控除を受けるためには、原則として、インボイスと一定の事項を記載した帳簿の保存が必要となります。

税込1万円未満の判定単位

 少額特例は税込1万円未満の課税仕入れが適用対象となります。
 「税込1万円未満の課税仕入れ」に該当するか否かについては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)が1万円未満かどうかで判定するため、課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
 したがって、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入した場合(合計12,000円)には、少額特例の対象とはなりません。

少額な返還インボイスの交付義務免除の概要

1 インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻しなどの売上げに係る対価の返還等を行った場合には返還インボイスの交付義務がありますが、その金額が税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されます(新消法57の4③、新消令70の9③二)。
 例えば、売手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合には、通常、当該振込手数料相当額は1万円未満となりますので、当該売上値引きに係る返還インボイスの交付義務が免除されます。

(注) 売手が負担する振込手数料相当額を、課税仕入れとして処理している場合には金融機関や取引先から受領するインボイスが必要となります。
 なお、売手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることもできますが、この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うことから、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載する必要があります。
 この点、支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられます。

2 インボイス制度開始日である令和5年10月1日以降の課税資産の譲渡等につき行う売上げに係る対価の返還等について適用され、適用期限や適用対象者について特段の制限はありません。

登録制度の見直しと手続の柔軟化に関する概要

免税事業者の登録手続

 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間において、令和5年10月2日以後にインボイス発行事業者となる場合には、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載する必要があります(30改正令附則15②)。
 この場合、税務署長は当該登録希望日により登録をすることになります。
 なお、実際に登録が完了した日が、登録希望日後であっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされます(30改正令附則15③)。

翌課税期間の初日から登録を取りやめる場合の取消届出書の提出期限の見直し

 翌課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を取りやめる場合の「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限について、取りやめる課税期間の初日から起算して15日前の日までに変更されました。

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