医業コンサルタント

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医療法人の事業税について

事業税の所得についての概要

 医療法人等の法人事業税ついては、一般法人と所得の計算方法が異なっており、地方税法第72条の23のにより社会保険診療報酬に係る所得は非課税となり、また計算方法もそれぞれの地域により異なっておりますので注意が必要です。

原則

[内国法人の所得は、各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし、この法律(地方税法第第七十二条の二十三)又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例により算定する]となっております。 ただし[医療法人等は地方税法第第七十二条の二十三の規定により、社会保険診療につき支払を受けた金額は、益金の額に算入せず、また、当該社会保険診療に係る経費は、損金の額に算入しない]と規定されております。

特例

実務上、経費を社会保険診療に係る経費とそれ以外の経費に区分することが困難なために具体的な計算方法はそれぞれの都道府県により、次のように分かれて計算されています。

1 所得配分方式 (医業所得を社会保険診療報酬とその他の収入の割合で按分する方法*多数の都道府県で採用されています)

課税所得 = 総医業所得 × その他の収入金額 / (社会保険診療報酬に係る医療収入+その他の収入金額)

2 経費配分方式(一部の都道府県で採用されています)

課税所得 = 総医業所得-社会保険診療報酬に係る所得

(社会保険診療報酬に係る所得)

社会保険診療報酬に係る医療収入-社会保険診療報酬に係る経費

(社会保険診療報酬に係る経費)

社会保険診療報酬に係る専属経費+共通経費×(社会保険診療報酬に係る医療収入)/(社会保険診療報酬に係る医療収入+その他の収入金額)

注1 この他に共通費を医療直接費とその他の経費に区分して計算する方法を採用している都道府県もありますのでご確認願います。

(社会保険診療報酬)

社会保険診療報酬とは、次の法律の規定に基づく療養等の給付又は医療、介護、助産若しくはサ-ビスに限られます。

法 律 の 種 類
 1 健康保険法
 2 国民健康保険法
 3 高齢者の医療の確保に関する法律
 4 船員保険法
 5 国家公務員等共済組合法(防衛庁職員給与法を含む)
 6 地方公務員等共済組合法
 7 私立学校教職員共済組合法
 8 戦傷者特別援護法
 9 母子保健法
10 児童福祉法
11 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
12 生活保護法
13 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律
14 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
15 麻薬及び向精神薬取締法
16 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
17 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療お及び観察等に関する法律
18 介護保険法
19 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
20 難病の患者に対する医療等に関する法律

(その他の収入)

細かく規定されていますが大きな項目は下記の様な収入です。(医療法人等に係る所得金額の計算書参照)

項目内容
労働者災害補償保険法
介護保険法地方税法第72条の23に規定する社会保険診療報酬以外の収入
自動車損害賠償責任保険及び損害保険等の保険金に相当する部分の金額により医療費等として支払いを受ける金額
自費診療収入
入院料、ベッド代差額収入
入院料、予防注射等
その他の医療収入
事務取扱手数料等
患者等の食事収入
健康診断等証明収入
受託技工、検査料等収入
電話、電気、ガス、テレビ、寝具等使用料収入
生産品等販売、不用品売却収入
その他の付随収入

(医療保険業の収入金額にも算入されない収入)

項目
各種引当金の戻し入れ及び準備金の取り崩しによる益金算入額
土地等の譲渡に係る益金算入額
従業員の社宅等の使用料及び従業員の食事代収入
収入に計上した国税及び地方税に係る還付金又は充当金若しくは過誤納金で、還付加算金を除いた額
償却資産の売却収入(売却時の帳簿価額を超えない金額に限ります。)等経費の戻入と認められる収入金額
購入棚卸資産に係る仕入割り戻し(リベ-ト)の額として収入に計上した額

 

事業税の税率

医療法人等は法人税法では一般法人ですが、事業税においては特別法人に該当していて下記のような二段階の低い標準税率が適用されています。 ただし都道府県によって異なる税率を定めることが出来ることになっていますので、申告時には実際に確認する必要があります。

区分税率
課税所得年400万円以下 5.0%
課税所得年400万円超及び清算所得6.6%

事業税の申告

医療法人(社会医療法人を除く)は、法人税では普通法人とされているため、法人県民税では普通法人扱いとなりますが、法人事業税では特別法人とされています。 そのため、中間申告の取扱いは、法人税で中間申告義務がある場合、法人県民税は中間申告義務がありますが、法人事業税では特別法人であるため中間申告義務がないことになります。 したがって、事業税の申告は確定申告のみで中間申告は必要ありませんのでご注意願います。 

社会医療法人は法人税で公益法人等、事業税では特別法人とされるため、法人県民税・事業税ともに中間申告義務はありません。

(参照 地方税法第72条の23)

第七十二条の二十三 第七十二条の十二第三号の各事業年度の所得は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより算定するものとする。 内国法人 各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし、この法律又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例により算定する。
 外国法人 各事業年度の法人税法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に係る所得の金額及び同号ロに掲げる国内源泉所得に係る所得の金額の合算額によるものとし、この法律又は政令で特別の定めをする場合を除くほか、当該各事業年度の法人税の課税標準である同号イに掲げる国内源泉所得に係る所得及び同号ロに掲げる国内源泉所得に係る所得の計算の例により算定する。
 前項の規定により第七十二条の十二第三号の各事業年度の所得を算定する場合には、法人税法第五十七条第六項から第八項まで、第五十九条第五項、第六十二条の五第五項、第六十四条の五、第六十四条の七及び第六十四条の八並びに租税特別措置法第五十五条(同条第一項及び第八項に規定する特定株式等で政令で定めるものに係る部分を除く。)の規定の例によらないものとし、医療法人又は医療施設(政令で定めるものを除く。)に係る事業を行う農業協同組合連合会(特定農業協同組合連合会を除く。)が社会保険診療につき支払を受けた金額は、益金の額に算入せず、また、当該社会保険診療に係る経費は、損金の額に算入しない。
 前項に規定する社会保険診療とは、次に掲げる給付又は医療、介護、助産若しくはサービスをいう。
 健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十二条第一項においてその例によるものとされる場合を含む。以下この号において同じ。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)、児童福祉法又は原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)の規定に基づく療養の給付(健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法若しくは私立学校教職員共済法の規定により入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費若しくは特別療養費(国民健康保険法第五十四条の三第一項又は高齢者の医療の確保に関する法律第八十二条第一項に規定する特別療養費をいう。以下この号において同じ。)を支給することとされる被保険者、組合員若しくは加入者若しくは被扶養者に係る療養のうち当該入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費若しくは特別療養費の額の算定に係る当該療養に要する費用の額としてこれらの法律の規定により定める金額に相当する部分(特別療養費に係る当該部分にあつては、当該部分であることにつき総務省令で定めるところにより証明がされたものに限る。)又はこれらの法律の規定により訪問看護療養費若しくは家族訪問看護療養費を支給することとされる被保険者、組合員若しくは加入者若しくは被扶養者に係る指定訪問看護を含む。)、更生医療の給付、養育医療の給付、療育の給付又は医療の給付
 生活保護法の規定に基づく医療扶助のための医療、介護扶助のための介護(同法第十五条の二第一項第一号に掲げる居宅介護のうち同条第二項に規定する訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション若しくは短期入所療養介護、同条第一項第五号に掲げる介護予防のうち同条第五項に規定する介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション若しくは介護予防短期入所療養介護又は同条第一項第四号に掲げる施設介護のうち同条第四項に規定する介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスに限る。)若しくは出産扶助のための助産若しくは健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第九十一条の規定による改正前の生活保護法の規定に基づく介護扶助のための介護(同法第十五条の二第一項第四号に掲げる施設介護のうち同条第四項に規定する介護療養施設サービスに限る。)又は中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)の規定(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成十九年法律第百二十七号)附則第四条第二項において準用する場合を含む。)に基づく医療支援給付のための医療その他の支援給付に係る政令で定める給付若しくは医療、介護、助産若しくはサービス若しくは中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成二十五年法律第百六号)附則第二条第一項若しくは第二項の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の規定に基づく医療支援給付のための医療その他の支援給付に係る政令で定める給付若しくは医療、介護、助産若しくはサービス
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)の規定に基づく医療
 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により居宅介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定居宅サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション又は短期入所療養介護に限る。)のうち当該居宅介護サービス費の額の算定に係る当該指定居宅サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分、同法の規定により介護予防サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定介護予防サービス(介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション又は介護予防短期入所療養介護に限る。)のうち当該介護予防サービス費の額の算定に係る当該指定介護予防サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により施設介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスのうち当該施設介護サービス費の額の算定に係る当該介護保健施設サービス若しくは介護医療院サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法第二十六条の規定による改正前の介護保険法の規定により施設介護サービス費を支給することとされる被保険者に係る指定介護療養施設サービスのうち当該施設介護サービス費の額の算定に係る当該指定介護療養施設サービスに要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)の規定により自立支援医療費を支給することとされる支給認定に係る障害者等に係る指定自立支援医療のうち当該自立支援医療費の額の算定に係る当該指定自立支援医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により療養介護医療費を支給することとされる支給決定に係る障害者に係る指定療養介護医療(療養介護に係る指定障害福祉サービス事業者等から提供を受ける療養介護医療をいう。)のうち当該療養介護医療費の額の算定に係る当該指定療養介護医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は児童福祉法の規定により肢体不自由児通所医療費を支給することとされる通所給付決定に係る障害児に係る肢体不自由児通所医療のうち当該肢体不自由児通所医療費の額の算定に係る当該肢体不自由児通所医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分若しくは同法の規定により障害児入所医療費を支給することとされる入所給付決定に係る障害児に係る障害児入所医療のうち当該障害児入所医療費の額の算定に係る当該障害児入所医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分
 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号)の規定により特定医療費を支給することとされる支給認定を受けた指定難病の患者に係る指定特定医療のうち当該特定医療費の額の算定に係る当該指定特定医療に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分又は児童福祉法の規定により小児慢性特定疾病医療費を支給することとされる医療費支給認定に係る小児慢性特定疾病児童等に係る指定小児慢性特定疾病医療支援のうち当該小児慢性特定疾病医療費の額の算定に係る当該指定小児慢性特定疾病医療支援に要する費用の額として同法の規定により定める金額に相当する部分

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