法人 国庫補助金等の圧縮記帳

 法人が国庫補助金等の交付を受けた場合、原則としてその事業年度の課税所得になりますが、一度にその年度の課税所得にすると本来の補助金等の趣旨にそぐわなくなることから、翌年以降に課税の繰り延べをするための会計処理方法です。

 現在の代表的な国庫補助金等には下記のものが有ります

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

<一般型>

中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援

<グローバル展開型>

中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)

<補助金の金額>

対象経費は機械装置の購入費用、技術導入費、専門家への依頼費用、運搬費用に限定され、支給上限額は500万円から3,000万円と幅が広く、補助率は3分の2となっています。

<対象事業の種類既存のオフィスビル等の建築物の改修>

※ 構造躯体(外皮)、建築設備の省エネルギー改修に関するものを対象とします。

※ 省エネルギー改修に加えてバリアフリー改修を行う場合も対象とします。

※ 工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物の改修、後付の家電等の交換等は対象外とします。

<補助金の額>

支給限度額は5,000万円(設備改修関連は上限2,500万円)、補助率は3分の1以内となっています。

 ⑴ 当期において国庫補助金等の交付を受けること

 ⑵ 当期において目的資産を取得すること

 ⑶ 当期末までに国庫補助金等の返還が不要であることが確定していること

 ⑷ 清算中の法人でないこと

 この特例を受けるためには、次のいずれかの経理方法を採用する必要があります。

(1) 損金経理直接減額法

(2) 確定した決算において積立金として積み立てる方法 (圧縮積立金認定損)勘定

(3) 決算の確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 (圧縮積立金認定損)勘定

 ⑴ 国庫補助金等の額

 ⑵ 目的資産の取得価額

 ⑶ ⑴と⑵のどちらか小さい金額

  注1

  国庫補助金等の額≧目的資産の取得価額    (目的資産の取得価額 – 1)

  国庫補助金等の額<目的資産の取得価額    国庫補助金等の額

この金額を取得価額として償却額を計算
圧縮後の取得価額 = (取得価額-圧縮による損金算入額)