法人 減価償却

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減価償却費

概 要

事業などの業務のために用いられる建物等の資産は、時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産(土地、美術品等は時の経過等によってその価値が減っていきませんので除かれます)といいます。 減価償却資産の取得費は、取得した時に全額経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり、その資産の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却限度額の範囲内で損金算入していくべきものです。

固定資産の取得価額

原 則

区 分取得費
1購入した減価償却資産⑴+⑵の合計額
⑴ 資産の購入代金、引取運賃、荷役料、運送保険料、購入手数料、関税その他購入のために要した費用
⑵ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
2自己建設等⑴+⑵の合計額
⑴ 当該資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
⑵ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
3自己が生育した牛馬等 ⑴+⑵の合計額
⑴ 生育させるために取得した牛馬等の購入代金、引取運賃、荷役料、運送保険料、購入手数料、関税その他購入のために要した費用
⑵ 当該牛馬等を事業の用に供するために直接要した費用の額
4自己が生育した果樹等    ⑴+⑵の合計額
⑴ 果樹等に係る取得費等又は種苗費の額及び成熟費(肥料代、労務費、及び経費の額)
⑵ 当該果樹等を事業の用に供するために直接要した費用の額
5適格合併等、適格分割等(適格合併または適格現物分配により移転を受けた減価償却資産の場合)
⑴+⑵の合計額
⑴ 当該適格合併等に係る被合併法人又は現物分配法人が当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度において、当該資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額(以下「原始取得価額」という。)
⑵ 当該適格合併に係る合併法人又は被現物分配法人が当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
*このように適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る償却限度額の計算は、被合併法人の原始取得価額をその計算の基礎とすることとされています

(適格分割、適格現物出資、又は適格現物分配により移転を受けた減価償却資産の場合)
⑴+⑵の合計額
⑴ 当該適格分割に係る分割法人、現物出資法人又現物分配法人が当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に、当該事業年度において当該資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額
⑵ 当該適格分割に係る分割法人、被現物出資法人又被現物分配法人が当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
6上記1-5以外の方法による場合⑴+⑵合計
⑴ 当該資産の取得時における当該資産の通常要する費用の額
⑵ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

例  外

固定資産の取得価額に算入しないことが出来る経費

下記の経費は固定資産の取得価額に算入しないことが出来きます。

明 細
1不動産取得税、自動車取得税
2特別土他保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
3新増設に係る事業所税
4登録免許税等登記、登録のために要する費用
5建物の建設等にために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその設計計画を変更したことにより不要となったものに係る費用
6いったん契約した契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出した違約金の額
特別な取得価額
区分取得価額
高価買入資産実質的に贈与をしたものと認められる金額がある場合、その金額を除いた金額
借入金の利子借入金の利子は当該資産を使用する以前であっても、取得価額に算入しないとすることが出来ます
割賦購入資産の利子相当部分元金と利子が明確に区分されている場合、その利子および費用相当額を除くことができます
地方公共団体に対する寄付金を支払った場合地方公共団体から資産を購入した場合に、寄付金又は負担金も支払った場合、当該寄付金又は負担金を除いた金額

減価償却資産の判定

1 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のもの

 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の経費とします。

2 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において経費に算入することができます。

3 青色申告法人が、取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産

一定の要件を満たす青色申告法人が、取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記2の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の経費に算入できるという特例があります。

4 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうか

取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。

償却方法

1 定額法

償却限度額  =  取得価額  ×  定額法の償却率

2 定率法

⑴ 原 則
償却限度額  =  未償却残高  ×  定率法の償却率
⑵ 償却額が償却保証額*を下回った年以降の事業年度
償却限度額  =  改定取得価額* ×  改定償却率*

言葉の説明

*償却保証額取得価額に、耐用年数に応じた保証率を乗じた金額
*改定取得価額 償却額が初めて償却保証額に満たなくなる年の期首未償却残高
*改定償却率償却額が償却保証額に満たなくなる年以降に使用する当該資産の耐用年数に応じた償却率

中古資産の耐用年数

1 見積もり可能     見積もり耐用年数
2 見積もり不可能   簡便法等 
⑴ 簡便法
①耐用年数の一部を経過している場合

(法定耐用年数 – 経過年数) + 経過年数 × 20%

➁耐用年部の全部を経過している場合

法定耐用年数 × 20%

➂端数処理

1年未満の端数は切り捨て 2年未満の場合は2年

⑵ 例 外   

法定耐用年数

 

減価償却の特例

1 中小企業投資促進税制による特別償却

⑴概 要

この制度は、青色申告書を提出する中小企業者などが指定期間内に新品の機械および装置などを取得しまたは製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却を認めるものです。

⑵償却限度額

償却限度額は、基準取得価額の30パーセント相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額です。

2機械装置等が特定経営力向上設備等に該当する場合の特別償却

⑴概要

中小企業者などが、一定の期間内に、生産等設備を構成する機械および装置、工具、器具および備品、建物附属設備ならびに特定のソフトウェアで中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に該当するもののうち一定の規模のものの取得等をして、国内の対象事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、即時償却ができます。

*即時償却とは資産の取得金額の全額を資産を取得した事業年度に一括で損金に計上するものです。

⑵対象事業者

この制度の適用対象法人は、青色申告法人である次の法人です。

中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合

(注) 令和3年4月1日前に取得等をした対象資産についてこの制度の適用を受ける場合には、上記の適用対象法人から商店街振興組合を除きます。

中小企業者とは次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。以下同じです。)に該当するものは除かれます。

番号  内   容
1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
(1) その発行済株式または出資(自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人を除きます。)
注1(注1) 大規模法人とは、次のイからニに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
イ 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
ハ 大法人(次の(イ)から(ハ)に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
(イ) 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(ロ) 相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(ハ) 受託法人
ニ 100パーセントグループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を直接または間接に保有されている法人(ハに掲げる法人を除きます。)
注2令和3年4月1日前に取得等をした対象資産についてこの制度の適用を受ける場合には、上記(注1)の大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小企業等経営強化法の認定を受けたいわゆる事業承継ファンドの出資に係る部分に限ります。)を除きます。
⑶指定事業

この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

(注1)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。 また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。

(注2)令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等についてこの制度の適用を受ける場合には、上記の指定事業から次の事業を除きます。

1 不動産業

2 物品賃貸業

3 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)

⑷適用対象資産

この制度の対象となる資産(以下「特定機械装置等といいます。)は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)次に掲げる資産(匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものを除きます。)で、指定期間内に取得しまたは製作して指定事業の用に供したものです。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付けの用に供する資産は、特定機械装置等には該当しません。

(注) 令和3年4月1日前に取得等をした特定機械装置等については、匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供するものも含まれます。

特定機械装置等
1 機械および装置で1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
2 製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台または1基の取得価額が120万円以上のもの
3 上記2に準ずるものとして測定工具および検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。)
4 ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。以下同じ。)で次に掲げるいずれかのもの

(1) 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの

(2) その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの

5 車両および運搬具のうち一定の普通自動車(注)で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの
6 内航海運業の用に供される船舶
⑸適用の対象となる期間

この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産を取得しまたは製作して指定事業の用に供した場合におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。

ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。

⑹手続き

特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。

詳しくは国税庁へ

その他減価償却の各種特例計算

A 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分
B 償却は任意償却
C 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます
D リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
区分詳細企業の区分処理方法
所有権移転ファイナンスリ-スリ-ス期間中にキャンセルが出来なくて、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約リース料の総額を取得価格額に算入し法定耐用年数の期間で償却する
所有権移転外ファイナンスリ-スリ-ス期間中にキャンセルが出来なく、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約中小企業以外リース料の総額を取得価格額に算入しリース期間定額法で償却する
中小企業一定の条件のもと例外的に支払時に損金に算入することが出来る
オペレ-ティングリ-ス途中でキャンセルが出来る契約リ-ス料を支払時に損金に算入する
(長野県松本市 上高地焼岳)