法人 法人税の基本
新設法人の届け出
税務署に提出が必要な書類
法人を設立した場合、提出が必要な届出書は下記の通りです。
届出書の種類 | 内容 |
法人設立届出書 | 設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に「法人設立届出書」を納税地の所轄税務署長に1部(調査課所管法人は2部)提出しなければなりません。 添付書類―定款等のコピ- |
源泉所得税関係の届出書(源泉徴収義務者となる場合) | ①給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 ➁常時10人未満の従業員を雇用しているの場合、納期の特例の届け出書を提出することが出来ます |
必要に応じて提出する書類
下記の書類は必要に応じて提出期限までに提出いたします。
書類の種類 | 提出期限 |
青色申告の承認申請書 (所定の記帳義務がありますが、法人税の有利な各種特典があり、提出したほうが有利です) | 提出期限は設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで |
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 | 有価証券を取得した日の属する事業年度(必ずしも、設立第1期とは限りません。)の確定申告書の提出期限まで |
申告期限の延長の特例の申請書 | 適用を受けようとする事業年度終了日まで |
事前確定届出給与に関する届出書 | 設立の日以後2か月を経過する日まで |
県税事務所等及び市役所等に提出する届出書等
提出先 | 書類および提出期限 |
県税事務所等 | 法人設立等・設置届出書を設立または開設の日から2月以内 |
市役所等 | 法人設立・事務所等開設申告書を設立または開設の日から2月以内 |
青色申告
概 略
法人税の申告には白色申告と青色申告とがありますが、青色申告には欠損金の繰り越し、繰り戻し、各種税額控除、割増償却等税制面で有利な点が多数あります。 一定の帳簿書類の作成及び保存の条件がついていますが青色申告をお勧め致します。
有利な点
1 欠損金の繰越控除
その事業年度に生じた欠損金を翌事業年度以後10年間にわたり繰り越すことが出来ます(平成30年4月1日以後に開始する事 業年度から)
2 欠損金の繰戻し還付
この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度(適格合併における被合併法人の青色申告書である確定申告書を提出する最後事業年度を含みます。)に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。
ただし、この制度は、①清算中に終了する各事業年度の欠損金額、②解散等の事実が生じた場合の欠損金額および③中小企業者等の各事業年度において生じた欠損金額を除き、平成4年4月1日から令和4年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用が停止されています。
3 減価償却の特例
中小企業者等であれば少額減価償却資産の特例が適用出来ます。30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得した事業年度において全額損金算入することが出来ます(ただし年間合計300万円まで)
4 税額控除
新品の機械装置などを購入した場合も、中小企業者等の場合は、取得額の7%を法人税額から控除できます。
⑴ この制度の対象となる資産(以下「特定機械装置等」といいます)
その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)次に掲げる資産(匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものを除きます。)で、指定期間内に取得しまたは製作して指定事業の用に供したものです。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付けの用に供する資産は、特定機械装置等には該当しません。
(注) 令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等については、匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものも含まれます。
特定機械装置等とは
1 | 機械および装置で1台または1基の取得価額が160万円以上のもの |
2 | 製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台または1基の取得価額が120万円以上のもの |
3 | 上記2に準ずるものとして測定工具および検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。) |
4 | ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。以下同じ。)で次に掲げるいずれかのもの (1) 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの (2) その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの |
5 | 車両および運搬具のうち一定の普通自動車(注)で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの |
6 | 内航海運業の用に供される船舶 |
⑵ 対象になる業種
この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの) (注1)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。 また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。 (注2)令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等についてこの制度の適用を受ける場合には、上記の指定事業から次の事業を除きます。 1 不動産業 2 物品賃貸業 3 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。) |
不利な点
複式簿記による帳簿書類等一定条件の書類の作成が必要にになりますが、それ以外は特に有りません
承認手続き
その事業年度以後の青色申告の承認を受けたいときは、その事業年度開始の日の前日までに申請書を提出しなければなりません。 また、新設法人の場合は設立の日以後3月を経過した日と、その設立の日の属する事業年度終了の日とのいずれか早い日までに申請書を提出する必要があります。
所得金額及び税額
法人種類別の課税対象
法人の種類(下記の区分、所得金額に応じて税率が変わります) | 課税対象 |
普通法人 | 所得 |
協同組合等 | 所得 |
公益法人等 ⑴公益社団法人、公益財団法人、又は非営利型法人 ⑵公益法人等とみなされるもの(*注1) ⑶上記以外の公益法人 | 収益事業(*注3)から生じた所得 |
人格のない社団等(*注2) | 収益事業(*注3)から生じた所得 |
特定医療法人 | 所得 |
*注1 公益法人等とみなされるもの
認可地縁団体、管理組合法人及び団地組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人並び にマンション建替組合及びマンション敷地売却組合を言います。
*注2 人格のない社団等
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいいます。 具体的にはPTA、町内会、同窓会、同業者団体、マンションの管理組合などが該当します
*注3 収益事業とは詳しくは法人税法施行令第5条において34業種が規定されていますのでご確認下さい。
要約しますと、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業、労働者派遣業です。
所得金額
所得金額 = 各事業年度の益金の額 - 損金の額 |
(益金の意義)
別段の定めがあるものを除き、資産の販売、役務の提供等その他の取引で資本取引以外のものに係る収益の額
(損金の意義)
別段のあるものを除き、次の金額
1 売上原価、完成工事原価等原価の額
売上原価の計算
売上原価 = 期首棚卸 + 当期仕入 - 期末棚卸* |
棚卸資産の意義
棚卸資産とは、下記の様な棚卸すべき資産です。
番号 | 詳 細 |
1 | 商品又は製品(副産物等を含む) |
2 | 半製品 |
3 | 仕掛品(半成工事を含む) |
4 | 主要原材料 |
5 | 補助原材料 |
6 | 消耗品で貯蔵中のもの (注1) |
7 | 1-6までに準ずる資産 |
(注1)
消耗品等の取得に要する費用は、当該消耗品を消費した日の属する事業年度の損金に算入することになるのですが、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度一定の場合等の条件を満たす場合)の取得に要した費用を継続して、取得した事業年度に損金算入している場合は、これを認めるとされています。 すなわち棚卸の必要がないことになります。
(棚卸資産の評価方法)
評価方法 | 計算方法 | 内 容 |
①原価法 | 個別法 | 期末棚卸資産の全部にその個々の取得価格をその棚卸資産の取得価額とする方法 |
先入先出法 | 棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、当該事業年度終了の時から最も近い時において取得した資産から順次存在するものとして、その棚卸資産の取得価格をその取得価格とする方法 | |
総平均法 | 棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、「期末棚卸額 = (期首棚卸額 + 期中の仕入金額) ÷ (期首棚卸数量 + 期中取得棚卸資産数量)× 期末棚卸数量」で計算する方法 | |
移動平均法 | 棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、棚卸資産の仕入の都度、(直前の在庫金額+仕入金額)÷(直前の在庫数量+仕入数量)を計算し、期末時点に最も近い時に計算した平均単価を期末棚卸資産の単価として期末棚卸の金額を計算する方法 | |
最終仕入原価法 | 棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、当該事業年度終了の時から最も近い時において取得した棚卸資産の単価を期末棚卸資産の取得単価として計算する方法 | |
売価還元法 | 棚卸資産を種類等又は通常の利益率の異なるごとに区分し、期末棚卸資産の通常の販売価額の総額に原価率(期首現価+仕入原価)÷(売上+期末売価)を乗じて計算した金額をその棚卸資産の取得価額とする方法 | |
➁低価法 | 棚卸資産を種類等又は通常の利益率の異なるごとに区分し、その種類の同じものにつき①のいずれかの原価法で計算した金額と、当該事業年度終了の時の価額と何れか低い価額を棚卸資産の評価額とする方法 |
評価方法の届け出期限
内 容 | 届け出期限 | |
⑴ | 新設法人 | 設立第1期の確定申告書の提出期限まで |
⑵ | 新たに収益事業を開始した公益法人等及び人格のない社団等 | 新たに収益事業を開始した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで |
⑶ | 公益法人等(収益事業を行っていないもの)に該当していた普通法人又は協同組合等 | 普通法人又は協同組合等に該当することとなった日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで |
⑷ | 設立後等に新たな事業を開始し又事業の種類を変更した内国法人 | 他の種類の事業(又は収益事業)を開始した日、あるいは事業(又は収益事業)の種類を変更した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限(法人税法第72条に規定する仮決算をした場合の中間申告書を提出するときは、その中間申告書の提出期限)まで |
法定評価方法
棚卸資産の評価方法を選定しなかった場合又は選定した評価方法により評価しなかった場合は、最終仕入原価法により評価します。
2 販売費および一般管理費(その事業年度期末までに債務の確定しているもの)
販売費および一般管理費のうち主なもの
番 号 | 勘 定 科 目 | 内 容 |
1 | 給与、役員報酬 | 従業員の給与、賞与及び役員の給与、賞与 |
2 | 旅費交通費 | 従業員等の定期代、電車、飛行機等の乗車料金 |
3 | 租税公課 | 印紙、固定資産税等 |
4 | 通信費 | 電話代、切手代等 |
5 | 水道光熱費 | 電気、水道、ガス代等 |
6 | 寄附金 | 自治体への寄附等 |
7 | 賃借料 | 土地、建物の賃借料等 |
8 | 交際費 | 接待費、交際費等 |
9 | 修繕費 | 固定資産の維持管理費 |
10 | 消耗品費 | ガソリン代、事務用品以外の包装紙、箱代等 |
11 | 事務用品費 | 事務用文房具等 |
12 | 保険料 | 損害保険、生命保険 |
13 | 支払手数料 | 銀行への支払手数料、仕事の紹介に対する謝金 |
14 | 減価償却費 | 建物等の減価償却費 |
15 | 繰延資産償却 | 繰延資産の償却費 |
16 | 貸倒損失 | 売掛金、貸金等の貸倒損失 |
17 | 雑費 | その他の経費 |
詳細は別掲勘定科目をご参照下さい |
債務の確定しているものの意義
償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別段の定めるものを除き、下記の要件のすべてに該当するものをいいます。
要 件 | |
1 | その事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立していること |
2 | その事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること |
3 | その事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること |
3 資本取引以外の損失の額
税額の計算
税額 = 所得金額 × 税率 - 税額控除 |
税 率
法人の種類別の税率
法人の種類 | 詳細 | 所得金額が800万円以下の部分 | 所得金額が800万円超の部分 |
普通法人等 | ① 資本金1億円以下の法人 | 15% | 23.2% |
② 資本金1億円超の法人と相互会社 | 23.2% | ||
協同組合等 | 15% | 19% | |
公益法人等 | ① 公益社団法人、公益財団法人及び非営利型法人 | 15% | 23.2% |
② その他の公益法人 | 15% | 19% | |
人格のない社団等 | 15% | 23.2% | |
特定の医療法人 | ① ②以外 | 15% | 19% |
② 適用除外事業者 | 19% | 19% |
所得税額控除
概要
法人が支払を受ける預貯金の利子、公社債の利子、合同運用信託の収益の分配等にかかる所得税額は、元本の所有期間に応じて利子や分配金が決まるため、所得税法等の規定により源泉徴収された所得税および復興特別所得税の額(以下「所得税等の額」といいます。)は、法人税の額から全額控除することができます。 しかし剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益の分配にかかる所得税額等は、その所得税額のうち元本を所有していた期間に対応する部分の金額だけ控除することができます。
(所得税額控除の方法)
控除の区分 | 内 容 |
全 額 控 除 | ⑴預貯金の利子、公社債の利子、合同運用信託の収益の分配等にかかる所得税額等 ⑵特定目的信託の社債的受益権の収益の分配、公社債等運用投資信託の収益の分配、公社債投資信託の収益の分配にかかる所得税額等 |
期間に応じて控除 | 剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益の分配にかかる所得税額等 |
所有期間に応じて控除できる所得税額控除
次のような剰余金の配当等(以下「配当等」といいます。)に係る所得税等の額については、元本の所有期間に対応する部分の額のみが所得税額控除の対象になります。
(国税庁HPより)
内 容 | |
⑴ | 法人から受ける剰余金の配当(特定公社債等運用投資信託の受益権、社債的受益権に係るもの、資本剰余金の減少に伴うものならびに分割型分割によるものおよび株式分配を除きます。)、利益の配当(分割型分割によるものおよび株式分配を除きます。)、剰余金の分配(みなし配当を除きます。)または金銭の分配(投資信託および投資法人に関する法律または資産の流動化に関する法律に規定する金銭の分配をいいます。) |
⑵ | 集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託および公社債等運用投資信託(特定社債等運用投資信託を除きます。)を除きます。)の収益の分配 |
⑶ | 国外投資信託の配当等 |
⑷ | 国外株式等の配当等 |
⑸ | 一定の短期公社債以外の割引債の償還差益 ただし割引債の取得者と償還を受ける者が異なる場合は、償還を受ける者が所得税等の税額控除を受けることになります。 |
所有期間対応分の計算
所有期間対応分の計方法には、⑴原則的な方法と⑵簡便法とがあり、事業年度ごとに自由に選択することができます。
(1) 原則的な方法
元本の銘柄ごと、所有期間の月数ごとに次の算式により計算します。
区分 | 計算式 |
控除の対象となる所得税等の額 | 配当等に対する所得税等の額 × ⑴ / ⑵ ⑴ 分母の期間のうちその元本を所有していた期間の月数 ⑵ 配当等の計算の基礎となった期間の月数 |
(2) 簡便法
配当等に係る元本を「株式および出資」と「集団投資信託の受益権」とに区分し、さらにこれを配当等の計算期間が1年を超えるものと1年以下のものとに区分して、その区分に属するすべての元本について、その銘柄ごとに次の算式により計算します。
区 分 | 計算方法 |
配当等の計算期間が1年以下のもの | その所得税等の額 × [A+(B-A)×1/2] / B |
配当等の計算期間が1年を超えるもの | その所得税等の額 × [A+(B-A)×1/12 / B |
(注1) A = 配当等の計算の基礎となった期間の開始時に所有していた元本の数 B = 配当等の計算の基礎となった期間の終了時に所有していた元本の数 |
研究開発税制に係る税額控除
法人が各事業年度に試験研究費の額がある場合に、試験研究費に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。 その研究開発税制は、下記のとおり3種類の制度で構成されています。
選 択 | 制度の種類 | 内 容 |
どちらか一つ選択 | ⑴一般試験研究費の額に係る税額控除制度 | 青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除するものです。 |
⑵中小企業技術基盤強化税制 | 中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者を除きます。)または農業協同組合等である青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、上記の「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」に代えて適用するときは、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除するものです。 | |
別枠 | 特別試験研究費の額に係る税額控除制度 | 青色申告法人の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合に、上記「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「中小企業技術基盤強化税制」の制度とは別枠でその特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除するものです。 |
試験研究の意義
試験研究とは、事物、機能、現象などについて新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う創造的で体系的な調査、収集、分析その他の活動のうち自然科学に係るものをいい、新製品の製造又は新技術の改良、考案若しくは発明に係るものに限らず、現に生産中の製品の製造又は既存の技術の改良、考案若しくは発明に係るものも含まれる。(令3年課法2-21「四」により追加、令4年課法2-14「四」により改正)
試験研究に含まれないもの
措置法第42条の4第19項第1号イ(1)に規定する試験研究には、例えば、次に掲げる活動は含まれない。(令3年課法2-21「四」により追加、令4年課法2-14「四」、令5年課法2-8「二」により改正)
番号 | 試験研究費に含まれない具体例 |
1 | 人文科学及び社会科学に係る活動 |
2 | リバースエンジニアリング(既に実用化されている製品又は技術の構造や仕組み等に係る情報を自社の製品又は技術にそのまま活用することのみを目的として、当該情報を解析することをいう。)その他の単なる模倣を目的とする活動 |
3 | 事務員による事務処理手順の変更若しくは簡素化又は部署編成の変更 |
4 | 既存のマーケティング手法若しくは販売手法の導入等の販売技術若しくは販売方法の改良又は販路の開拓 |
5 | 性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として行うデザインの考案 |
6 | [5]により考案されたデザインに基づき行う設計又は試作 |
7 | 製品に特定の表示をするための許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験 |
8 | 完成品の販売のために行うマーケティング調査又は消費者アンケートの収集 |
9 | 既存の財務分析又は在庫管理の方法の導入 |
10 | 既存製品の品質管理、完成品の製品検査、環境管理 |
11 | 生産調整のために行う機械設備の移転又は製造ラインの配置転換 |
12 | 生産方法、量産方法が技術的に確立している製品を量産化するための試作 |
13 | 特許の出願及び訴訟に関する事務手続 |
14 | 地質、海洋又は天体等の調査又は探査に係る一般的な情報の収集 |
15 | 製品マスター完成後の市場販売目的のソフトウエアに係るプログラムの機能上の障害の除去等の機能維持に係る活動 |
16 | ソフトウエア開発に係るシステム運用管理、ユーザードキュメントの作成、ユーザーサポート及びソフトウエアと明確に区分されるコンテンツの制作 |
一般試験研究費の額に係る税額控除制度
青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。
中小企業技術基盤強化税制による税額控除制度
中小企業者または農業協同組合等である青色申告法人の各事業年度において、試験研究費の額がある場合に、上記の「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」に代えて適用するときは、その試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した金額を、その事業年度の法人税額から控除する制度です。
特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)
この制度は、青色申告法人の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合に、上記「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」および「中小企業技術基盤強化税制」の制度とは別枠でその特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度です。
特別試験研究費の額(法第42条の4第19項第10号)
試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究(共同試験研究)、国の試験研究機関、大学その他の者に委託する試験研究(委託試験研究)、中小企業者からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究、新規高度研究業務従事者に対して人件費を支出して行う試験研究その他の政令で定める試験研究に係る試験研究費の額として政令で定めるものをいいます。
なお、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」または「中小企業技術基盤強化税制」の計算の基礎に含めた試験研究費の額は、特別試験研究費の額に含めないこととなります
欠損金
青色欠損金の当期控除額
適用要件
⑴ 青色申告書を提出した事業年度で生じた欠損金であること
⑵ 法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額
⑶ 既にこの規定を受けたこと又は繰り戻し還付の計算の対象になったものを除く
当期控除額
⑴ 中小法人等 | 控除前所得金額(差引計を限度とする) |
⑵ ⑴以外 | その各事業年度の控除前所得の金額(注1)の 50%所得金額 |
(注1) 控除前所得の金額とは、欠損金等を控除する前の所得金額として所要の調整を行ったものをいいます。以下同じです。
(注2) 中小法人等の各事業年度や一定の事実が生じた法人等の一定の事業年度については、各事業年度の控除前所得の金額(注1)が限度となります
(注3) 中小法人とは、各事業年度終了の時において次の法人に該当するものをいいます。
イ 普通法人(投資法人、特定目的会社及び法第4条の7に規定する受託法人を除きます。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの
ロ 公益法人等又は協同組合等
ハ 人格のない社団等
*ただし次に掲げる普通法人は中小法人から除かれます
➀ 大法人(資本金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある普通法人
➁ 完全支配関係がある複数の大法人に発行済み株式等の全部を保持されている普通法人
繰越の順序
法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額を控除する時は古いものから順次控除する
欠損金の繰戻し還付
(国税庁HP一部抜粋)
この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度(適格合併における被合併法人の青色申告書である確定申告書を提出する最後事業年度を含みます。)に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。
ただし、この制度は、①清算中に終了する各事業年度の欠損金額、②解散等の事実が生じた場合の欠損金額および③中小企業者等の各事業年度において生じた欠損金額を除き、平成4年4月1日から令和4年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用が停止されています。
なお、上記①から③までの欠損金額のほかに、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する各事業年度において一定の法人に生じた欠損金額については、新型コロナ税特法の特例により、適用が認められます。
適用要件
次の要件をすべて満たさなければなりません。
青色申告法人の場合
(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
(2) 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
(3) 上記(2)の確定申告書と同時(※)に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
(※) 新型コロナの特例あり
災害損失欠損金を有する法人の場合
(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。
(2) 欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること。
(3) 上記(2)の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
解散等の事実が生じた場合の特例
解散(適格合併による解散は除かれます。)、事業の全部の譲渡、会社更生法等の規定による更生手続の開始など一定の事実(以下「解散等の事実」といいます。)が生じた場合で、解散等の事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度または解散等の事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額には、この制度の適用が認められます。
なお、この場合には次の点にご留意ください。
1 この特例により還付請求書を提出する場合の提出時期について、確定申告書と同時に提出しない場合であっても、解散等の事実が生じた日から1年以内は、提出可能です。
2 還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していなければなりません。
中小企業者等に係る特例
中小企業者等の各事業年度において欠損金額が生じた場合には、この制度の適用が認められます。なお、中小企業者等とは次の1から4の法人をいいます。
1 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるものまたは資本もしくは出資を有しないもので、各事業年度終了の時において次の(1)から(6)に掲げる法人に該当するものを除いたものです。
⑴ | 相互会社および外国相互会社 |
⑵ | 大法人(次のイからハに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人 イ 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人 ロ 相互会社および外国相互会社 ハ 受託法人 |
⑶ | 100パーセントグループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を直接または間接に保有されている法人(ロに掲げる法人を除きます。) |
⑷ | 投資法人 |
⑸ | 特定目的会社 |
⑹ | 受託法人 |
2 公益法人等または協同組合等
3 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる次の法人
認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合およびマンション敷地売却組合
4 人格のない社団等
対象者または対象物
青色申告書を提出する法人
災害損失欠損金を有する法人
計算方法・計算式
還付金額の計算は次のとおりです。
(算式)
(注) 法人が還付金額の計算の基礎として還付請求書に記載した金額が限度となります。また、分母の金額が限度になります。
同族会社
同族会社は一部の特定の株主が思い通りに経営することによって、会社や経営者一族に対する課税が不当に回避される可能性があります。 このような租税回避を防ぐため、法人税法上、⑴同族会社等の行為及び計算の否認、⑵使用人に対するみなし役員の認定、及び⑶留保金課税の規定が設けられています。
同族会社の意義
同族会社とは会社の株主等の3人以下並びにこれらと特殊関係ある個人及び法人が次に該当するの場合にその会社をいう
⑴その会社の発行済み株式等(自己株式を除く)の50%を超える株式を有する場合
⑵その会社議決権の50%を超える議決権を有する場合
⑶その会社の社員の半数を超える場合
同族会社のメリットとデメリット
メリット |
経営者の経営理念が会社全体に浸透しやすい |
短期的な利益に左右されず、長期的な視野に立った経営を行える |
意思決定が迅速に行える |
事業承継を円滑に行うことが出来る |
意思決定次第で個人の財産を増やしやすい |
デメリット |
経営者の独断と偏見により健全な経営ができない可能性がある |
後継者の選択の幅が狭められる |
兄弟等親族間で経営権を争う虞があり、場合により倒産に至る可能性がある |
親族と一般社員間に差異が生まれ、円滑な経営運営が出来なくなる可能性がある |
税法上で不利な取り扱いを受ける可能性がある |
同族会社に対する法人税の特別な規定
同族会社の行為又は計算の否認
法人税法では、[税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。]と規定されています。
行為及び計算の否認の対象となる法人 | |
⑴ | 内国法人である同族会社 |
⑵ | イからハまでのいずれにも該当する内国法人 イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。 ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。 ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。 |
注 | 内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。 |
使用人に対するみなし役員の認定
同族会社の使用人の内、経営に関わっていると判断された従業員は「みなし役員」として扱われる場合があります。 この場合、従業員に対して支払う給与・賞与でも、税務上役員と同様に扱われます。 事前確定届出給与に関する届出書を提出した賞与以外の損金に算入した賞与が否認されます。
みなし役員とは同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの
⑴ | その会社の株主グループ(注1)をその所有割合(注2)の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、または第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。 |
⑵ | その使用人の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。 |
⑶ | その使用人(その配偶者およびこれらの者の所有割合が50パーセントを超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5パーセントを超えていること。 |
(注1) | 「株主グループ」とは、その会社の一の株主等およびその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいいます。 |
(注2) | 「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に定める割合をいいます。 ① その会社がその株主等の有する株式または出資の数または金額による判定により同族会社に該当する場合 その株主グループの有する株式の数または出資の金額の合計額がその会社の発行済株式または出資(その会社が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額のうちに占める割合 ➁ その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合 その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除きます。)のうちに占める割合 ③ その会社が社員または業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合 その株主グループに属する社員または業務執行社員の数がその会社の社員または業務執行社員の総数のうちに占める割合 |
留保金課税
同族会社のうち、特定同族会社[1つの株主グループの持株保有割合が50%超で、かつ資本金が1億円を超える会社又は大会社(資本金5億円以上の会社)の100%子会社]に該当する場合、一定の控除額を超える金額の留保がある場合は、留保金に対して通常の法人税とは別に下記の税率により留保金に課税されます。
課税留保金額 | 税率 |
年3,000万円以下の部分 | 10% |
年3,000万円超1億円以下の部分 | 15% |
年間1億円超の部分 | 20% |
[注]
⑴ 留保金額 = 法人の課税所得 + 課税外収入項目(受取配当金の益金不算入額や繰越欠損金の損金算入額など) - 社外流出の金額(剰余金の配当や役員賞与等) - 法人税等(法人税、市町村民税及び道府県民税)
⑵ 課税留保金 = 留保金額 ― 留保控除額
留保控除額は、次の基準額のうち最も多い金額を使用します。
基 準 | 留保控除額 |
(1) 所得基準額 | 当期の所得金額×40% |
(2) 定額基準額 | 2,000万円×当期の月数12 |
(3) 利益積立金基準額 | 期末資本金の額又は出資金の額×25%-期末利益積立金額 |
中小企業向け所得拡大促進税制による税額控除
制度の内容
所得拡大促進税制は、中小企業者等(※1)が、前年度より給与等(※2)を増加させた場合に、下記の様に計算した金額を法人税から税額控除できる制度です。
(令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降に開始される事業年度からこの制度が適用されます)
区分 | 適用条件 | 控除対象税額 |
原則 | 雇用者給与等支給額(※3)が前年度と比べて1.5%以上増加 | 控除対象雇用者給与等支給増加額(※4)の15%を法人税額から控除 *法人税額の20%が上限となります |
上乗せ計算が出来る場合 | 雇用者給与等支給額が前年度と比べ2.5%以上増加しており、かつ次のいずれかを満たすこと ①教育訓練費(※5)が前年度と比べて10%以上増加していること ②適用年度の終了の日までに中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画(※6)の認定を受けており、経営力向上計画に基づき経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされていること | 控除対象雇用者給与等支給増加額の25%を法人税額から控除 *調整雇用者給与等支給増加額が上限となります *法人税額の20%が上限となります |
(主な改正)
雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加した場合で、又改正前の適用要件であった継続雇用者要件が廃止になる改正で、制度が2年間延長されました
用語の説明
※1:中小企業者等
中小企業者等は青色申告書を提出する者のうち、以下のいずれかに該当する法人です(ただし、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人は本税制適用の対象外)
1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
⑴ | その発行済株式または出資(自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人 |
⑵ | 上記⑴のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人 |
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人を除きます。)
*大規模法人
大規模法人とは、次の⑴から⑷に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
⑴ | 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人 |
⑵ | 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人 |
⑶ | 大法人(次の➀から➂に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人 ➀ 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人 ➁ 相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人 ➂ 受託法人 |
⑷ | 100パーセントグループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を直接または間接に保有されている法人((3)に掲げる法人を除きます。) |
※2:給与等
俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びに、これらの性質を有する給与(所得税法第28条第1項に規定する給与所得)をいいます。したがって、例えば、所得税法第9条(非課税所得)の規定により非課税とされる給与所得者に対する通勤手当等についても、原則的には、本制度における「給与等」に含まれることになります。ただし、賃金台帳に記載された支給額のみを対象に、所得税法上課税されない通勤手当等の額を含めずに計算する等、合理的な方法により継続して国内雇用者に対する給与等の支給額の計算をすることも認められます。なお、退職金など、給与所得とならないものについては、原則として給与等に含まれません。
※3:雇用者給与等支給額
適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される全ての国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。ただし、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(国又は地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額(以下「雇用安定助成金額」といいます。)を除きます。)がある場合には、当該金額を控除します。
国内雇用者
法人又は個人事業主の使用人のうちその法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者を指します。パート、アルバイト、日雇い労働者も含みますが、使用人兼務役員を含む役員及び役員の特殊関係者は含まれません。
役員
法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人が該当します。 さらにそれら以外の者で、例えば、①取締役若しくは理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、②合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員、③人格のない社団等の代表者若しくは管理人、又は④法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者のほか、⑤相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれます。
特殊関係者
法人の役員又は個人事業主の親族が該当します。親族の範囲は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族までが該当します。また、当該役員又は個人事業主と婚姻関係と同様の事情にある者、当該役員又は個人事業主から生計の支援を受けている者等も特殊関係者に含まれます。
※4:控除対象雇用者給与等支給増加額
適用年度の「雇用者給与等支給額」から前事業年度の「比較雇用者給与等支給額」を控除した金額をいいます。ただし、調整雇用者給与等支給増加額を上限とします。
なお、「※3」で記載のとおり、雇用者給与等支給額(及び比較雇用者給与等支給額)に給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額を除きます。)がある場合には、当該金額を控除して計算を行います。
比較雇用者給与等支給額
前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。
調整雇用者給与等支給増加額
適用年度の雇用安定助成金額を控除した「雇用者給与等支給額」から、前事業年度の雇用安定助成金額を控除した「比較雇用者給与等支給額」を控除した金額をいいます。
雇用安定助成金額
雇用安定助成金額(「国又は地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額」をいいます。)には、以下のものが該当します。
① 雇用調整助成金、産業雇用安定助成金又は緊急雇用安定助成金の額
② ①に上乗せして支給される助成金の額その他の①に準じて地方公共団体から支給される助成金の額
※5:教育訓練費
所得の金額の計算上損金の額に算入される、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用のうち一定のものをいいます。具体的には、法人が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)、他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費等)、他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費等)などをいいます。
※6:経営力向上計画
経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、事業者が、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。
同族会社と役員について
同族会社の意義
同族会社とは会社の株主等の3人以下並びにこれらと特殊関係ある個人及び法人が次に該当するの場合にその会社をいう
⑴50%を超える株式を有する場合
その会社の発行済み株式等(自己株式を除く)の50%を超える株式を有する場合
⑵50%を超える議決権を有する場合
その会社議決権の50%を超える議決権を有する場合
⑶その会社の社員の半数を超える場合
その会社の社員の半数を超える場合
役員の意義
役員とは法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事及び清算人並びにこれら以外のもので法人の経営に従事している次のものをいう
⑴法人の使用人以外のもの
法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る)以外のもの
⑵同族会社の使用人のうち次の者
同族会社の使用人のうち次のすべてを満たしている者
① 株主グル-プの所有割合が最も大きいものから順位をつけた場合につぎの3つのいずれかの条件に該当す場合、その株主グル-プに属している使用人
番 号 | 内 容 |
1 | *第1順位の株主グル-プ(同順位の株主グル-プが2以上ある場合はそのすべての株主グル-プ、以下同じ)の所有割合を算定しこれが50%を超える場合そのグル-プ |
2 | *第1順位に第2順位を加算した割合が初めて50%を超える場合その全株主グル-プ |
3 | *第1順位、第2順位に第3順位グル-プの所有割合を加算した割合が初めて50%を超える場合その全株主グル-プ |
➁ その使用人の属する株主グル-プの所有割合が10%超であること
➂ その使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%超の他の法人も含む)所有割合が5%超であること
使用人兼務役員の意義
役員のうち部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ常時使用人としての職務に従事するもの(例えば取締役工場長、取締役営業部長等)
*社長、副社長、専務、常務等は使用人兼務役員になれません
みなし役員の意義
同族会社の使用人のうち次①➁➂の何れにも該当するもので経営に従事しているものをいう
①株主グル-プの所有割合が最も大きいものから順位をつけた場合につぎの3つのいずれかの条件該当す場合にその株主グル-プに属している使用人
番 号 | 内 容 |
1 | *第1順位の株主グル-プ(同順位の株主グル-プが2以上ある場合はそのすべての株主グル-プで以下同じ)の所有割合を算定し、これが50%を超える場合そのグル-プ |
2 | *第1順位に第2順位を加算した割合が初めて50%を超える場合その全株主グル-プ |
3 | *第1順位、第2順位に第3順位グル-プの所有割合を加算した割合が初めて50%を超える場合その全株主グル-プ |
➁その使用人の属する株主グル-プの所有割合が10%超であること
➂その使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%超の他の会社も含む)所有割合が5%超であること
この区分による役員給与の相違
役員に対する賞与は事前確定届出給与等所定の手続きした場合以外は損金に算入されませんが、使用人兼務役員に対する使用人部分の賞与で使用人としての相当額は損金算入されます。 又同族会社の使用人がみなし役員に該当した場合、その賞与は損金に算入されませんのでこの区分は非常に重要です
外貨建債権債務の経理
外貨建取引
外貨建取引とは外国通貨で行われる下記の様な取引をいいます
明 細 |
資産の販売及び購入 |
役務の提供 |
金銭の貸付及び借入 |
剰余金の配当他 |
外貨建資産等
外貨建資産等とは事業年度末に有する下記の様な資産負債をいいます
明 細 |
⑴ 外貨売掛金、買掛金 |
⑵ 外貨建有価証券 |
⑶ 外貨預金 |
円換算方法
1外貨建取引
⑴ 発生時換算法 取引日レ-トにより換算
2 外貨建資産負債
⑴ 発生時換算法 取引日レ-トにより換算
⑵ 期末時換算法 期末時レ-トにより換算
円換算は、その取引を計上すべき日(以下この章において「取引日」という。)又は期末時における対顧客直物電信売相場(以下この章において「電信売相場/TTS」という。)と対顧客直物電信買相場(以下この章において「電信買相場/TTB」という。)の仲値(以下この章において「電信売買相場の仲値/TTM」という。)による。ただし、継続適用を条件として、売上その他の収益又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の費用(原価及び損失を含む。以下この章において同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。
1 本通達の本文の電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その法人の主たる取引金融機関のものによることとするが、法人が、同一の方法により入手等をした合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
2 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下この章において「為替相場」という。)も使用することができる。
(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値
(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値
3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この(注)3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下この章において同じ。
(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。
(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときもこれを認める。
4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金(社債を含む。以下この(注)4において同じ。)に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。
5 法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建資産等(以下この章において「外貨建資産等」という。)の取得又は発生に係る取引は、当該取得又は発生の時における支払が本邦通貨により行われている場合であっても、本通達の本文及び(注)2から4までを適用し、当該外貨建資産等の円換算を行う。
6 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は、13の2-1-11《製造業者等が負担する為替損失相当額等》により益金の額又は損金の額に算入される部分の金額を除き、当該債権債務の決済をした日(同日前にその決済額が確定する場合には、その確定した日)の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
外貨建資産等と換算法の選択と届け出
外貨建資産等については発生時換算法及び期末時換算法の選択が可能であるのが、選定し届け出た方法により換算する
選択表
区分 | 発生時換算法 | 期末時換算法 |
⑴ 外貨建債権債務 | ○ | ○ |
⑵ 売買目的有価証券 | ー | ○ |
⑶ 償還有価証券 | ○ | ○ |
⑷ ⑵及び⑶以外の有価証券 | ○ | - |
⑸ 外貨預金 | ○ | ○ |
⑹ 外国通貨 | - | ○ |
法定換算法
届け出をしなかった場合の換算法です
分類表
区分 | 発生時換算法 | 期末時換算法 |
⑴ 短期外貨建債権債務 | ○ | |
⑵ 短期外貨預金 | ○ | |
⑶ ⑴⑵を除く外貨建債権債務及び外貨預金 | ○ | |
償還有価証券 | ○ |
短期外貨建債権債務及び短期外貨預金とは、外貨建資産等のうち決済日又は満期日が当期末の翌日から1年を経過した日の前日までに到来するものをいう
為替差益、為替差損の計上
⑴ 期末時換算法により換算した金額と帳簿価額との差額は、その事業年の益金の額又は損金の額に算入する
⑵ 為替決済日のレ-トにより換算した金額と帳簿価額との差額は、決済日の属する事業年の益金の額又は損金の額に算入する。
経営者が会社に債権放棄をした場合の課税関係
経営者が会社に対する貸付金を会社経営の健全化、相続税対策の目的で法人に対して放棄する場合がありますが、この場合の課税関係は下記のようになりますので注意が必要です。
法人側の課税関係
債務免除益として益金算入
債務額を債務免除益として受け入れて法人税の課税対象にする
債務額を債務免除益として受け入れて法人税の課税対象にしますが、その事業年度において控除可能な繰越欠損金の有無や、法人の所得により下記の様に課税関係が変わります。
⑴法人に控除可能な繰越欠損金が有り、繰越欠損金 ≧ 債務免除益の場合
① | 債務免除益に対しての法人税の課税は生じません |
➁ | その事業年度の所得が残りの繰越欠損金を超える場合はその超える部分に対して法人税が課税されます。 |
⑵法人に繰越欠損金が有り、繰越欠損金 < 債務免除益の場合
➀その事業年度に法人所得がある場合
残りの債務免除益とその事業年度の法人の所得の合計金額に対して法人税が課税されます。 |
➁その事業年度に法人損失金がある場合
残りの債務免除益とその事業年度の欠損金を相殺し
イ 残りの債務免除益の方が多い場合 | 法人税が課税されます |
ロ 残りの債務免除益の方が少ない場合 | 法人税が課税されません |
個人側の課税関係
原 則
債権放棄をした個人には何の課税もありませんが、債権放棄により債権放棄を受けた同族会社の株式又は出資の評価額が高くなることになった場合は債権放棄を行った株主(出資者)から他の株主(出資者)対して株式又は出資の増加部分に相当するする贈与があったものとして贈与税が発生する可能性が有ります。 よって株式の評価額が高くなるような債権放棄は注意が必要ですので慎重に行ってください。
例 外
(贈与税の課税がない場合)
⑴株式又は出資額が高くならない場合債権放棄を受けても評価額が変わらない場合は課税はありません (例えば法人に繰越欠損金が多くて、債務超過の法人の場合で、相続税法の規定による株式(出資)評価額が『0』で、債権放棄を受けた後も『0』である場合)
⑵同族会社の取引相場のない株式等の評価で、原則的評価方式が適用される同族株主以外の株主 (特例的な評価方式の配当還元方式が適用されます)
⑶債務免除を受けた法人の株主(出資者)が1人しかいない場合
⑷増加額の金額が贈与税の基礎控除額以下の場合
(参照条文)
相続税基本通達9-2
同族会社(法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第10号に規定する同族会社をいう。以下同じ。)の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。(昭57直資7-177改正、平15課資2-1改正)
(1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者
(2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者
(3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
(4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該財産の譲渡をした者
電子帳簿保存法の概要
(一部国税庁HPより)
1. 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等の制度の概要
電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。
(1) 国税関係帳簿書類の保存義務者(以下「保存義務者」といいます。)は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4①)。
(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➁)。
「保存義務者」とは
「保存義務者」とは、国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいいます(電子帳簿保存法2四)。
「電磁的記録」とは
「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいいます(電子帳簿保存法2三)。具体的には、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等の記録媒体上に、情報として使用し得るものとして、情報が記録・保存された状態にあるものをいいます。
電子取引の範囲
電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。
番号 | 内容 |
1 | いわゆるEDI取引 |
2 | インターネット等による取引 |
3 | 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。) |
4 | インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引 |
(参考1)電子帳簿保存時の要件
(参考2)電子帳票システム別の対応関係
2. 国税関係帳簿書類のCOMによる保存等の制度の概要
保存義務者は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合
(1) 保存義務者は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及びCOMの保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5①)。
保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合
(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➁)。
国税関係帳簿書類の電磁的記録による備付け及び保存をもって書類の保存に代えている保存義務者
(3) 国税関係帳簿書類の電磁的記録による備付け及び保存をもって書類の保存に代えている保存義務者は、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➂)。
(注) 「COM」とは
「COM」とは、電子計算機を用いて電磁的記録を出力することにより作成するマイクロフィルムをいいます。電子帳簿保存法では、「電子計算機出力マイクロフィルム」という用語で定義されています(電子帳簿保存法2七)。
3. スキャナ保存制度の概要
⑴ 保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除きます。)の全部又は一部について、その国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により、電磁的記録に記録する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➂)。
⑵ 国税関係書類のうち、財務省令で除かれるものとしては、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類が定められています(電子帳簿保存法規則2➃)。
⑶ 国税関係書類に記載されている事項を電磁的記録に記録する財務省令で定める装置として、スキャナが定められています(電子帳簿保存法規則2⑤)。
4. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の概要
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています(電子帳簿保存法7)。
5. 個人及び中小企業の具体的対応
1 電子帳簿等保存及びスキャナ保存については、保存義務者が書面で保存するかデータで保存するかを決められるため、いままで通りでも問題ありません。
2 電子取引データ保存は、2024年1月から適用されますので、 検索機能の確保に対応したソフトの導入か、 検索機能の確保ができる検索簿等を作成するかの事前準備が必要です。 また真実性の担保については、タイムスタンプ等の導入は経費がかかりますので、「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」に準拠した事務処理規程(国税庁のホームページからダウンロードすることができます。)を作成することをお勧めいたします。
JIIMA認証情報リスト(適合ソフトの情報)
令和3年度税制改正前においては、電子帳簿保存、電子書類保存及びスキャナ保存制度に関して、申請者の予見可能性を向上させ、またその手続負担を軽減させる観点から、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下、「市販のソフトウェア等」といいます。)を対象に、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の確認(「認証」)を受けたものを利用する場合については、承認申請書の記載事項や添付書類を一部省略することを可能としていました(令和元年(2019年)9月30日以後に行う承認申請から適用。)。
また、電子取引についても、予見可能性向上の観点から、同様にJIIMAによる市販ソフトウェア等の認証制度が設けられています。
令和3年度税制改正において事前承認制度は廃止となりましたが、保存義務者の予見可能性を確保する観点や優良な電子帳簿の普及促進の観点から、引き続き認証を受けた市販のソフトウェア等について、以下のリンク(JIIMA公式サイト)に掲載されていますので、ご確認ください。
要件適合性に関する事前相談窓口(自前で作成する場合)
電子帳簿等保存制度を利用するため、各企業等において受託開発されるシステムや自社開発のシステムを対象に、電子帳簿保存法における要件適合性に関する事前相談の窓口を設けています。
税務署所管の法人又は個人事業者の方
税務署 | 担当部門 |
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各税務署 | 法人課税部門 又は 個人課税部門 |
国税局又は沖縄国税事務所所管の法人
国税局等 | 担当課 |
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東京国税局、大阪国税局及び名古屋国税局 | 調査開発課 電子帳簿保存法担当 |
関東信越国税局 | 調査総括課 電子帳簿保存法担当 |
沖縄国税事務所 | 調査課 電子帳簿保存法担当 |
上記以外の国税局 | 調査管理課 電子帳簿保存法担当 |
※ お問い合わせの際は、担当者に法人名をお伝えください。
※ 制度等に関する一般的なご質問やご相談につきましては、各国税局の電話相談センターにてお受けしております(所轄(又は最寄り)の税務署におかけいただいた後、自動音声に沿って「1」を選択していただきますと、各国税局の電話相談センターにおつなぎします。)。
法人税・所得税と消費税との差異
所得税法、法人税法での取り扱い
令和3年度の税制改正により、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)および法人税に係る保存義務者については、2024年1月1日以後行う電子取引の取引情報に係る電子データうち、電子帳簿等保存及びスキャナ保存は書面に出力して保存することが認められていますが、電子取引データ保存を書面に出力して保存することが廃止されています。 その電子データを一定の要件の下、保存しなければならないこととされています。
消費税の取り扱い
消費税法での取り扱いについては、消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して、令和4年1月1日以後も引き続き、その電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められています。