法人 法人税の計算

法人の所得金額及び税額

法人種類別の課税対象

法人の種類(下記の区分、所得金額に応じて税率が変わります)課税対象
普通法人所得
協同組合等所得
公益法人等
⑴公益社団法人、公益財団法人、又は非営利型法人
⑵公益法人等とみなされるもの(*注1)
⑶上記以外の公益法人
収益事業(*注3)から生じた所得
人格のない社団等(*注2)収益事業(*注3)から生じた所得
特定医療法人所得

*注1 公益法人等とみなされるもの

認可地縁団体、管理組合法人及び団地組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人並び  にマンション建替組合及びマンション敷地売却組合を言います。

*注2 人格のない社団等

法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいいます。 具体的にはPTA、町内会、同窓会、同業者団体、マンションの管理組合などが該当します

*注3 収益事業とは詳しくは法人税法施行令第5条において34業種が規定されていますのでご確認下さい。

要約しますと、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業、労働者派遣業です。

所得金額

所得金額  =  各事業年度の益金の額  -  損金の額

(益金の意義)

別段の定めがあるものを除き、資産の販売、役務の提供等その他の取引で資本取引以外のものに係る収益の額

(損金の意義)

別段のあるものを除き、次の金額

1 売上原価、完成工事原価等原価の額
売上原価の計算
売上原価 =  期首棚卸  + 当期仕入 - 期末棚卸*
期末棚卸
棚卸資産の意義

棚卸資産とは、下記の様な棚卸すべき資産です。

番号詳 細 
1商品又は製品(副産物等を含む)
2半製品
3仕掛品(半成工事を含む)
4主要原材料
5補助原材料
6消耗品で貯蔵中のもの (注1)
71-6までに準ずる資産

(注1)

消耗品等の取得に要する費用は、当該消耗品を消費した日の属する事業年度の損金に算入することになるのですが、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度一定の場合等の条件を満たす場合)の取得に要した費用を継続して、取得した事業年度に損金算入している場合は、これを認めるとされています。 すなわち棚卸の必要がないことになります。 

棚卸資産の評価方法
評価方法計算方法内       容
①原価法    個別法期末棚卸資産の全部にその個々の取得価格をその棚卸資産の取得価額とする方法
先入先出法棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、当該事業年度終了の時から最も近い時において取得した資産から順次存在するものとして、その棚卸資産の取得価格をその取得価格とする方法
総平均法棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、「期末棚卸額 = (期首棚卸額 + 期中の仕入金額) ÷ (期首棚卸数量 + 期中取得棚卸資産数量)× 期末棚卸数量」で計算する方法
移動平均法棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、棚卸資産の仕入の都度、(直前の在庫金額+仕入金額)÷(直前の在庫数量+仕入数量)を計算し、期末時点に最も近い時に計算した平均単価を期末棚卸資産の単価として期末棚卸の金額を計算する方法
最終仕入原価法         棚卸資産を種類等の異なるごとに区分し、その種類の同じものについて、当該事業年度終了の時から最も近い時において取得した棚卸資産の単価を期末棚卸資産の取得単価として計算する方法
売価還元法棚卸資産を種類等又は通常の利益率の異なるごとに区分し、期末棚卸資産の通常の販売価額の総額に原価率(期首現価+仕入原価)÷(売上+期末売価)を乗じて計算した金額をその棚卸資産の取得価額とする方法
➁低価法        棚卸資産を種類等又は通常の利益率の異なるごとに区分し、その種類の同じものにつき①のいずれかの原価法で計算した金額と、当該事業年度終了の時の価額と何れか低い価額を棚卸資産の評価額とする方法
評価方法の届け出期限
内 容届け出期限
新設法人設立第1期の確定申告書の提出期限まで
新たに収益事業を開始した公益法人等及び人格のない社団等新たに収益事業を開始した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで
公益法人等(収益事業を行っていないもの)に該当していた普通法人又は協同組合等普通法人又は協同組合等に該当することとなった日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで
設立後等に新たな事業を開始し又事業の種類を変更した内国法人他の種類の事業(又は収益事業)を開始した日、あるいは事業(又は収益事業)の種類を変更した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限(法人税法第72条に規定する仮決算をした場合の中間申告書を提出するときは、その中間申告書の提出期限)まで
法定評価方法

棚卸資産の評価方法を選定しなかった場合又は選定した評価方法により評価しなかった場合は、最終仕入原価法により評価します。

2 販売費および一般管理費(その事業年度期末までに債務の確定しているもの)
販売費および一般管理費のうち主なもの
番 号勘 定 科 目内   容
1給与、役員報酬従業員の給与、賞与及び役員の給与、賞与
2旅費交通費従業員等の定期代、電車、飛行機等の乗車料金
3租税公課印紙、固定資産税等
4通信費電話代、切手代等
5水道光熱費電気、水道、ガス代等
6寄附金自治体への寄附等
7賃借料土地、建物の賃借料等
8交際費接待費、交際費等
9修繕費固定資産の維持管理費
10消耗品費ガソリン代、事務用品以外の包装紙、箱代等
11事務用品費事務用文房具等
12保険料損害保険、生命保険
13支払手数料銀行への支払手数料、仕事の紹介に対する謝金
14減価償却費建物等の減価償却費
15繰延資産償却繰延資産の償却費
16貸倒損失売掛金、貸金等の貸倒損失
17雑費その他の経費
詳細は別掲勘定科目をご参照下さい

償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別段の定めるものを除き、下記の要件のすべてに該当するものをいいます。

要  件
1その事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立していること
2その事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
3その事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること

3 資本取引以外の損失の額

税額の計算

税額 = 所得金額 × 税率  - 税額控除

税 率

法人の種類別の税率

法人の種類詳細所得金額が800万円以下の部分所得金額が800万円超の部分
普通法人等① 資本金1億円以下の法人15%23.2%
② 資本金1億円超の法人と相互会社23.2%
協同組合等15%19%
公益法人等① 公益社団法人、公益財団法人及び非営利型法人15%23.2%
② その他の公益法人15%19%
人格のない社団等15% 23.2%
特定の医療法人① ②以外15%19%
② 適用除外事業者19%19%

青色申告法人又は青色申告個人(以下青色申告法人等という)が従業員の給与を引き上げ又は雇用の拡大によって、継続雇用者給与額又は雇用者給与等支給額が増加した場合に、一定の要件のもと法人税又は所得税の税額控除の適用が受けられ、青色申告法人等の税負担の軽減を図るという制度です。 令和6年に改正(法人は令和6年4月1日以後開始事業年度から、個人は令和7年から適用)されましたので下記にその違いを記載します。

改正前の制度改正後の制度
大企業向け継続雇用者給与額の増加割合
3%以上―控除額=増加額×15%
4%以上―控除額=増加額×25% 最大30%
(上乗せ)
① 教育訓練費が前年度比10%以上― 5%
継続雇用者給与額の増加割合
3%以上―控除額=増加額×10%
4%以上―控除額=増加額×15%
5%以上―控除額=増加額×20%
7%以上―控除額=増加額×25% 最大35%
(上乗せ)
① 教育訓練費が前年度比10%以上    ― 5%
➁ 女性活躍等支援の一定の認定を受けた場合 ― 5% 
中堅企業向け        −継続雇用者給与額の増加割合
3%以上―控除額=増加額×10%
4%以上―控除額=増加額×25% 最大35%
(上乗せ)
① 教育訓練費が前年度比10%以上    ― 5%
➁ 女性活躍等支援の一定の認定を受けた場合 ― 5%
中小企業向け雇用者給与額の増加割合
1.5%以上―控除額=増加額×15%
2.5%以上―控除額=増加額×30% 最40%
(上乗せ)
① 教育訓練費が前年度比10%以―10%
雇用者給与等支給額の増加割合
1.5%以上―控除額=増加額×15%
2.5%以上―控除額=増加額×30%  最大45%
(上乗せ)
① 教育訓練費が前年度比5%以上     ― 10%
➁ 女性活躍等支援の一定の認定を受けた場合 ― 5%

注1 「継続雇用者給与等支給額」とは、「適用年度とその前年度のすべての期間において、給与等の支給を受けている国内雇用者に支給した給与等の総額」をいいます。

注2 「雇用者給与等支給額」とは適用年度のすべての国内雇用者に対する給与等(基本給・賞与・残業代など)の総額」のことです。 したがいまして、給与を支払った雇用者が継続雇用者か新規雇用者かは問いません。

賃上げ促進税制企業区分     対象企業等
全企業
(中小企業も活用可能)
全ての青色申告法人等(青色申告法人又は青色申告個人) 
資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の法人は事業年度終了の翌日から起算して45日以内(事業年度が令和6年3月31日までの場合、令和6年5月15日まで)に、マルチステークホルダー方針の公表及びその旨の届出の提出が必要です。
中堅企業
(中小企業も活用可能)
従業員2000人以下の法人等(青色申告法人又は青色申告個人)
資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の法人は事業年度終了の翌日から起算して45日以内(事業年度が令和6年3月31日までの場合、令和6年5月15日まで)に、マルチステークホルダー方針の公表及びその旨の届出の提出が必要です。
中小企業資本金1億円以下の法人等(青色申告法人)、協同組合等
従業員数1000人以下の個人事業主
区分控除額の計算
大企業の場合控除額 = 継続雇用者給与等支給額の対前年度増加額  × 各割合
中堅企業の場合控除額 = 継続雇用者給与等支給額の対前年度増加額  × 各割合
中小企業の場合控除額 = 雇用者給与等支給額の対前年度増加額  × 各割合

中小企業者等が賃上げ促進税制により計算した控除額が法人税等の20%を超える場合は、その超える金額を明細書に記載して確定申告することにより、翌年以降に5年間繰越すことが出来るようになりました。

(岐阜県高山市 野麦峠から見る乗鞍)