所得 賃貸不動産の譲渡
賃貸不動産の譲渡
概略
所得税法では、不動産の賃貸物件から得られる収入は各年分の不動産所得に該当しますが、賃貸物件を譲渡することによる所得は譲渡所得に該当いたします。 また、賃借人がいるままの状態で、当該賃貸物件を第三者に譲渡(通常オ-ナ-チェンジと呼ばれています)することがあります。 この場合の注意点と処理方法を下記に説明いたしますのでご参照下さい。
譲渡するまでの期間(不動産所得)
譲渡した年の1月1日から譲渡の日までの家賃収入から必要経費を控除した不動産所得を計算し、翌年3月15日までに所得税の確定申告を提出する必要があります。(この場合にその家賃収入の内容及び金額により消費税の申告も必要な場合もあります)
不動産所得 = 不動産収入 ― 必要経費 |
(主な不動産収入)
種類 | 内容 |
毎月の家賃収入 | 各月の家賃 |
敷引き収入 | 預り敷金のうち返還しない部分 |
賃借人からの御礼 | 契約時の賃借人からの御礼 |
(主な必要経費)
種類 | 内容 |
不動産管理費 | 不動産の管理を依頼している場合の支払い手数料 |
給与、専従者給与 | 従業員に対する給与 |
水道光熱費 | 当該不動産の電気、水道代等 |
固定資産税 | 当該不動産の固定資産税 |
保険料 | 建物の火災保険料 |
支払利息 | 借入金の支払利息 |
減価償却費 | 減価償却資産の償却費 |
不動産譲渡による所得(譲渡所得)
不動産の譲渡による所得
譲渡所得 = 土地若しくは建物の売却金額 - 取得費 - 譲渡費用 |
オ-ナ-チェンジ物件の注意事項
オ-ナ-チェンジ物件においては、購入者(新オ-ナ-)は当該物件に関する権利や義務も譲渡者(旧オ-ナ-)から引き継ぎます。 したがって旧オ-ナ-が賃借人より預かった敷金も賃借人の退室時に新オ-ナ-が返還する義務も引き継ぐことになります。 これに対して通常は物件を売買したときに買主と売主の間で預かり敷金の精算が行われます。 もし精算が行なわれなかった場合は預かり敷金の処理の仕方によってはついては下記のように異なります。
決済区分 | 具体的に | |
通常方式 | 売買する不動産と区別し預かり敷金を現金決済する方法 | ⑴預かり敷金を旧オ-ナ-から新オ-ナ-に現金支払い ⑵売買代金と預かり敷金を相殺 |
関西方式 | 売買する不動産に「預かり敷金」を含めて決済する方法 | 預かり敷金の決済なし |
条件
明細 | 金額 | 明細 | 金額 |
土地売却代金 | 10,000 | 土地の原価 | 10,000 |
建物売却代金 | 10,000 | 建物の原価 | 9,000 |
預り敷金 | 2,000 |
仕訳
区分 | 譲渡者(旧オ-ナ-) | 購入者(新オ-ナ-) | ||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
通常方式 | 現金 10,000 | 土地 10,000 | 土地 10,000 | 現金 10,000 |
現金 10,000 | 建物 9,000 | 建物 10,000 | 現金 10,000 | |
固定資産売却益 1,000 | ||||
預り敷金 2,000 | 現金 2,000 | 現金 2,000 | 預り敷金 2,000 | |
関西方式 | 現金 10,000 | 土地 10,00 | 土地 10,000 | 現金 10,000 |
現金 10,000 | 建物 9,000 | 建物 10,000 | 現金 10,000 | |
固定資産売却益 1,000 | ||||
預り敷金 2,000 | 固定資産売却益 2,000 | 建物 2,000 | 預り敷金 2,000 |