所得 所得税の基本
所得税の基本
居住者と非居住者の課税区分
所得税では、納税者を居住者と非居住者に区分し、それぞれの課税範囲及び課税方法を規定いています。
居住者 | 非居住者 | |
定 義 | ⑴日本国内に住所『納税者の生活の本拠をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかについては、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになっています』がある人 ⑵現在まで引き続いて1年以上居所『その人の生活の本拠という程度には至らないものの、その人が現実に居住している場所』』がある人 | 居住者以外の人 |
課税所得 | 全ての所得 | 国内源泉所得 ⑴恒久的施設を有する非居住者に対する使用料等の対価について、 ①その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合は、源泉徴収の上、申告納税方式を原則としています。 ➁またその対価が恒久的施設に帰せられない所得である場合は、原則として源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。 ⑵「恒久的施設」を有しない非居住者に対する使用料等の対価については、源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。 |
所得控除 | すべての控除が適用されます | 雑損控除、寄付金控除、基礎控除の3つです |
配当控除、外国税額控除制度 | すべての税額控除が適用されます | 配当控除及び一定の条件のもと外国税額控除制度が適用されます。 |
海外勤務中に不動産所得などがある場合
概要
海外勤務中は、勤務地の国の税制に従って納税するのが原則ですが、日本で発生した家賃収入等に関わる税金は日本で納税する必要があります。 納税者が1年以上の予定で海外勤務をする場合は非居住者と推定され、下記の表のように区分され課税されます。 また恒久的施設を有する非居住者に対する使用料等の対価について、その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合には国内源泉所得のみを納税管理人を通して確定申告する必要があります。
納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを納税者に代わってする人で、税務署にその届け出をする必要があります
(課税区分の一覧表)
恒久的施設の有無による課税区分 | 課税方法 | |
恒久的施設を有する非居住者(国内に不動産を有する納税者) | 恒久的施を有しない非居住者(国内に不動産を有しない納税者) | |
使用料等の対価について、その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合 | ― | 原則として源泉徴収の上、申告納税方式になっています |
使用料等の対価について、その対価が恒久的施設に帰せられない所得である場合 | ― | 原則として源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています |
― | その使用料等の対価 |
申告等の方法
区分 | 課税方法 | |
その年1月1日から出国する日まで | 出国の時までに納税管理人を指定した場合 | その年1月1日から出国する日までの間(以下「居住者期間」といいます。)に生じたすべての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間(以下「非居住者期間」といいます。)に生じた国内源泉所得の合計額について、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告をする必要があります |
納税管理人を指定しないで出国する場合 | 居住者期間に生じたすべての所得について、出国の日までに確定申告をする必要があります | |
出国の日の翌日から12月31日まで期間(非居住者の期間) | 国内源泉所得のみを納税管理人を通じて原則として確定申告をする必要があります | |
年を通じて海外に勤務している場合 | 日本国内に国内源泉所得があり、その所得の金額が基礎控除額を超える場合には、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告をする必要があります。 |
国内にある不動産の賃貸料については、原則として、非居住者がその支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収されますが、この源泉徴収税額の還付を受けるための申告を行うこともできます。
所得控除
区分 | 所得控除の種類 |
居住者期間 | 医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除または地震保険料控除の額 |
人的控除等の適用日 | 配偶者(特別)控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除または勤労学生控除の適用については、海外に出発する日までに納税管理人の届出をした場合は、その年の12月31日、納税管理人の届出をしないで出国した場合は、その出国の日で判定します。 |
居住者及び非居住者も適用される控除 | 雑損控除、寄附金控除および基礎控除 |
税額控除
適用される税額控除の種類 |
配当控除 |
一定条件のもと外国税額控除 |
一定条件のもと住宅借入金等特別控除 |
給与所得者が海外勤務になった場合の課税関係
国外における勤務期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて原則として、所得税法上の非居住者と推定されます。 この場合には下記のように課税関係が異なります。
1月1日から出国の日までの期間(居住者の期間) | 出国の日の翌日から12月31日まで期間及び翌年以降の期間(非居住者の期間) | |
給与所得だけの場合 | 居住者としての最後の給与支給の際に年末調整で手続き終了。 確定申告必要なし | 課税なし |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 納税管理人が゛翌年3月15日までに全ての所得についての確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに国内源泉所得と居住者期間についての所得と一緒に確定申告書を提出 |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 出国の日までに確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに非居住者の期間の不動産所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出時の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して翌年3月15日までに納税管理人を通して確定申告が必要。 一定の要件のもと、含み益に対する税額の納税猶予の手続きも可能 | 給与所得と対象資産の含み益と非居住者の期間の国内源泉所得の確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出予定日から起算して3か月前の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して出国の日までに確定申告が必要。 | 非居住者の期間の国内源泉所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
国外転出時課税の対象者とは | ⑴対象資産の価額の合計が1億円以上であること ⑵原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること | |
国外転出時課税の対象資産とは | 有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・ デリバティブ取引 |
所得の概念とその区分
所得税法は、基本的に個人に帰属するすべての所得をその所得の内容により10種類に分類し課税対象にしております。 しかしながら担税力から課税対象になじまない所得及び政策的な理由から所得税法等及び他の法律により課税対象から除外した所得等(非課税所得)があり、その区分は下記のようになっておりますので御参照下さい。
所得税における所得の区分 (すべての所得が対象。 ただし贈与税及び相続税の対象になるものは除く) | |||
課税対象の所得 | 非課税所得 | ||
⑴ 所得税法により定義の明確な所得 | ⑵ ⑴以外のその他所得 | ①所得税法第9条に規定する所得 ➁所得税法第10条 ③所得税法第11条 ➃基本通達9-1、基本通達9-23等 ⑤租税特別措置法 納税準備預金の利子等 ⑥その他の法律による非課税 イ 遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給等 ロ 生活保護法により支給をうける保護金品及び進学準備給付金 ハ 雇用保険の失業等給付 ニ 当せん金付証票の当せん金品 | |
一時所得 | 雑所得 | ||
利子所得 配当所得 事業所得 不動産所得 給与所得 譲渡所得 山林所得 退職所得 | ⑴以外の所得で ①営利を目的にした継続的取引から生ずる所得以外の一時の所得で ➁労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない所得 | ⑴以外の所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得 |
所得の種類とその内容及び計算方法
所得の種類 | 内 容 | 計算方法 |
利子所得 | ➀公社債及び預貯金の利子 ➁合同運用信託、公社債投資信託等の収益分配金 | (収入金額) = (所得金額) |
配当所得 | ➀法人から受ける利益の配当 ➁〃 出資に係る剰余金の配当・分配 ③〃 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等投資信託を除く)及び特定受益証券発行信託の収益の分配 ➃〃 みなし配当所得 | (収入金額)-(元本を取得する為に要した負債の利子) |
不動産所得 | 不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付などによる所得 | (総収入金額)-(必要経費) |
事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、サ-ビス業などかの事業から生ずる所得 (不動産所得及、山林所得又は譲渡所得に該当するものは除く) | 〃 |
給与所得 | 俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与による所得 | (収入金額) -(給与所得控除) 給与所得控除の代わりに特定支出控除で計算ができます |
譲渡所得 | 資産の譲渡による所得で下記の様に分かれます ➀ 短期譲渡所得 取得の日か5年以内の譲渡 ➁ 長期譲渡所得 ➀以外の所得 | (総収入金額)-(取得費及び譲渡費用)-(特別控除) |
一時所得 | 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう | (総収入金額)-(収入を得るために支出した金額)-(特別控除) |
雑所得 | 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得、一時所得以外の所得 | ➀+➁ ➀(公的年金の収入金額) - (公的年金控除額) ➁(➀以外の総収入金額) - (必要経費) |
山林所得 | 山林の伐採又は譲渡による所得 | (総収入金額)-(必要経費)-(特別控除) |
退職所得 | 退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与による所得 | [(収入金額) -(退職所得控除)]×1/2 特定役員退職手当等の場合は1/2適用なし |
土地建物等の譲渡所得 | ➀分離短期譲渡所得 その年の1月1日で所有期間が5年以内の譲渡 ➁分離長期譲渡所得 ➀以外の譲渡 | (総収入金額)-(取得費及び譲渡費用) |
一般株式又は上場株式式の譲渡に係る譲渡所得等 | 一般株式又は上場株式式の譲渡に係る譲渡したことによる事業所得、譲渡所得又は雑所得 | (総収入金額)-(必要経費) 又は (総収入金額)-(取得費+譲渡費用+負債利子) |
土地の譲渡等にかかる事業所得等 | その年の1月1日で所有期間が5年以下の譲渡である土地等を譲渡したことによる事業所得又は雑所得 | (総収入金額)-(取得費、販売費および一般管理費+負債利子) |
先物取引に係る雑所得等の金額 | 一定の先物取引の差金等決済をした場合には、その先物取引に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額および雑所得の金額の合計額 | (総収入金額)-(必要経費等) |
所得の種類とその課税方法
所得の種類 | 総所得金額に算入し課税 | 源泉分離課税 | 申告分離課税 | その他分離課税又は独立して課税 |
利子所得 | ○ | 原則として分離課税(税率15.315%) | ||
配当所得 | ①は○ ②は○又は申告分離課税 | ➁は総合課税又は○ | ➀原則として源泉徴収(税率20.42%)され総合課税 ➁上場株式等の配当所得(大口株主を除く)については15.315%税率で源泉徴収されたうえで総合課税又は15.315%の税率による申告分離課税 ➂少額の配当所得は申告しないことが選択できる | |
不動産所得 | 〇 | 所得を総所得金額に算入し課税 | ||
事業所得 | 〇 | 〃 | ||
給与所得 | ○ | 〃 | ||
譲渡所得 | ○ | 短期譲渡所得は所得を総所得金額に算入し課税 長期譲渡所得は1/2を総所得金額に算入し課税 | ||
一時所得 | ○ | 所得の1/2を総所得金額に算入し課税 | ||
雑所得 | ○ | 所得を総所得金額に算入し課税 | ||
山林所得 | ○ | 他の所得と分離し課税 | ||
退職所得 | ○ | 〃 | ||
土地建物等の譲渡所得 | ○ | 〃 | ||
一般株式等又は上場株式に係る譲渡所得等 | ○ | 原則として15%の税率により分離課税 | ||
土地の譲渡等に係る事業所得等 | ○ | 他の所得と分離し課税 ただし令和5年3月31日までの譲渡には適用しない | ||
先物取引に係る雑所得等の金額 | ○ | 15%の税率による申告分離課税 |
(用語の説明)
総所得金額
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、短期譲渡所得は所得、長期譲渡所得は1/2、一時所得の1/2、及び雑所得の合計額で、損益通算や、前年から繰り越した純損失・雑損失の繰越控除を適用した後の金額のことをいいます。
合計所得金額
配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得(公的年金等に係る所得など)などの「総合所得」を合計した金額(純損失または雑損失等の繰越控除を適用する前の金額)のことをいいます。 なお、土地・建物等の譲渡所得などの分離所得も含まれます。
源泉分離課税制度
他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結します。
申告分離課税制度
所得税は、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。しかし一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算します。これを申告分離課税制度といいます。
非課税所得
所得税は、原則的にすべての所得に対して課税することにしていますが、所得の中には、社会政策その他の見地から所得税を課さないものがあります(これを非課税所得といいます)。 所得税法、所得税法施行令、所得税法基本通達、租税特別措置法、その他の法律により非課税とされているものが多数ありますので、詳細は省略いたしますが、主だったものを下記に記載いたしますのでご参照下さい。
(所得税法第9条) | |
1 | 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。) |
2 | 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配 |
3 | 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの イ 恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの ロ 遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。) ハ 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付 |
4 | 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの |
5 | 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの |
6 | 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの |
7 | 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの |
8 | 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。) |
9 | 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得 |
10 | 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。) |
11 | オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの |
12 | 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付 |
13 | 次に掲げる年金又は金品 イ 文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金 ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品 ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品 ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品 ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの |
14 | オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの |
15 | 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品 イ 法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合 ロ 法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合 ハ 個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合 ニ 個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合 |
16 | 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。) |
17 | 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。) |
18 | 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの |
19 | 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの |
(所得税法第10条) | |
(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税) | |
(所得税法第11条) | |
(公共法人等及び公益信託等に係る非課税) | |
(基本通達) | |
葬祭料、香典又は災害見舞金で社会通念上相当と認められるもの (基本通達9-23) | |
労働基準法による遺族補償等 (基本通達9-1) | |
(租税特別措置法) 主なもの | |
障害者等の少額公債の利子 | |
勤労者財産形成住宅貯蓄の利子 | |
納税準備預金の利子 | |
相続税を財産で物納した場合の譲渡所得又は山林所得 | |
国、地方公共団体に寄付した場合の譲渡所得、雑所得及び山林所得 | |
(その他の法律による非課税) | |
国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給 | |
介護保険の給付又は第一号事業支給金 | |
児童福祉法により支給をうける金品 | |
生活保護法により支給をうける保護金品及び進学準備給付金 | |
雇用保険の失業等給付 | |
当せん金付証票の当せん金品 |
税額の計算
所得の種類 | 計算 | 税額 |
1 総所得金額 | (総所得金額-所得控除の金額)×税率 | 1の税額 |
2 山林所得の金額 | (山林所得の金額-所得控除の金額)×1/5×税率×5 又は課税山林所得に対する税額表により算出 | 2の税額 |
3 退職所得の金額 | (退職所得の金額-所得控除の金額)×課税山林所得に対する税率 | 3の税額 |
4 土地建物等の短期譲渡所得 | (短期土地建物等の譲渡所得の金額-所得控除の金額)×30%(原則) | 4の税金 |
5 土地建物等の長期譲渡所得 | (長期土地建物等の譲渡所得の金額-所得控除の合計)×15%(原則) | 5の税金 |
6 一般株式等に係る譲渡所得等 | (所得の金額-所得控除の金額)×15%(原則) | 6の税金 |
7 上場株式等に係る譲渡所得等 | (所得の金額-所得控除の金額)×15%(原則) | 7の税金 |
8 土地の譲渡等に係る事業所得等 *令和5年3月31日までの譲渡には適用しない | ①と②のどちらか多い方 ①(土地の譲渡等に係る事業所得等-所得控除の金額)×40% ②[(総所得金額+土地の譲渡等に係る事業所得等の所得金額-所得控除の金額)×の税率]-(総所得金額-所得控除の金額×税率)]×110% | 8の税金 |
9 先物取引に係る課税雑所得等の金額 | 所得の金額-*所得控除の金額)×15% 申告分離 | 9の金額 |
合計 | 1-9の合計税額 | 金額 |
ただし配当所得等で源泉分離を選択した所得に係る税額は上記に含めません
納付税額の計算
納付税額 = 各種所得の合計税額 - 各種税額控除 - 源泉税額 - 予定納税額 |
*1 変動所得(印税、原稿料、作曲料による所得等)又は臨時所得(職業野球選手等が、特定の者と3年以上の期間の専属契約を結ぶことにより一時に受ける契約金等)がある場合は、平均課税の方法による税額計算を選択できます。
所得控除の控除の仕方
1 所得控除の控除順序
所得金額から控除する所得控除は控除の順序が決められていて、まずは雑損控除額を控除し、以下下記の順序で控除します。
種 類 | 内 容 | |
1 | 雑損控除 | 災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等に受けることができる所得控除です。 |
2 | 医療費控除 | 病院に支払った診療費・治療費等で所定の計算により計算した金額を控除することが出来る所得控除です。 |
3 | 社会保険料控除 | 国民年金、厚生年金、国民健康保険、健康保険、介護保険、高齢者医療保険、雇用保険等の1年間の支払い額(家族分も含む)を控除することが出来る所得控除です。 |
4 | 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済法の規定のもと、中小機構と結んだ共済契約の掛金、確定拠出年金法の規定のもと、支払いする企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金等の年間支払額を控除することが出来る所得控除です。 |
5 | 生命保険料控除 | 納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。 |
6 | 地震保険料控除 | 納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、地震保険料控除として一定の金額の所得控除を受けることができます。 |
7 | 寄付金控除 | 国や地方公共団体、特定の法人などに寄附をした場合は、所定の計算により寄付金控除が受けれます。 |
8 | 障害者控除 | 納税者自身、生計を一にする配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合には、一定の金額の障害者控除を受けることができます。 |
9 | 寡婦控除 | 納税者自身が寡婦であるときは、寡婦控除として一定の金額の所得控除を受けることができます。 |
10 | ひとり親控除 | 納税者がひとり親であるときは、これをひとり親控除として一定の金額の所得控除を受けることができます。 |
11 | 勤労学生控除 | 納税者自身が勤労学生であるときは、勤労学生控除として一定の金額の所得控除を受けることができます。 |
12 | 配偶者控除 | 納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、配偶者控除として一定の金額の所得控除が受けられます。 |
13 | 配偶者特別控除 | 配偶者に48万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられない場合に、配偶者の所得金額に応じて、配偶者特別控除として一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。 なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。 |
14 | 扶養控除 | 納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、扶養控除として一定の金額の所得控除が受けられます。 |
15 | 基礎控除 | 確定申告等、所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから必ず差し引くことができる所得控除。 |
2 各種所得から控除する場合の順序
所得金額から控除する所得控除額は順序が決められていて、まずは総所得金額から控除し、以下下記の順序で控除します。
順序 | 所得の区分 |
1 | 総所得金額 |
2 | 上場株式等に係る配当所得等の金額 |
3 | 土地等に係る事業所得等の金額 |
4 | 短期譲渡所得の金額 |
5 | 長期譲渡所得の金額 |
6 | 一般株式等に係る譲渡所得等の金額 |
7 | 上場株式等に係る譲渡所得等の金額 |
8 | 先物取引に係る雑所得等の金額 |
9 | 山林所得金額 |
10 | 退職所得金額 |
個人の国際税務
個人の課税区分
所得税では、個人を居住者及と非居住者に区分し、それぞれ下記のように規定されています。
区 分 | 詳 細 | ||
居住者 | 国内に住所を有し、又は現在まで引き続き1年以上居所を有する個人 | 永住者 | 非永住者以外の居住者 |
非永住者 | 日本国籍を有しておらず、かつ過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である個人 | ||
非居住者 | 居住者以外の個人 |
注1 法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。
注2 居所とは、その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所とされています。
個人の課税範囲
所得税では、個人を居住者及び非居住者に区分に応じてその課税範囲が下記のように規定されています。
区 分 | 課 税 所 得 の 範 囲 | ||||
国内源泉所得 | 国外源泉所得 | ||||
国内払い | 国外払い | ||||
国外から送金されたもの | 国外から送金されないもの | ||||
居住者 | 永住者 | 課 税 | |||
非永住者 | 課 税 | 課税対象外 | |||
非居住者 | 課 税 | 課 税対 象 外 |
参照 非居住者の課税関係(国税庁資料)
(注) 1 恒久的施設帰属所得が、上記の表①から⑯までに掲げる国内源泉所得に重複して該当する場合があることに留意する。
2 上記の表i➁資産の譲渡により生ずる所得のうち恒久的施設帰属所得に該当する所得以外のものについては、令第281条第1項第1号から第8号までに掲げるもののみ課税される。
3 措置法の規定により、上記の表において総合課税の対象とされる所得のうち一定のものについては、申告分離課税又は源泉分離課税の対象とされる場合があることに留意する。
4 措置法の規定により、上記の表における源泉徴収税率のうち一定の所得に係るものについては、軽減又は免除される場合があることに留意する。
恒久的施設(Parmanent Establishment以下PEという)とは
恒久的施設とはその内容により次の3つの種類があります。
種類 | 内 容 |
支店PE | 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所はPEに含まれます。 ただし、下記①、➁は除く ①資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所、 ➁広告、宣伝、情報の提供、市場調査、基礎的研究等、その事業の遂行にとって補助的な機能を有する活動を行うためにのみ使用する場所 |
建設PE | 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供を、1年を超えて行う場合のその場所は、PEとみなされます。 |
代理人PE | 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等はPEとみなされます。ただし、代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等はPEとみなされません。 |
恒久的施設帰属所得とは
非居住者が恒久的施設を通じて事業を行う場合において,その恒久的施設がその非居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば,①その恒久的施設が果たす機能,②その恒久的施設において使用する資産,③その恒久的施設とその非居住者の事業場等との間の内部取引その他の状況を勘案して,その恒久的施設に帰せられるべき所得とされています。
給与所得者が海外勤務になった場合の課税関係
概 略
国外における勤務期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて原則として、所得税法上の非居住者と推定されます。 この場合には下記のように課税関係が異なります。
区 分 | 1月1日から出国の日までの期間(居住者の期間) | 出国の日の翌日から12月31日まで期間及び翌年以降の期間(非居住者の期間) |
給与所得だけの場合 | 居住者としての最後の給与支給の際に年末調整で手続き終了。 確定申告必要なし | 課税なし |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 納税管理人が゛翌年3月15日までに全ての所得についての確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに国内源泉所得と居住者期間についての所得と一緒に確定申告書を提出 |
納給与所得以外にも不動産所得がある場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 出国の日までに確定申告書を提出 | 納税管理人が翌年3月15日までに非居住者の期間の不動産所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに納税管理人の届け出を提出した場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出時の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して翌年3月15日までに納税管理人を通して確定申告が必要。 一定の要件のもと、含み益に対する税額の納税猶予の手続きも可能 | 給与所得と対象資産の含み益と非居住者の期間の国内源泉所得の確定申告を納税管理人を通じて提出 |
給与所得者が国外転出時課税の対象者である場合で 出国の日までに税管理人の届け出を提出しなかった場合 | 給与所得と対象資産の含み益(国外転出予定日から起算して3か月前の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして計算した金額)に対して出国の日までに確定申告が必要。 | 非居住者の期間の国内源泉所得のみの確定申告を納税管理人を通じて提出 |
国外転出時課税の対象者とは | ⑴対象資産の価額の合計が1億円以上であること ⑵原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること | |
国外転出時課税の対象資産とは | 有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・ デリバティブ取引 |
海外勤務中の課税関係
海外勤務になった後に、現地で支給される給与以外に本社からも日本に居住する家族に在留守宅手当、賃金格差補填金又は給与が支給される場合で、日本法人の役員に対する役員報酬に該当しない場合は、これらは非居住者が受ける国外源泉所得に該当するため、日本国内では課税されません。 ただし現地での課税については租税条約等の関係もありますので、現地で確認する必要があります。
給与の種類 | 所得の区分 | 課税関係 |
⑴ 日本法人の役員に対する役員報酬 | 日本の国内源泉所得 | 日本で課税される |
⑵ ⑴以外 | 日本の国外源泉所得 | 日本で課税されない |
新NISA制度(少額投資非課税制度)
概 要
令和6年より新しいNISA制度が始まります。 NISA(Nippon Individual Savings Account)とは、通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらから派生する配当所得又は株式等の売却による譲渡所得に対して20.315%の税金がかかります。 しかし、このNISA制度を利用すれば一定の金額まで非課税となります。 その新しいNISA制度の概要は下記の通りですので、ご参照下さい。
(新NISA制度) 令和6年から適用
項 目 | 特定累積投資勘定(つみたて投資枠) | 特定非課税管理勘定(成長投資枠) |
年齢制限 | 18歳以上の人(利用する年の1月1日時点で18歳以上の成人の方が対象) | 18歳以上の人(利用する年の1月1日時点で18歳以上の成人の方が対象) |
非課税対象対象所得 | 非課税口座を取り扱う金融商品等扱い業者等を経由して受け取る配当金及び上場株式等の売却益(売却損が生じた場合は損益通算の適用がないためその損失はないものとみなされます) *損益通算 通常の証券口座(特定口座・一般口座)では、保有する商品で損失が発生したとき、他の課税口座の商品から生じる利益と相殺することができます(これを「損益通算」といいます | |
投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等で一定のもの |
年間投資限度額 | 120万円 | 240万円 |
非課税限度額 | 1,800万円(積み立て枠と成長枠の合計) | |
1,800万円 | 1,200万円 | |
非課税期間 | 無制限 | 無制限 |
口座開設期間 | 恒久 | 恒久 |
非課税保有限度額 | 2024年からのNISAでは、商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の取得金額の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。 | |
新NISAの開設の仕方 | (既にNISAを利用していた方) 令和5年12月31日までににおいて、NISAの非課税口座を開設している場合はに自動的にその非課税口座に「つみたて投資枠」及び「成長投資枠」が自動で設定されるため、特に新たな手続は必要ありません。 (新たにNISAを利用される方) 取扱い金融機関に、「非課税口座開設届出書」の提出をして非課税口座を開設することで、「つみたて投資 枠」及び「成長投資枠」が設定されます。 その時に必要な書類―マイナンバ-カ-ド等本人確認書類 | |
その他条件 | 口座は1人につき1口座のみ開設可能です。 金融機関の変更は、年単位で可能です。 |
(改正前のNISA制度)
項 目 | 一般NISA | つみたてNISA |
年間投資枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税保有限度額 | 600万円 | 800万円 |
利用可能期間 | 令和5年末まで | 2042年末まで ※新規買付は令和5年末まで |
医療費控除
医療費控除とは
その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、所定の金額を医療費控除とし所得控除を受けることができます。
医療費控除の対象となる医療費の要件
(1)自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)その年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費であること(未払いの医療費は除く)。
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額です。(ただし最高200万円)
医療費控除 = [実際に支払った医療費の合計額 - 保険金等で補てんされる金額(注1)] - 総所得金額等×5%(最高10万円)
(注1) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などです。 なお 保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きする必要はありません。
(注2) 医療費を補てんする金額が確定申告書の提出までに確定していない場合は、その補てんされる金額の見込額を支払った医療費から差し引きます。
医療費控除の対象となる医療費
1 医師または歯科医師による診療または治療の対価(健康診断料、医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
2 治療または療養に必要な風邪薬などの医薬品の購入の対価(ビタミン剤、健康増進剤等は除く)
3 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院等への収容されるための人的役務の提供の対価
4 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、健康維持、健康増進に資すための治療は除く)
5 保健師、看護師、准看護師または特に依頼した人による療養上の世話の対価 (治療のために家政婦に病人の付添いを頼んだ場合の費用も含まれます。 ただし、家族や親類縁者に付添いを頼んでお金を支払った場合を除きます。
6 助産師による分娩介護費用対価
7 介護福祉士等による一定の喀痰吸引および経管栄養の対価
8 介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術または分べんの介助を受けるために直接必要なもの
(1)病院への公共交通機関等による通院費(原則としてタクシ-代は対象外ですが、出産等で緊急性を要する場合などタクシ-利用に必然性がある場合は含まれることもあります)、医師等の送迎費、入院時の部屋代や食事代、医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの。 ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は除かれます。
(2)医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用
(3)身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや上記(1)・(2)の費用に相当するもの
(4)一定の条件のもと医師等の指示によるおむつ代
10 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
11 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
12 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導のうち所定のもの
医療費控除の対象となる器具等購入費の具体例
(医療費控除の対象になるもの)
⑴ 医師の指示により行う治療のためのメガネ代
⑵ 治療を受けるために直接必要とする松葉杖代
⑶ 医師が治療上必要と認める場合に、一定の条件のもと購入したオムツ代
(医療費控除の対象にならないもの)
⑴ 身体障害者の車椅子の購入代金
⑵ 病気の治療とは関係のない血圧計の購入費用
⑶ 空気清浄機の購入費用
医療費控除の対象となる出産費用の具体例
(医療費控除の対象になるもの)
(1) 妊娠した場合の定期検診や検査などの費用
⑵ 不妊症の治療代及び人工授精にかかる費用
⑶ 流産の費用
⑷ 病院への公共交通機関による通院費用
⑸ 出産で入院する際に、電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なため、タクシーを利用した場合のタクシー代
⑹ 病院に対して支払う入院中の食事代
(医療費控除の対象にならないもの)
(1 ) 実家で出産するための帰省費用
(2) 入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用
(3) 入院中に他から出前を取ったり、外食したりした食事代
⑷ 無痛分娩講座に出席するための費用
⑸ 出生前遺伝学的検査の費用
⑹ 妊娠検査薬の購入費用
⑺ マイカ-で通院した場合のガソリン代及び駐車料金代
(その他)
健康保険組合等からの出産育児一時金や家族出産育児一時金または、出産費や配偶者出産費などは、その金額を医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。 なお受給を受けた育児手当は差し引く必要はありません。
出産に伴う健康保険法等の規定により給付される出産手当金は、医療費控除の計算上差し引く必要はありません。
医療費控除の対象となる入院費用の具体例
(医療費控除の対象になるもの)
⑴ 入院中の治療費
⑵ 付添人を頼んだときの付添料などの療養上の世話を受けるための費用
⑶ 入院中の食事代
(医療費控除の対象にならないもの)
⑴ 入院に際し寝巻きや洗面具などの身の回り品の購入費
⑵ 医師や看護師に対するお礼
⑶ 自己都合で個室に入院したときなどの差額ベッドの料金
⑷ 親族などに支払う付添料
⑸ 出前を取ったり、外食をした時の食事代
⑹ 入院中のテレビの賃借料
(その他注意事項)
健康保険組合などから支払われる高額療養費や生命保険契約などの特約により支払われる入院費給付金などを受け取っている場合は、その金額を支払った医療費から差し引かなければなりません。
医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
歯科医師による診療または治療の対価のうちには自由診療による高額なものも含まれますが、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となる医療費に該当します。
(医療費控除の対象になるもの)
⑴ 診療費、治療費のうち一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額(金やポ-セレンは現在一般材料として認められています)
⑵ 総入歯の費用
⑶ 子供が歯列矯正を受ける場合、その年齢等を勘案し妥当と認められる場合の不正咬合の歯列矯正治療費
⑷ 通院費(小さい子供の通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれます)
(医療費控除の対象にならないもの)
⑴ 容貌を美化するための歯列矯正費用
⑵ 歯を白くするためのラミネ-ト・ベニア法の治療費
⑶ マイカ-で通院した場合のガソリン代や駐車場代等
⑷ ローンに係る金利および手数料相当分
(その他)
歯の治療費は自費治療の関係から金額が高額になる場合も多く、歯科ローンやクレジットにより支払う場合もあります。 この場合は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。 なお、この場合に患者の手もとに領収書がない場合があると考えられますので、歯科ローンの契約書や信販会社の領収書を保存する必要があります。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、自己がその年中に健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)を控除額とするセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の適用を受けることができます。
セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費
セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費とは、次の医薬品である一般用医薬品等(新医薬品に該当するものおよび人の身体に直接使用されることのないものを除きます。)の購入の対価をいいます。
時期 | 内容 |
平成29年1月1日から令和3年12月31日までに購入したもの | 次の医薬品のうち、医療用薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの (1)その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品 (2)その製造販売の承認の申請に際して(1)の医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品 |
令和4年1月1日から令和8年12月31日までに購入したもの | (1)次の医薬品のうち、医療用薬剤との代替性が特に高いもの(令和8年1月1日以降に購入したものについては、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が低いと認められる医薬品を除く。)として厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの イ その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる医薬品ロ その製造販売の承認の申請に際してイの医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められる医薬品(2)その製造販売の承認の申請に際して(1)の医薬品と同種の効能または効果を有すると認められる医薬品のうち、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が著しく高いと認められるものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの |
(注1) 「医薬品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第1項に規定する医薬品をいいます。
(注2) 「一般用医薬品等」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第4条第5項第3号に規定する要指導医薬品および同項第4号に規定する一般用医薬品をいいます。
(注3) 「新医薬品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいいます。
(注4) 「製造販売の承認の申請」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第3項の規定による同条第1項の製造販売についての承認の申請または同法第19条の2第5項において準用する同法第14条第3項の規定による同法第19条の2第1項の製造販売をさせることについての承認の申請をいいます。
(注5) 「承認」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条または第19条の2の承認をいいます。
医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるものとは、(1)いわゆるスイッチOTC医薬品で、告示に掲げるもの(アシクロビル、アシダザノラストなど、令和3年6月25日現在87成分が定められています。)、その水和物およびそれらの塩類を有効成分として含有する製剤および(2)その製造販売の承認の申請に際して、スイッチOTC医薬品と同種の効能または効果を有すると認められる一般医薬品等(以下「スイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品」といいます。)で告示に掲げるもの(アスピリン、アセトアミノフェンなど、令和3年6月25日現在42成分が定められています。)、その水和物およびそれらの塩類を有効成分として含有することにより、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬もしくはかぜ薬または鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬もしくは抗ヒスタミン薬その他のアレルギー用薬としての効能または効果を有すると認められる製剤をいいます。
セルフメディケーション税制の対象とされるスイッチOTC医薬品およびスイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームペ―ジに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。
なお、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。 (国税庁HPより抜粋)
手続き
申告等の方法
医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載等した確定申告書を提出する必要があります。
申告先等
住所地の所轄税務署
提出書類等
医療費控除の明細書
ただし医療保険者から交付を受けた医療費通知(医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類で、所定の事項を記載したもの)がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。 なお医療費の領収書は税務署にその内容を証明するために、確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
寄付金控除
寄附金控除
寄付金控除とは、納税者が「特定寄附金」を支出した場合には、これを寄附金控除として、所得金額から下記で計算した所定の金額が差し引かれます。
特定寄附金
特定寄附金とは国、地方公共団体に対する寄附金等、下記の寄付金です。(ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるものおよび政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しません。)
寄附金の内容 | |
⑴ | 国、地方公共団体に対する寄附金(寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるものを除きます。) |
⑵ | 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの イ 広く一般に募集されること ロ 教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること |
⑶ | 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(令和3年4月1日以降に支出する出資に関する業務に充てられることが明らかなものならびに上記(1)および(2)に該当するものを除きます。) |
⑷ | 特定公益信託のうち、その目的が教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭 |
⑸ | 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるものおよび政治資金規正法に違反するものを除きます。) |
⑹ | 認定特定非営利法人等(いわゆる認定NPO法人等)に対する寄附金のうち、一定のもの(寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるものおよび令和3年4月1日以降に支出する出資に関する業務に充てられることが明らかなものを除きます。) |
⑺ | 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(800万円を限度(令和2年12月31日までは1,000万円)とします。) |
注1 なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金および公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができます。尚詳細については、国税局HPの下記の①、➁、➂をご参照ください。
①コード1260「政党等寄附金特別控除制度」、➁コード1263「認定NPO法人に寄附をしたとき」または、➂コード1266「公益社団法人等に寄附をしたとき」を参照してください。
注2 復興指定会社が発行した株式を取得した場合にも寄附金控除の適用を受けられる場合があります(「東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)」をご覧ください。)。
注3 新型コロナウイルス感染症等の影響により、文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対して払戻請求権を放棄した場合に受けられる寄附金控除の適用については、こちらをご覧ください。
なお、上記表⑶の所得税法施行令第217条で定めるものとは、下記の法人をいいます(以下「特定公益増進法人」といいます。)。
法人の種類 | |
イ | 独立行政法人 |
ロ | 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの |
ハ | 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団および日本赤十字社 |
ニ | 公益社団法人および公益財団法人 |
ホ | 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置もしくは学校および専修学校もしくは各種学校の設置を主たる目的とするものまたは私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校もしくは各種学校の設置を主たる目的とするもの |
ヘ | 社会福祉法人 |
ト | 更生保護法人 |
寄付金控除の計算方法
寄附金控除額 = ⑴ と ⑵ の何れか少ない額 - 2000円
⑴ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
⑵ その年の総所得金額等の40%相当額
注1 総所得金額等とは総所得金額{事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額(損益通算後の金額)} + 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額 + 退職所得金額(確定申告が不要な場合でも計算に当たって加算すること。) + 山林所得金額
注2 ただし、次の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額です。
- 純損失や雑損失の繰越控除
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
- 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
- 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
- 特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除
- 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
ふるさと納税との関係
所得税の寄付金控除は上記の通りですが、ふるさと納税(都道府県、市区町村へ寄附した場合です。)に該当した場合はこれ以外にも住民税が減額されます。 所得に制限がありますが、制限内であれば2000円の負担だけで、ふるさと納税が出来ます。 詳細は本HPの住民税のふるさと納税をご参照ください。
相続財産を贈与した場合
相続人が相続財産を贈与した場合は、贈与先により相続税が非課税になる場合があります。
1 国等へ相続財産を贈与した場合の非課税
相続により取得した財産を相続税の申告期限までに、国又は地方公共団体等の一定の者に贈与した場合には、租税特別措置法第70条《国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等》により当該贈与した財産の価額は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入しないこととされています。
2 特定公益信託に係る相続税の非課税
相続により取得した財産を相続税の申告期限までに、特定信託会社(その公益信託が、教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められるなど一定のものであること)に贈与した場合には、当該贈与した財産の価額は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入しないこととされています。
住宅取得控除
現金で取得した場合
認定住宅等新築等特別税額控除
下記の住宅を現金で取得して期限内に居住の用に供した場合は一定の要件の下で、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅または特定エネルギー消費性能向上住宅(以下「認定住宅等」と総称します。)の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントに相当する金額を、その年分の所得税額から控除(認定住宅等新築等特別税額控除)することができます。 またその年に控除しきれなかった場合はその翌年に控除することができます。
注1 住宅を現金で取得した場合に適用されます。 ただし住宅ローン控除との選択適用になります
注2 居住年およびその翌年の合計所得金額が3000万円以下であること
種類 | 期間 |
認定長期優良住宅の新築または取得(以下「新築等」といいます) | 平成21年6月4日から令和5年12月31日までの間に居住の用に供したとき |
認定低炭素住宅の新築 | て平成26年4月1日から令和5年12月31日までの間に居住の用に供したとき |
特定エネルギー消費性能向上住宅の新築 | 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に居住の用に供したとき |
認定住宅等の控除額の計算
控除額は、認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントです(算出された控除額のうち100円未満の端数金額は切り捨てます。)。
居住の用に供した年 | 対象となる認定住宅 | 標準的なかかり増し費用の限度額(認定住宅限度額) | 控除率 |
平成26年4月1日から 令和3年12月31日まで | ①認定長期優宅住宅、 ➁認定低炭素住宅 | 650万円 (注) 上記の認定住宅限度額は、認定住宅の新築等に係る対価の額または費用の額に含まれる消費税額等(消費税額および地方消費税額の合計額をいいます。以下同じです。)のうちに、8%または10%の税率により課されるべき消費税額等が含まれている場合であり、それ以外の場合の認定住宅限度額は500万円です。 | 10% |
令和4年1月1日から 令和5年12月31日まで | ①認定長期優良住宅 ➁認定低炭素住宅、 ➂特定エネルギー消費性能向上住宅 | 650万円 | 10% |
(認定住宅等の標準的なかかり増し費用とは)
平成26年4月1日から令和5年12月31日までの間に居住の用に供した場合には、[令和3年12月31日以前に居住の用に供した場合の対象は認定長期優良住宅および認定低炭素住宅]、認定住宅等の構造の区分にかかわらず、1平方メートル当たり定められた金額[45,300円(平成26年4月1日から令和元年12月31日は43,800円)]に、その認定住宅の床面積を乗じて計算した金額をいいます。
(そ の 他)
既存住宅について一定の要件を満たす(1)住宅耐震改修をしたとき、(2)バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や省エネ改修工事を併せて行うものに限ります。)をしたときまたは、それぞれ所定の方法で計算した金額を、その年分の所得税額から控除する「住宅耐震改修特別控除」、「住宅特定改修特別税額控除」の適用を受けることができます。
ローンで取得した場合
住宅ローン等を利用して住宅の新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合で、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の適用を受けることができます。
住宅借入金等特別控除は、一般住宅、認定優良住宅等、その種類と、居住年で控除金額、控除期間及び条件に相違いがあり、相当複雑ですので詳細は下記をご参照ください。
一般住宅の新築等をした場合
認定住宅の新築等をした場合
中古住宅を取得した場合
増改築等をした場合
適用になる住宅ロ-ンについて
住宅ローン控除全般について
合計所得金額とは
次の①と➁の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。
① 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
➁ 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
注1 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)を加算した金額です。
注2 総所得金額等で繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。
青色申告と白色申告ではどちらが有利
概要
不動産所得、事業所得及び山林所得を生ずべき業務を行う人は、個人の確定申告では白色申告と青色申告があり、税制面では青色事業専従者給与、損失金の繰越控除、青色申告控除等有利な面があり、一定の帳簿書類の作成及び保存の条件がついていますが青色申告をお勧め致します。
申請手続き
不動産所得、事業所得及び山林所得を生ずべき業務を行う人はその年以後の各年分の青色申告書の提出の承認を受けようとする場合、その年の3月15日まで(その年1月16日以後事業を開始した場合は事業開始した日から2月以内)に、青色申告承認申請書を提出しなければならない。
確定申告をしなければならない人
一般の人
総所得金額、その他分離課税金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額が雑損控除その他の所得控除の合計額を超え、その超える金額に税率を適用して計算した金額が配当控除の額及び年末調整に係る住宅借入等特別控除の額との合計額を超える人は、確定申告をしなければならない。
*その他分離課税所得
①分離短期、長期譲渡所得
➁分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額
➂一般株式等、上場株式等に係る譲渡所得等の金額
➃先物取引に係る雑所得金額
(ただしそれぞれの損失及び繰越損失控除後の金額)
給与所得者
一般的に年末調整を行った人は確定申告の必要はありませんが次に該当する人は確定申告の必要が有ります。
①収入金額ガ2000万円を超える人
➁一か所から給与等支払を受けている人で給与所得及び退職所得以外の所得が20万円を超える人
➂二箇所以上から給与等の支払を受けている人で年末調整を受けていない従たる給与等の金額と給与所得及び退職所得以外の所得が20万円を超える人
ただしその年の中の給与等の金額から社会保険控除の額、小規模企業共済掛金の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦控除の額、ひとり親控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額及び扶養控除の額の合計額を差し引た残額が150万以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の人は確定申告の必要は有りません
➃同族会社の役員等がその同族会社から貸付金の利子を受けている人又は動産、不動産等の資産の賃借料などの対価を受けている人
⑤災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けた人
⑥源泉徴収の規定が適用されない給与等の支払を受ける人
退職所得のある人
退職手当等の支払を受ける人で、退職所得の受給に関する申告書を提出して源泉徴収された人は申告の必要はありませんが、そうでない場合は申告の必要があります
公的年金等に係る雑所得のある人
一般の人と同じ方法で必要の有無を判断しますが、その年分の公的年金等の収入金額が400万円以下でかつ公的年金等の全部について源泉徴収された又はされるべき場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは確定申告の必要はありません
死亡又は出国の場合の確定申告
死亡の場合
⑴(被相続人が申告をしなければならない人の場合)
相続人は被相続人がその年の翌年1月1日から3月15日までに申告をしないで死亡した場合又はその年の途中で死亡した場合は相続の開始あったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日(その日前に相続人が出国する場合はその出国の時)までに被相続人のその年の所得について死亡した人の死亡当時の納税地の所轄税務署長に確定申告をしなければなりません
⑵(被相続人が確定損失申告書を提出することができる人の場合)
相続人は⑴に準じ確定損失申告をすることができます
⑶(被相続人ガ還付を受けることができる人の場合)
相続人は⑴に準じ還付を受けるための確定申告書告を提出することができます
出国の場合
確定申告をしなければならない人の場合
①その年の翌年1月1日から3月15日のまでの間に出国する場合はその出国の日までにその年の確定申告書を提出しなければなりません
➁その年の途中で出国する場合はその出国の日までにその年の1月1日から出国までの所得について確定申告書を提出しなければなりません
損失申告書を提出することができる人の場合
⑴準じて確定損失申告を提出することができます
還付申告を提出することができる人の場合
出国時の現況により還付を受けるための確定申告を提出することができます
還付を受けるための確定申告
概要
次に該当する場合は確定申告をしなければならない場合又は確定損失申告をすることが出来る場合を除き、外国税額、源泉徴収税額又は予定納税額の還付を受けるための確定申告書を提出することができます
⑴所得税額の計算上引ききれない外国税額控除の額がある場合
⑵申告納税額の計算上引ききれない源泉徴収税額がある場合
具体的には次のような場合です
①年の途中で退職して年末調整を受けずその年中に他の所得がないため源泉徴収税額ガ過納になる場合
➁災害により住宅又は家財に50%以上の損害を受けたため、災害減免法の規定により所得税の軽減又は免除を受ける場合
➂災害、盗難又は横領により雑損控除をうけることができる場合
➃一定額以上の医療費を支出したため医療費控除を受けることが出来る場合
⑤特定寄付金を支出したため寄付金控除を受けることが出来る場合
⑥政治活動に関する寄付をし場合の所得税の特別控除を受けることができる場合
⑦配当所得があるため配当控除を受けることができる場合
⑧一定の新築住宅及び既存住宅を取得又は増改築したため住宅借入金等特別控除を受けることができる場合
➈バリアフリ-改修工事等及び省エネ改修工事等をしたため住宅借入金等特別控除や所得税額の特別控除を受けることが
できる場合
⑩昭和56年5月31日以前に建築された家屋に耐震改修をしたため、住宅耐震改修特別控除を受けることができる場合
⑪認定住宅の新築等をした場合の所得税の特別控除を受けることができる場合
⑫退職所得の支払いを受ける際に退職所得の受給に関する申告書を提出しなかったため20%の税率で所得税が源泉徴収されている場合
⑶第一期及び第二期分の予定納税額の合計が申告納税額よりも多い場合
更正の請求
制度の概略
所得税及び復興特別所得税の定申告期限後に、申告した税額等に誤りがあり、その結果正しい税額より多く納めてしまった場合、又は確定申告をしなかったために決定を受けた場合に、更正の請求書を提出して、正しい額に訂正することを求める手続です。
更正の請求ができる人
当初申告書の計算誤り等により税額が過大であったり、純損失等の金額が過少であったり、又は還付金額が過少であった人。
提出期限
更正の請求書を所轄の税務署に、法定申告期限から5年以内に提出する必要があります。
注1 還付を受けるための申告書を提出している場合はその提出した日から5年以内です。
注2 裁判の判決等により所得の金額等に異動が生じた場合又は前年分の税額等について更正等があった場合等は、それらの事 実が生じた日の翌日から2月以内に提出する必要があります。
注3 提出期限が土曜日・日曜日及び祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
経営者が会社に債権放棄をした場合の課税関係
経営者が会社に対する貸付金を会社経営の健全化、相続税対策の目的で法人に対して放棄する場合がありますが、この場合の課税関係は下記のようになりますので注意が必要です。
法人側の課税関係
債務免除益として益金算入
債務額を債務免除益として受け入れて法人税の課税対象にする
債務額を債務免除益として受け入れて法人税の課税対象にしますが、その事業年度において控除可能な繰越欠損金の有無や、法人の所得により下記の様に課税関係が変わります。
⑴法人に控除可能な繰越欠損金が有り、繰越欠損金 ≧ 債務免除益の場合
➀債務免除益に対しての法人税の課税は生じません。
➁その事業年度の所得が残りの繰越欠損金を超える場合はその超える部分に対して法人税が課税されます。
⑵法人に繰越欠損金が有り、繰越欠損金 < 債務免除益の場合
➀その事業年度に法人所得がある場合
残りの債務免除益とその事業年度の法人の所得の合計金額に対して法人税が課税されます。
➁その事業年度に法人損失金がある場合
残りの債務免除益とその事業年度の欠損金を相殺し
イ 残りの債務免除益の方が多い場合 → 法人税が課税されます
ロ 残りの債務免除益の方が少ない場合 → 法人税が課税されません
個人側の課税関係
原則
債権放棄をした個人には何の課税もありませんが、債権放棄により債権放棄を受けた同族会社の株式又は出資の評価額が高くなることになった場合は債権放棄を行った株主(出資者)から他の株主(出資者)対して株式又は出資の増加部分に相当するする贈与があったものとして贈与税が発生する可能性が有ります。 よって株式の評価額が高くなるような債権放棄は注意が必要ですので慎重に行ってください。
例外
(贈与税の課税がない場合)
⑴株式又は出資額が高くならない場合債権放棄を受けても評価額が変わらない場合は課税はありません (例えば法人に繰越欠損金が多くて、債務超過の法人の場合で、相続税法の規定による株式(出資)評価額が『0』で、債権放棄を受けた後も『0』である場合)
⑵同族会社の取引相場のない株式等の評価で、原則的評価方式が適用される同族株主以外の株主 (特例的な評価方式の配当還元方式が適用されます)
⑶債務免除を受けた法人の株主(出資者)が1人しかいない場合
⑷増加額の金額が贈与税の基礎控除額以下の場合
参照条文
相続税基本通達9-2
同族会社(法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第10号に規定する同族会社をいう。以下同じ。)の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。(昭57直資7-177改正、平15課資2-1改正)
(1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者
(2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者
(3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
(4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該財産の譲渡をした者
個人と法人の固定資産の交換
法人と個人がそれぞれ所有する資産を交換した場合は、それぞれ下記の様に課税されます
法人側の課税関係
法人が所有していた資産を交換により相手方に引き渡した場合は、原則として引き渡した資産の譲渡益又は譲渡損が課税対象になります。 ただし法人税法50条に該当する場合はその取得資産につき、その交換により生じた差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
交換により取得した資産の圧縮額の損金算入の条件
1年以上の所有期間
1 譲渡資産(その交換により譲渡した2の各号に掲げる資産)および取得資産[2の各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産]は、いずれもがそれぞれの所有者において 1 年以上所有していた固定資産であること
同種の資産
2.交換する固定資産は次のような区分に応じ、いずれかに該当するものであり又同一区分内での交換であること
➀土地(借地権、農地耕作権などの土地の上に存する権利を含む)
➁建物(付属設備及び構築物を含む)
➂機械および装置
➃船舶
⑤鉱業権(租鉱権、採石権などの権利を含む)
同一用途
3.取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること
交換差金
4.交換時の取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額が、これらの資産の価額のうち、いずれか多い価額の 20%に相当する価額を超えないこと
詳細
5 この内容についてのさらに詳しい内容は
その他手続き等
6 この条文の適用を受ける場合は下記の手続きが必要ですので注意が必要です
➀ 確定申告書に同項に規定する減額した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
➁ 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
➂ 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び次項において「適格分割等」という。)により取得資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、第一項に規定する交換により取得をし、譲渡資産の譲渡の直前の用途と同一の用途に供したものに限る。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転する場合において、当該取得資産につき、同項に規定する計算した金額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
➃ 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に同項に規定する減額した金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
⑤ 合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人が適格組織再編成により被合併法人等において第一項又は第五項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(参照条文)
(法人税法第五十条)
内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において、一年以上有していた固定資産(当該内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び第七項において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項及び第七項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたもので、当該被合併法人等と当該内国法人の有していた期間の合計が一年以上であるものを含む。)で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産(当該他の者が適格組織再編成により被合併法人等から移転を受けたもので、当該被合併法人等と当該他の者の有していた期間の合計が一年以上であるものを含む。)で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合において、その取得資産につき、その交換により生じた差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
➀ 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。)
➁ 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
➂ 機械及び装置
➃ 船舶
⑤ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。)
⑵ 前項及び第五項の規定は、これらの規定の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。
⑶ 第一項の規定は、確定申告書に同項に規定する減額した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
⑷ 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
⑸ 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び次項において「適格分割等」という。)により取得資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、第一項に規定する交換により取得をし、譲渡資産の譲渡の直前の用途と同一の用途に供したものに限る。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転する場合において、当該取得資産につき、同項に規定する計算した金額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
⑹ 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に同項に規定する減額した金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
⑺ 合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人が適格組織再編成により被合併法人等において第一項又は第五項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
個人側の課税関係
個人が他の者と固定資産を交換した場合は、原則として交換により譲渡した資産に対して譲渡所得が課税されます。 しかし所得税法58条の適用がある場合は課税の繰り延べによる特例が設けられています。(固定資産が棚卸資産に該当する場合は譲渡所得になりませんので適用されません) すなわち当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなされます。
課税の繰り延べの条件
1年以上の所有期間
1 譲渡資産および取得資産は、いずれもがそれぞれの所有者において 1 年以上所有していた固定資産であること(交換のために取得したと認められるものでないこと)
同種の資産
2.交換する固定資産は次のいずれかに該当するものであり、同一区分内での交換であること
➀土地(借地権、農地耕作権などの土地の上に存する権利を含む)
➁建物(付属設備及び構築物を含む)
➂機械および装置
➃船舶
⑤鉱業権(租鉱権、採石権などの権利を含む)
同一用途
3.取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること
交換差金
4.交換時の取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額が、これらの資産の価額のうち、いずれか多い価額の 20%に相当する価額を超えないこと
その他手続き等
5 この条文の適用を受ける場合の手続き
➀ 確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
➁ 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
(参照条文)
(所得税法58条)
居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。
➀ 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。)
➁ 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
➂ 機械及び装置
➃ 船舶
⑤ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。)
⑵ 前項の規定は、同項の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。
⑶ 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
⑷ 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
⑸ 第一項の規定の適用を受けた居住者が取得資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
電子帳簿保存法の概要
(一部国税庁HPより)
1. 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等の制度の概要
電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。
(1) 国税関係帳簿書類の保存義務者(以下「保存義務者」といいます。)は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4①)。
(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➁)。
注1 「保存義務者」とは、国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいいます(電子帳簿保存法2四)。
注2 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいいます(電子帳簿保存法2三)。具体的には、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等の記録媒体上に、情報として使用し得るものとして、情報が記録・保存された状態にあるものをいいます。
(電子取引の範囲)
電子帳簿保存法第2条第5号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するので、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意が必要です。
番号 | 内容 |
1 | いわゆるEDI取引 |
2 | インターネット等による取引 |
3 | 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。) |
4 | インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引 |
(参考1)電子帳簿保存時の要件
(参考2)電子帳票システム別の対応関係
2. 国税関係帳簿書類のCOMによる保存等の制度の概要
(1) 保存義務者は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及びCOMの保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5①)。
(2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➁)。
(3) 国税関係帳簿書類の電磁的記録による備付け及び保存をもって書類の保存に代えている保存義務者は、一定の要件の下で、そのCOMの保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法5➂)。
(注) 「COM」とは、電子計算機を用いて電磁的記録を出力することにより作成するマイクロフィルムをいいます。電子帳簿保存法では、「電子計算機出力マイクロフィルム」という用語で定義されています(電子帳簿保存法2七)。
3. スキャナ保存制度の概要
⑴ 保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除きます。)の全部又は一部について、その国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により、電磁的記録に記録する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもって国税関係書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法4➂)。
⑵ 国税関係書類のうち、財務省令で除かれるものとしては、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類が定められています(電子帳簿保存法規則2➃)。
⑶ 国税関係書類に記載されている事項を電磁的記録に記録する財務省令で定める装置として、スキャナが定められています(電子帳簿保存法規則2⑤)。
4. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の概要
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています(電子帳簿保存法7)。
5. 個人及び中小企業の具体的対応
1 電子帳簿等保存及びスキャナ保存については、保存義務者が書面で保存するかデータで保存するかを決められるため、いままで通りでも問題ありません。
2 電子取引データ保存は、2024年1月から適用されますので、 検索機能の確保に対応したソフトの導入か、 検索機能の確保ができる検索簿等を作成するかの事前準備が必要です。 また真実性の担保については、タイムスタンプ等の導入は経費がかかりますので、「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」に準拠した事務処理規程(国税庁のホームページからダウンロードすることができます。)を作成することをお勧めいたします。
JIIMA認証情報リスト(適合ソフトの情報)
令和3年度税制改正前においては、電子帳簿保存、電子書類保存及びスキャナ保存制度に関して、申請者の予見可能性を向上させ、またその手続負担を軽減させる観点から、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下、「市販のソフトウェア等」といいます。)を対象に、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の確認(「認証」)を受けたものを利用する場合については、承認申請書の記載事項や添付書類を一部省略することを可能としていました(令和元年(2019年)9月30日以後に行う承認申請から適用。)。
また、電子取引についても、予見可能性向上の観点から、同様にJIIMAによる市販ソフトウェア等の認証制度が設けられています。
令和3年度税制改正において事前承認制度は廃止となりましたが、保存義務者の予見可能性を確保する観点や優良な電子帳簿の普及促進の観点から、引き続き認証を受けた市販のソフトウェア等について、以下のリンク(JIIMA公式サイト)に掲載されていますので、ご確認ください。
要件適合性に関する事前相談窓口(自前で作成する場合)
電子帳簿等保存制度を利用するため、各企業等において受託開発されるシステムや自社開発のシステムを対象に、電子帳簿保存法における要件適合性に関する事前相談の窓口を設けています。
税務署所管の法人又は個人事業者の方
税務署 | 担当部門 |
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各税務署 | 法人課税部門 又は 個人課税部門 |
国税局又は沖縄国税事務所所管の法人
国税局等 | 担当課 |
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東京国税局、大阪国税局及び名古屋国税局 | 調査開発課 電子帳簿保存法担当 |
関東信越国税局 | 調査総括課 電子帳簿保存法担当 |
沖縄国税事務所 | 調査課 電子帳簿保存法担当 |
上記以外の国税局 | 調査管理課 電子帳簿保存法担当 |
※ お問い合わせの際は、担当者に法人名をお伝えください。
※ 制度等に関する一般的なご質問やご相談につきましては、各国税局の電話相談センターにてお受けしております(所轄(又は最寄り)の税務署におかけいただいた後、自動音声に沿って「1」を選択していただきますと、各国税局の電話相談センターにおつなぎします。)。
法人税・所得税と消費税との差異
所得税法、法人税法での取り扱い
令和3年度の税制改正により、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)および法人税に係る保存義務者については、2024年1月1日以後行う電子取引の取引情報に係る電子データうち、電子帳簿等保存及びスキャナ保存は書面に出力して保存することが認められていますが、電子取引データ保存を書面に出力して保存することが廃止されています。 その電子データを一定の要件の下、保存しなければならないこととされています。
消費税の取り扱い
消費税法での取り扱いについては、消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して、令和4年1月1日以後も引き続き、その電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められています。