所得 その他所得
利子所得
利子所得とは
利子所得とは次に掲げる所得をいいます。
種 類 |
1 預貯金および公社債の利子 |
2 合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得 |
所得の金額の計算
利子所得 = 利子等の収入金額(源泉徴収される前の金額) |
税額の計算方法
利子所得は、原則として、:源泉分離課税によりその支払を受ける際、利子所得の金額に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率を乗じて算出した所得税・復興特別所得税が源泉徴収され、これにより納税が完結することになり、確定申告をすることはできません。
配当所得
配当所得とは
配当所得とは下記の様な所得です。
明 細 |
1 株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息 |
2 投資法人からの金銭の分配 |
3 投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得 |
所得の計算方
配当所得の金額 = 収入金額 – 株式などを取得するための借入金の利子 |
(注)収入金額から差し引くことができる借入金の利子は、株式など配当所得を生ずべき元本のその年における保有期間に対応する部分に限られます。
なお、譲渡した株式に係るものや確定申告をしないことを選択した配当に係るものについては、収入金額から差し引くことができる借入金の利子には当たりません。
配当所得の源泉徴収
(1)上場株式等の配当等(大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等を除きます。)
15.315パーセント(復興特別所得税を含む)と他に地方税5パーセントの税率により源泉徴収されます。
(2)上場株式等以外の配当等(大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等を含みます。)
20.42パーセント(地方税なし)の税率により所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
(注) 大口株主等とは発行済株式の総数等の3パーセント以上に相当する数または金額の株式等を有する個人。
税額の計算方法
原則
1 総合課税(各種所得の金額を合計して所得税額を計算するというものです)で配当控除の適用を受けることができます。
総合課税になる配当所得
明 細 | |
⑴ | 大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等及び上場株式等以外の配当等については、総合課税の対象となります。 したがって申告分離課税や確定申告不要制度(下記(2)イの「少額配当」である場合を除きます。)を選択することはできません。 |
⑵ | 令和5年10月1日以後に支払われる上場株式等の配当等については、その支払いを受ける方およびその支払いを受ける方を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合(株式等保有割合)が3パーセント以上となる場合、その支払われる配当等については、大口株主等と同様、総合課税の対象となります。 |
例外
1 申告分離課税
上場株式等の配当等(大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等を除きます。)については、申告分離課税を選択することができます(この場合確定申告する上場株式等の配当所得の全額についてしなければなりません。)。
2 確定申告不要制度
配当所得のうち、一定のものについては納税者の判断により確定申告をしなくてもよい制度があります。
⑴ 少額配当である場合(⑵に掲げる配当等を除きます。)
一回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下である場合(少額配当である場合)には、確定申告を要しません。
10万円 × 配当計算期間の月数(注) ÷ 12
⑵ 上場株式等の配当等および投資法人からの金銭の分配の場合(大口株主等が支払を受ける場合を除きます。)
支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず、確定申告を要しません。。
⑶ 特定株式投資信託、公募証券投資信託(公社債投資信託を除きます。)および特定投資法人の投資口の配当等
3 源泉徴収だけで納税が完結する源泉分離課税
私募公社債等運用投資信託および特定目的信託(私募のものに限ります。)の社債的受益権(上場株式等に該当するものを除きます。)の収益の分配については、15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率による源泉徴収だけで納税が完結する源泉分離課税の対象とされています。
不動産所得
不動産所得とは
不動産所得とは下記のような所得をいいます。(ただし事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます。)
区 分 |
土地や建物などの不動産の貸付け |
地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け |
船舶や航空機の貸付け所得 |
不動産所得の計算
不動産所得の金額は、下記のように計算します。
不動産所得の金額 = 総収入金額 - 必要経費 |
総収入金額
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のような付随収入も含まれます。
イ 名義書換料、承諾料、更新料等
ロ 敷金や保証金などのうち、収入が確定したもの
ハ 共益費等(含む電気代、水道代など)
必要経費
不動産収入を得るために直接必要な費用で、主として貸付資産に係る次ぎの様なものが有ります。
1 租税公課
①事業用資産に対する固定資産税(生計を一にする親族の所有する事業用資産の固定資産税も含む) |
➁事業税 |
➂自動車税 |
➃事業用資産の登録免許税(登録により権利が発生する資産は取得価格算入) |
⑤事業用資産の不動産取得税 |
⑥事業所得の利子税 |
*所得税、住民税、相続税、贈与税、延滞税、加算金等は必要経費にならない |
2 損害保険料
事業用建物(事業部分のみ)、事業用資産に対する火災保険
3 減価償却費
1 原則
事業用資産(取得価額が10万円以上の物)の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却費が必要経費になります
2 各種特例計算
A 青色申告者に対する30万円未満の少額特例(所定の手続きにより全額必要経費に算入)
B 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分
C 機械等の特別償却費は普通償却費に加算
D 償却費は強制償却(該当年の償却費はその年の必要経費)
E 生計を一にする親族の所有する事業用資産の償却費は本人の必要経費になります(ただし対価を支払っても必要経費に算入することが出来ません)
F 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます
G リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
区分 | 処理方法 |
所有権移転ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約) | リース料の総額を取得価額に算入し法定耐用年数の期間で償却する |
所有権移転外ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約) | リース料の総額を取得価額に算入しリース期間定額法で償却する(ただし中小企業の場合は一定の条件のもと例外的に支払時に必要経費に算入することが出来る) |
オペレ-ティングリ-ス(途中でキャンセルが出来る契約) | リ-ス料を支払時に必要経費に算入する |
4 修 繕 費
原則
業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は法第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当します。
特例
内 容 |
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。 |
(2) 機械装置の移設(所得税基本通達49-5の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額 |
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態(業務の用に供された時において既に沈下していた土地については、その業務の用に供された時の状態とする。)に回復するために行う地盛りに要した費用の額(その土地の沈下による損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該部分の金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。 |
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。 |
(5) 現に使用している土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額 |
その他特例
(少額又は周期の短い費用の必要経費算入)
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下所得税基本通達37-14までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
内 容 | |
⑴ | その一の修理、改良等のために要した金額(その一の修理、改良等が2以上の年にわたって行われるときは、各年ごとに要した金額。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合 |
⑵ | その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合 |
注 | 上記の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。 |
(災害の復旧費用の必要経費算入)
災害により被害を受けた固定資産(以下この項において「被災固定資産」という。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の額に算入された金額を除く。)を修繕費の額として当該業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
(注意事項)
(1) 被災固定資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災固定資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産の取得又は特別の施設の設置は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の対価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。 |
(2) この取扱いは、令第140条《固定資産に準ずる資産の範囲》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。 |
(形式基準による修繕費の判定)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
内 容 | |
⑴ | その金額が60万円に満たない場合 |
⑵ | その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年12月31日における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合 |
注 | ➀ 前年以前の各年において、令第127条第4項の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一の減価償却資産の取得価額をいうのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産(同項に規定する追加償却資産をいう。以下この項において同じ。)の取得価額との合計額をいうことに留意する。 ➁ 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。 |
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(所得税基本通達37-12、37-12の2、37-13又は37-14の2の適用があるものを除く。)がある場合において、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
注意事項 |
➀ 当該修理、改良等をした固定資産に係る除却損失につき、法第51条第1項又は第4項の規定の適用を受ける場合には、上記により計算された修繕費の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。 |
➁ 当該固定資産の前年12月31日における取得価額については、所得税基本通達37-13の(2)の(注)による。 |
(災害の場合の原状回復のための費用の特例)
災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。
注意事項 |
当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。 |
(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)
業務の用に供されている固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金(令第30条の規定により非課税とされるものを除く。以下この項において同じ。)の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として必要経費に算入することができる。 当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。
注意事項 |
当該補償金の交付を受けた日の属する年の12月31日までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。 |
(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上費)
地盤沈下に基因して、業務の用に供されている防潮堤、防波堤、防水堤等の積上工事を行った場合において、数年内に再び積上工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。
(注) 当該減価償却資産の耐用年数については、耐用年数通達2-3-23参照
(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)
耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出する金額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。
(損壊した賃借資産等に係る修繕費)
居住者が、不動産所得、事業所得又は山林所得(以下この項において「事業所得等」という。)を生ずべき事業の用に供している賃借資産等(賃借若しくは賃貸をしている又は販売をした土地、建物、機械装置等をいう。)につき、契約により修繕等を行うこととされているものでない場合においても、当該賃借資産等が災害により被害を受けたため、当該賃借資産等の原状回復を行い、その費用の額を修繕費として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。
注意事項 |
➀ この取扱いにより修繕費として取り扱う費用の額は、災害損失特別勘定への繰入れの対象とはならないことに留意する。 |
➁ 当該居住者が、その修繕費の額として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額に相当する金額につき賃貸人等から支払を受けた場合には、その支払を受けた日の属する年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。 |
➂ 居住者が賃借している法第67条の2第1項((リ-ス取引に係る所得の金額の計算))に規定するリ-ス資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額及び災害のあった日の属する年の12月31日までに支払った金額を除く。) については、災害のあった日の属する年分において必要経費に算入することができることに留意する。 |
5 青色事業専従者給与(青色申告者で青色事業専従者給与の所定の手続きをした場合)
概 要
所得税の場合、生計を一にする配偶者及びその他の親族に対する経費の支払いは原則的に必要経費に算入出来ませんが、青色申告承認申請書を提出して、承認を受け、かつ、青色事業専従者給与の届出書を提出することで、給与を支払い、必要経費に算入することが出来ます。
専従者の区分 | 給与の内容 |
配偶者の事業専従者給与 | 基本的には同規模事業者の専従者給与に相当する金額ですが、配偶者の勤務時間、資格などにより金額は相当幅広くなると思われます。 |
その他の事業専従者給与 | 基本的に配偶者と同じ |
参考資料 | ちなみに国税庁「申告所得税標本調査結果」によれば令和2年度で専従者給与の額は単純平均で一人当たり平均222万円となっています。 |
青色事業専従者の要件
内 容 | |
⑴ | 生計を一にする親族でその年12月31日現在で年齢15歳以上であること |
⑵ | 専ら青色申告者の事業に従事していること |
専従期間の要件
専ら事業に従事するとは、その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を越えていることをいいます。ただし、次の様な場合には、事業に従事できる期間を通じて1/2を超えればよいことになっています。
内 容 | |
① | 年の途中の開業等その事業が年中を通して行われなかった場合 |
② | 長期の病気などで専従者がその年中を通して事業に従事できない事情があった場合 |
注 | 学生(夜間の学生を除く)、他でアルバイトをしている者、自分で事業をしている者等は専ら事業に従事する事が出来ませんので専従者にはなれません。 |
事業所得の計算
事業所得
事業所得とは、下記の様な事業から生ずる所得をいいます。
農業 |
漁業 |
製造業 |
卸売業 |
小売業 |
サ-ビス業 |
その他の事業 |
事業所得の計算
事業所得 = 総収入金額 - 必要経費 |
総収入金額
総収入金額
総収入金額には、それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額 |
ロ 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額 |
ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等 |
ニ 空箱や作業くずなどの売却代金 |
ホ 仕入割引やリベート収入 |
総収入金額の収入すべき時期
事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日 |
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日 |
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日 |
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日 |
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日 |
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日) |
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日 イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息 その契約により定められている貸付元本の返済日 ロ その他の利息 その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日 ハ 手形の割引料 その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日) |
事業所得と雑所得の区分
事業所得と雑所得の区分の重要性
最近、国の奨励によりサラリ-マンの副業が増えておりますが、その副業が事業所得か、雑所得か判断が非常に難しく、その判断次第で納税額に大きな影響を与えます。 具体的には下記のように取り扱いが分かれます。
項目 | 事業所得 | 雑所得 |
損失の取り扱い | 損益通算が出来て、他の所得金額から損失額を控除できる | 損益通算の対象外 |
青色申告の適用 | 条件次第で申請すれば適用可 ①青色申告特別控除が適用でき、課税所得が減少し税額が少なくなる ②損失の繰り越しが出来るので翌年度以後の税額が少なくなる | 適用なし |
青色事業専従者給与の適用 | 条件次第で申請すれば適用可 必要経費が増えることにより所得が減少し、税額が少なくなる | 適用なし |
損益通算の対象となる所得の範囲
概 要
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
所得の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。
(1) 不動産所得 |
(2) 事業所得 |
(3) 譲渡所得 |
(4) 山林所得 |
その他の所得についての注意事項
(1) 利子所得および退職所得は、所得金額の計算上損失が生じることはありません。
(2) 配当所得、給与所得、一時所得および雑所得の金額の計算上損失が生じることはありますが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。
(3) 生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失は、競走馬の譲渡に係るもので一定の場合を除き、他の各種所得の金額と損益通算できません。
(4) 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの等の損失の金額は、その損失が生じなかったものとみなされ、他の各種所得の金額から控除することはできません。
(5) 申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、株式等に係る譲渡所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。
(6) 申告分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。
(7) 譲渡所得の金額の計算上生じた損失のうち、一定の居住用財産以外の土地建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失がある場合は、土地建物等の譲渡所得以外の所得の金額との損益通算はできません。
「帳簿保存があれば基本的に事業所得と判断」
修正後(令和4年10月7日付)の通達での事業所得・雑所得の考え方を図にすると、次のようになります。
業務に係る雑所得の例示
35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。
⑴ 動産(法第 26 条第1項((不動産所得))に規定する船舶及び航空機を除く。)の貸付けによる所得
⑵ 工業所有権の使用料(専用実施権の設定等により一時に受ける対価を含む。)に係る所得
⑶ 温泉を利用する権利の設定による所得
⑷ 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得
⑸ 採石権、鉱業権の貸付けによる所得
⑹ 金銭の貸付けによる所得
⑺ 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得
⑻ 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得
注意事項
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
【解説】
1 本通達は、業務に係る雑所得に該当する所得を例示するとともに、事業所得と認められるかどうかの判定についての考え方を明らかにしたものです。
2 事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定され、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に区分されるという関係にあります。
3 本通達の(注)の前段では、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」という取扱いを明らかにしています。
この社会通念による判定について、最判昭和 56 年4月 24 日では、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と判示しています。また、東京地判昭和 48 年7月 18 日では、「いわゆる事業にあたるかどうかは、結局、一般社会通念によって決めるほかないが、これを決めるにあたっては営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費した精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」と判示しています。
したがって、その所得を得るための活動が事業に該当するかどうかについて、社会通念によって判定する場合には、上記判決に示された諸点を総合勘案して判定することとなります。
(参考)事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
300 万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務にかかる雑所得 |
300 万円以下 | 業務に係る雑所得 ※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得 |
注意事項
次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
(国税庁HPより一部抜粋)
事業所得の必要経費
1 売上原価
期首棚卸 + 商品等の仕入 - 期末棚卸 |
*棚卸資産とは
①商品 |
➁材料 |
➂消耗機材 |
➃給食材料 |
⑤その他消耗品(貯蔵品に該当するもので毎年一定の購入の仕方の場合は棚卸を計算しないで購入額を必要経費に算入できる) |
2 租税公課
①事業用資産に対する固定資産税(生計を一にする親族の所有する事業用資産の固定資産税も含む) |
➁事業税 |
➂自動車税 |
➃事業用資産の登録免許税(登録により権利が発生する資産は取得価格算入) |
⑤事業用資産の不動産取得税 |
⑥事業所得の利子税 |
*所得税、住民税、相続税、贈与税、延滞税、加算金等は必要経費にならない |
3 給料
従業員及びパ-ト従業員等に支払う給料、賞与及び退職金(以下給与等という)で、下記のように区分します。
区分 | 給料勘定に該当 | 勘定科目 |
社員に支払う給料等 | 〇 | 給料 |
パート従業員に支払う給料等 | 〇 | 雑給 |
製造現場等で働く従業員に支払う給料等 | 〇 | 賃金 |
派遣社員に支払う給料等 | × | 外注費、人材派遣料等(給料には該当しません) |
青色事業専従者に支払う給料等(退職金は除く) | × | 青色事業専従者給与 |
4 青色事業専従者給与
概 要
所得税の場合、生計を一にする配偶者及びその他の親族に対する経費の支払いは原則的に必要経費に算入出来ませんが、青色申告承認申請書を提出して、承認を受け、かつ、青色事業専従者給与の届出書を提出することで、給与を支払い、必要経費に算入することが出来ます。
専従者の区分 | 内 容 | |
配偶者の事業専従者給与 | 基本的には同規模事業者の専従者給与に相当する金額ですが、配偶者の勤務時間、資格などにより金額は相当幅広くなると思われます。 | |
その他の事業専従者給与 | 基本的に配偶者と同じ | |
参考資料 | ちなみに国税庁「申告所得税標本調査結果」によれば令和2年度で専従者給与の額は単純平均で一人当たり平均222万円となっています。 |
青色事業専従者の要件
⑴生計を一にする親族でその年12月31日現在で年齢15歳以上であること |
⑵専ら青色申告者の事業に従事していること |
専従期間
専ら事業に従事するとは、その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を越えていることをいいます。ただし、次の様な場合には、事業に従事できる期間を通じて1/2を超えればよいことになっています。
① | 年の途中の開業等その事業が年中を通して行われなかった場合 |
② | 長期の病気などで専従者がその年中を通して事業に従事できない事情があった場合 |
注意 | 学生(夜間の学生を除く)、他でアルバイトをしている者、自分で事業をしている者等は専ら事業に従事する事が出来ませんので専従者にはなれません。 |
5 修繕費
詳細は別掲1修繕費をご覧ください
①事業用資産の通常の維持管理に要する費用は修繕費に該当します
➁その支出に資本的支出が含まれている場合は区分し修繕部分のみが修繕費になります
➂資本的支出と修繕費の区分
判定基準
判定基準 | 資本的支出 | 修繕費 |
支出金額が10万円未満 | ○ | |
3年周期の支出 | ○ | |
明らかに資本的支出 | ○ | |
30万円未満 | ○ | |
取得価格の10%以下 | ○ | |
割合区分による方法 | 支出金額 - 修繕費 | ①支出金額の30% ➁取得金額の10% ①と➁の少ない金額 |
実質により判定 | 資本的支出の場合 | 資本的支出でない場合 |
6 旅費交通費
①従業員の通勤費 |
➁本人の通勤費(社会通念上妥当な額) |
➂同業者会の参加費(事業の遂行の必要な費用) |
➃海外への渡航費(事業の遂行に直接必要な費用) |
7 交際接待費
①もっぱら事業の運営上必要な経費かどうかにより判断します
*同業者会の定期総会の会合費
➁冠婚葬祭費は原則交際費にはならない(従業員に対する分は福利厚生費として必要経費に該当する)
8 保険料
①事業用建物(事業部分のみ)、事業用資産に対する火災保険 |
➁従業員に対する生命保険で定期保険の掛け金 |
➂従業員に対する傷害保険の掛け金 |
➃従業員に対する労災保険の保険料 |
⑤従業員に対する社会保険の事業主負担分 |
*所得補償保険は必要経費になりません |
9 減価償却費
概 要
事業用資産(取得価額が10万円以上の物)の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却費が必要経費になります
特 例
各種特例計算
A 青色申告者に対する30万円未満の少額特例(所定の手続きにより全額必要経費に算入) |
B 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分 |
C 機械等の特別償却費は普通償却費に加算 |
D 償却費は強制償却(該当年の償却費はその年の必要経費) |
E 生計を一にする親族の所有する事業用資産の償却費は本人の必要経費になります(ただし対価を支払っても必要経費に算入することが出来ません) |
F 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます |
リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
区分 | 処理方法 |
所有権移転ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約) | リース料の総額を取得価額に算入し法定耐用年数の期間で償却する |
所有権移転外ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約) | リース料の総額を取得価額に算入しリース期間定額法で償却する(ただし中小企業の場合は一定の条件のもと例外的に支払時に必要経費に算入することが出来る) |
オペレ-ティングリ-ス(途中でキャンセルが出来る契約) | リ-ス料を支払時に必要経費に算入する |
10 繰延資産
①繰延資産とは個人が支出する費用のうちその効果が支出の日以後1年以上に及ぶ次に掲げるもので10万円以上のもの(前払費用は除く)
A 開業費
事業を開始するまでの期間に支出する広告宣伝費、接待費、旅費、土地建物の賃借料、電気、水道、ガス等の費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
B 開発費
新たな技術、新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓のために特別に支出する費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
C その他
種類 | 細目 | 償却期間 |
公共的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合 | その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合 | その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数 |
共同的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設がその負担者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合 | イ 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の7/10に相当する年数 ロ 土地の取得に充てられる部分の負担金については、45年 |
〃 | (2) 商店街等における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん灯等負担者の共同の用に供されるとともに併せて一般公衆の用にも供されるものである場合 | 5年(その施設について定められている耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数) |
建物を賃借するために支出する権利金等 | 1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上にその建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合 | その建物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになってい | その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合 | 5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)相当する年数 |
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用 | その機器の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間) | |
ノウハウの頭金等 | 5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数) | |
スキー場のゲレンデ整備費用 | 12年 | |
出版権の設定の対価 | 設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年) | |
同業者団体等の加入金 | 5年 | |
職業運動選手等の契約金等 | 契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年) |
11 その他の費用
① 貸倒損失
別掲2 貸倒損失を御参照下さい
得意先が行方不明、資産状況から回収不能が明らかな場合はその債権を貸倒処理することが出来ます
➁ 損害賠償金
事業に関する損害賠償金は故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➂ 従業員の行為によって支払う侵害賠償金
従業員の行為に対して事業主に故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➃ 従業員の交通反則金
事業に関連して従業員の交通反則金を支払った場合も必要経費になりません(所得税法では罰金、科料、過料は必要経費になりません)。 事業に関係しない場合は従業員対する給与として必要経費になります。
⑤ 研究費
事業に直接必要な研究、研修費用は必要経費になります(図書費、学会等の参加費等)
⑥ 貸倒引当金
必要経費算入限度額 = 年末の貸金等の額(社会保険診療報酬の未収分も含む) × 55 ÷ 1000
別掲1 修繕費
(資本的支出の例示)
業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1) 建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る金額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した金額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した金額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる金額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
業務の用に供しているソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注)
1 既に業務の用に供しているソフトウエア又は購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更するための費用のうち、所得税基本通達49-8の2(注)2により取得価額になったもの(所得税基本通達49-8の3により取得価額に算入しないこととしたものを含む。)以外のものは、資本的支出に該当することに留意する。
2 本文の修正等に要した費用(修繕費に該当するものを除く。)又は上記(注)1の費用が研究開発費(自己の業務の用に供するソフトウエアに対する支出に係る研究開発費については、その自己の業務の用に供するソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費に限る。)に該当する場合には、資本的支出に該当しないこととすることができる。
(修繕費に含まれる費用)
業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は法第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(所得税基本通達49-5の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態(業務の用に供された時において既に沈下していた土地については、その業務の用に供された時の状態とする。)に回復するために行う地盛りに要した費用の額(その土地の沈下による損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該部分の金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(少額又は周期の短い費用の必要経費算入)
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下所得税基本通達37-14までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
(1) その一の修理、改良等のために要した金額(その一の修理、改良等が2以上の年にわたって行われるときは、各年ごとに要した金額。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
(注) 上記の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。
(災害の復旧費用の必要経費算入)
災害により被害を受けた固定資産(以下この項において「被災固定資産」という。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の額に算入された金額を除く。)を修繕費の額として当該業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
(注)
1 被災固定資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災固定資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産の取得又は特別の施設の設置は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の対価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
2 この取扱いは、令第140条《固定資産に準ずる資産の範囲》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。
(形式基準による修繕費の判定)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年12月31日における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(注)
1 前年以前の各年において、令第127条第4項の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一の減価償却資産の取得価額をいうのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産(同項に規定する追加償却資産をいう。以下この項において同じ。)の取得価額との合計額をいうことに留意する。
2 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(所得税基本通達37-12、37-12の2、37-13又は37-14の2の適用があるものを除く。)がある場合において、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
(注)
1 当該修理、改良等をした固定資産に係る除却損失につき、法第51条第1項又は第4項の規定の適用を受ける場合には、上記により計算された修繕費の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。
2 当該固定資産の前年12月31日における取得価額については、所得税基本通達37-13の(2)の(注)による。
(災害の場合の原状回復のための費用の特例)
災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。
(注) 当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。
(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)
業務の用に供されている固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金(令第30条の規定により非課税とされるものを除く。以下この項において同じ。)の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として必要経費に算入することができる。 当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。
(注) 当該補償金の交付を受けた日の属する年の12月31日までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。
(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上費)
地盤沈下に基因して、業務の用に供されている防潮堤、防波堤、防水堤等の積上工事を行った場合において、数年内に再び積上工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。
(注) 当該減価償却資産の耐用年数については、耐用年数通達2-3-23参照
(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)
耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出する金額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。
(損壊した賃借資産等に係る修繕費)
居住者が、不動産所得、事業所得又は山林所得(以下この項において「事業所得等」という。)を生ずべき事業の用に供している賃借資産等(賃借若しくは賃貸をしている又は販売をした土地、建物、機械装置等をいう。)につき、契約により修繕等を行うこととされているものでない場合においても、当該賃借資産等が災害により被害を受けたため、当該賃借資産等の原状回復を行い、その費用の額を修繕費として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。
(注)
1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用の額は、災害損失特別勘定への繰入れの対象とはならないことに留意する。
2 当該居住者が、その修繕費の額として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額に相当する金額につき賃貸人等から支払を受けた場合には、その支払を受けた日の属する年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。
3 居住者が賃借している法第67条の2第1項((リ-ス取引に係る所得の金額の計算))に規定するリ-ス資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額及び災害のあった日の属する年の12月31日までに支払った金額を除く。) については、災害のあった日の属する年分において必要経費に算入することができることに留意する。
(国税庁ホ-ムペ-ジより一部抜粋)
別掲2 貸倒損失
貸付金等とは
(所得税基本通達51-10)
法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権」(以下51-12までにおいて「貸金等」という。)には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。
(1) 自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権
(2) 自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金
(3) 事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の債権
(4) 使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等
貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ
(所得税基本通達51-11)
貸金等について次に掲げる事実が発生した場合には、その貸金等の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があったこと。 この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げるものにより切り捨てられたこと。 その切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額を書面により通知したこと。 その通知した債務免除額
(回収不能の貸金等の貸倒れ)
(所得税基本通達51-12)
貸金等につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、当該債務者に対して有する貸金等の全額について貸倒れになったものとしてその明らかになった日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。この場合において、当該貸金等について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとすることはできない。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
(所得税基本通達51-13)
債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下この項において同じ。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、当該売掛債権に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(1) 債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過したこと(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)。
(2) 同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
(更生債権者が更生計画の定めるところにより株式を取得した場合)
(所得税基本通達51-14)
更生債権者が更生計画の定めるところにより、新たに払込み又は現物出資をしないで更生会社(新会社を含む。以下51-15において同じ。)が発行する株式を取得した場合において、当該取得した株式の価額の合計額が当該株式の割当ての基礎とされた債権額に満たないときは、その差額に相当する金額を貸倒れとすることができる。
(更生債権者が更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合)
(所得税基本通達51-15)
更生債権者が更生計画の定めるところにより更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合において、払込みをしなかったとき又は当該株式を取得する権利の価額が当該割当ての基礎とされた更生債権の金額に満たないときは、それぞれ当該更生債権の金額又は当該更生債権の金額と当該株式を取得する権利の価額との差額を貸倒れとすることができる。
(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)
(所得税基本通達51-16)
指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生手続の対象とされなかった更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
(金銭債権の譲渡損失)
(所得税基本通達51-17)
金銭債権を譲渡したことにより生じた損失の金額については、当該損失が当該譲渡により実質的に贈与したと認められる場合に生じたものである場合を除き、当該損失の金額に相当する金額の貸倒れによる損失が生じたものとして、法第51条第2項若しくは第4項、第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》又は第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定を適用する。
(国税庁ホ-ムペ-ジ一部参照)
給与所得
給与所得とは
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(給与等)にかかる所得をいいます。 また事業専従者控除及び青色事業専従者給与はそれぞれ事業専従者、青色事業専従者の給与所得にかかる収入金額とみなされます。
所得の計算方法
給与所得の金額 = 収入金額(源泉徴収される前の金額) - 給与所得控除額 (注) 給与所得控除のほか、条件によっては、特定支出控除や所得金額調整控除を控除することができる可能性があります。 |
収入金額
(現物給与)
収入金額には、金銭で支給されるもののほか、給与の支払者から受けた次のような経済的利益も含まれます。
⑴ 商品などを無償または低い価額で譲り受けたことによる経済的利益
⑵ 土地や建物などを無償または低い使用料で借り受けたことによる経済的利益
⑶ 金銭を無利息または低い利息で借り受けたことによる経済的利益
(医師又は歯科医師が受け取る休日、夜間診委嘱料等)
医師又は歯科医師が地方公共団体等が開設する病院等で、休日、祭日又は夜間に診療等を行った場合に地方公共団体等から受ける委嘱料等
注 医師又は歯科医師が休日、祭日又は夜間に診療等を行った場合に地方公共団体等から受ける委嘱料等は事業所得の総収入金額に参入しなければなりません。
給与所得控除
給与所得には必要経費の代わりに所得税法で定めた給与所得控除額があり、収入金額から引くことができます。
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から | 1,800,000円まで |
1,800,001円から | 3,600,000円まで |
3,600,001円から | 6,600,000円まで |
6,600,001円から | 8,500,000円まで |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
詳細は下記をご参照ください。
給与所得者の特定支出控除
給与所得者については、給与所得控除とは別に、特定支出控除が認められています。
これは、給与所得者のその年中の特定支出の額の合計額が「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超える場合に、確定申告によりその超える部分の金額をさらに差し引くことができる特例です。
(適用要件)
給与所得者が次の⑴から⑺の費用のうち一定の要件を満たす特定支出をした場合で、その年中の特定支出の額の合計額が[特定支出控除額の適用判定の基準となる金額]を超えるとき。
特定支出控除額の適用判定の基準となる金額とは その年中の給与所得控除額の2分の1
番号 | 費用項目 |
⑴ | 通勤費 |
⑵ | 職務上の旅費 |
⑶ | 転居費 |
⑷ | 研修費 |
⑸ | 資格取得費 |
⑹ | 単身赴任者の帰宅旅費 |
⑺ | 勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等) 勤務必要経費は65万円が上限です |
(注)①平成25年分から適用分
弁護士などの特定の資格取得費や勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等)
➁令和2年分から適用分
職務上の旅費
詳細は下記をご参照ください。
所得金額調整控除
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するというものです。
1 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除(年末調整において適用可能)
その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者(適用対象者に該当する者)で、総所得金額を計算する場合に所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
(適用対象者) いずれかに該当する者
⑴ 本人が特別障害者に該当する者
⑵ 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
⑶ 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者
(所得金額調整控除額)
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額※
※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。
年末調整においてこの控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。
(注)この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。したがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。
2 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
その年において、適用対象者に該当する者の総所得金額を計算する場合に、所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです(注)。
(適用対象者)
その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者
(所得金額調整控除額)
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額(注)
(注)上記の「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用がある場合はその適用後の給与所得の金額から控除します。
詳細は、下記を参照ください。
税額の計算方法
(原 則)
他に所得がない場合等には、勤務先において行われる年末調整を受けることによって確定申告を行う必要がありません。
(例 外)
⑴ 還付を受ける場合
下記の様な人は確定申告をすれば税金が還付されますので、還付を受けるための確定申告をすることができます。
① 年の途中で退職した人で源泉徴収税額があり確定申告すれば税金が還付される人。
② 医療費控除、寄付金控除、雑損控除などを受けることができる人。
⑵ 確定申告をしなければならない場合
① 年間の給与収入の金額が2千万円を超える人。
➁ 1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得以外の所得のある人で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計 額が20万円を超える人。
➂ 2か所以上から給与の支払いを受けている人で、従たる給与等の金額と給与所得及び退職所得以外の所得合計額が20万円を超える人。
➃ 一定の同族役員等。
譲渡所得
譲渡所得とは
譲渡所得とは、下記の様な資産を含む資産の譲渡による所得をいいます。
土地、借地権、建物、株式等、 金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、配偶者居住権、配偶者敷地利用権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)など。
なお、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。
譲渡所得の課税方法の概略
譲渡所得の課税方法は譲渡した資産の種類より、下記のように課税方法が異なります。
課税方法 | 譲渡資産の種類 | 税率 | |
総合課税 | 一般の資産(下記以外のもの) | 総合課税による一般税率 | |
株式等 | ①ゴルフ会員権の譲渡に類似するもの | ||
分離課税(土地建物等) | ②短期所有土地の譲渡に類似するもの | 30% | |
分離課税(株式等)「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」 | ➂上記①及び②以外の株式等で上場株式に該当するものに係る譲渡 | 15% | |
分離課税 (株式等) 「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」 | ④上記①から➂以外の株式等で一般株式に該当するものに係る譲渡 | 15% | |
分離課税(土地建物等) 短期譲渡所得 長期譲渡所得 | 土地(借地権等の土地の上に存する権利を含みます。)および建物等 | 課税短期譲渡所得 30% 課税長期譲渡所得 15% | |
分離課税(先物取引に係る雑所得等の金額) | 上場カバードワラント | 15% | |
店頭カバードワラント |
(注) 平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付することになります。
1 総合課税 譲渡所得の金額を事業所得や不動産所得などの他の所得と一緒に総所得金額に算入し、税額を計算します。
2 分離課税 それぞれの譲渡所得金額についての税額を、他の所得と区分し、それぞれの所得の種類ごとに税額を計算します。
株式等の課税の仕方は複雑ですので下記にてご確認下さい。
譲渡の意義
譲渡とは、有償無償に関係なく、資産の所有権を移転させる一切の行為をいいます。 通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
また、次の場合にも資産の譲渡があったものとされます。
(1) 法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
次のイまたはロのような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいいます。以下同じ。)で資産の譲渡があったものとされます。
イ 法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡
ロ 限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます。)
(2) 1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者が国外転出等をする場合
(3) 地上権や賃借権、地役権を設定して権利金などを受け取った場合
建物や構築物を所有するための地上権や賃借権(以下「借地権」といいます。)の設定などにより受ける権利金などについても、その金額が借地権の設定された土地の時価の2分の1(地下または空間について上下の範囲を定めたものである場合等は4分の1、大深度事業と一体的に施行される事業により設置される施設等の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めたものである場合は4分の1にさらに一定の割合を乗じたもの)を超える場合には、譲渡所得の対象とされます。
(4) 資産が消滅することによって補償金などを受け取った場合
収用などにより、借地権、漁業権などの資産が消滅したり、その価値が減少することにより一時に補償金などを受け取ったときは、その補償金などは譲渡所得の対象とされます。
(5) ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式の返還または移転があった場合
(6) 特定従事者がストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を保有したまま国外転出する場合
譲渡所得以外の所得として課税されるもの
下記のような資産の譲渡による所得は事業所得や雑所得、山林所得として課税されます。
(事業所得になる場合)
⑴ 事業所得者が商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などの棚卸資産を譲渡した場合の所得。
(山林所得になる場合)
⑵ 山林を伐採して譲渡した場合または立木のまま譲渡した場合の所得。
(雑所得になる場合)
⑶ 不動産所得や山林所得、雑所得を生ずる業務を行っている者がその業務に関して上記(1)の棚卸資産に準ずる資産を譲渡した場合の所得。
(事業所得または雑所得になる場合)
⑷ 使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)を譲渡した場合の所得。
⑸ 山林を取得してから5年以内に伐採して譲渡したり立木のまま譲渡した場合の所得。
⑹(1)から(5)までの資産以外の資産を相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合の所得。
所得税の課税されない譲渡所得
下記のような資産の譲渡による所得は課税されません。
(所得税法の規定による非課税)
(1) 生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とう及び美術工芸品などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
(2) 強制換価手続による資産の譲渡による所得
資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合に、強制換価手続(滞納処分や強制執行、担保権の実行としての競売、破産手続等)により、資産を譲渡したことによる所得および強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡代金の全部が債務の弁済に充てられたものです。
(租税特別措置法の規定による非課税)
(3) 貸付信託の受益権等の譲渡による所得
(4) 国または地方公共団体に対して財産を寄附した場合(公益法人等に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合の含む)の所得
法人に対して財産を贈与または遺贈(以下「寄附」といいます。)した場合には、時価で財産の譲渡があったものとされますが、国や地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合には、その寄附はなかったものとみなされます。
(5) 国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得
特定の重要文化財(土地を除きます。)を国、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立科学博物館、地方公共団体、一定の地方独立行政法人または一定の文化財保存活用支援団体に譲渡した場合の譲渡所得については、課税されません。
(6) 財産を相続税の物納に充てた場合の所得
財産を相続税の物納に充てた場合には、その財産の譲渡はなかったものとみなされます。
ただし、物納の許可限度額を超える価額の財産を物納した場合には、その超える部分は譲渡所得の課税対象になります。
(7) 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の所得
中小企業者である法人の取締役等でその法人の債務の保証人であるものが、その法人の事業の用に供されている資産を、債務処理計画に基づき令和7年3月31日までの間にその法人に贈与した場合には、一定の要件の下、その贈与はなかったものとみなされます。
所得の計算
譲渡所得の金額 = 譲渡金額 - (取得費+譲渡費用) |
(1)取得費とは、売った資産を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額をいいます。
(注1) 時の経過に伴って減価する資産は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。
(注2) 土地や建物の取得費が不明の時、または実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)として計算することができます。
(2)譲渡費用とは、資産を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分
総合課税の場合と土地建物等の分離課税の場合では長期、短期の区分の仕方が異なっていますので、注意が必要です。
1 総合課税の場合
総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。
①長期譲渡所得 所有期間が5年を超えている場合です。 (所得-譲渡所得の特別控除)×1/2が総所得金額に算入されます。
②短期譲渡所得 所有期間が5年以内の場合です。 (所得-譲渡所得の特別控除)が総所得金額に算入されます。
2 土地建物等の分離課税の場合
所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行います。
①長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
②短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。
(注)相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することになっています。
税額の計算
1 総合課税の場合
課税総所得金額 × 税率 |
2 分離課税の場合
それぞれの課税所得金額 × 税率(租税特別措置法の規定によるそれぞれの税率) |
一時所得
一時所得とは
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び雑所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
具体的な内容
一時所得には、次のようなものがあります。
⑴ 懸賞の賞金品、権利の当選金品、遺失物拾得者の受ける報労金(業務に関して受けるものを除きます。)
⑵ 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
⑶ 生命保険契約等に基づく一時金又は退職共済契約若しくは退職年金契約に基づいて支払われる一時金(退職所得に該当するものを除く)
⑷ 損害保険契約等に基づく満期返戻金等
⑸ 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
⑹ 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
⑺ 資産の移転等の費用に充てるたにめ受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
⑻ 借家人の受け取る立退料のうち一定のもの
所得の計算方法
一時所得の金額 = 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) (注) 収入を得るために支出した金額 とはその収入を得るために、直接要した金額に限ります。 |
税額の計算方法
一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を事業所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求め、税額を計算します。
ただし、懸賞金付預貯金等の懸賞金等や、一時払い養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。
(注) 平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます。
雑所得
雑所得とは
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。 具体的には下記の様な所得が該当します。
(具体例)
区分 | 詳細 |
公的年金等 | 国民年金、厚生年金、共済年金等 |
生命保険契約等に基づく年金 | 公的年金に該当しない年金等 |
損害保険契約等に基づく年金 | 損害保険契約等に基づいて受ける年金 |
山林を取得の日以後5年以内に伐採又は譲渡した所得 | ただし事業として行う場合は事業所得 |
営利を目的として継続的に資産を譲渡した場合の所得 | ただし事業として行う場合は事業所得 |
動産の貸付による所得 | ただし事業として行う場合は事業所得 |
作家以外の人の印税、原稿料 | 非事業分 |
非営業貸金の利子 | 非金融業者が行う貸付金利息 |
船舶の貸付による所得 | 総トン20t未満の船舶等の貸付による所得 ただし事業として行う場合は事業所得 |
鉱業権等の使用料 | ただし事業として行う場合は事業所得 |
所得の計算方法
雑所得の金額 =(1)+ ⑵ +(3) |
(1) 公的年金
公的年金等の雑所得 = 収入金額 – 公的年金等控除額 |
(2) 業務に係るもの(副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。)
業務に係る雑所得 = 総収入金額 – 必要経費 |
(3)(1)、(2)以外のもの
その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費 |
税額の計算方法
原則てして雑所得の金額は、事業所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
ただし、一定の先物取引による所得については申告分離課税が適用されます。
所得税の源泉徴収
公的年金等や原稿料・講演料などは、原則として支払の際に源泉徴収が行われます。
なお、定期預金の給付補填金、抵当証券の利息など金融類似商品の収益については、その支払の際に一律20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率で源泉徴収が行われます。これらの所得については、源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。
令和4年分以後の業務に係る雑所得
(参考)事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
300 万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務にかかる雑所得 |
300 万円以下 | 業務に係る雑所得 ※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得 |
(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
令和4年分以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は現金預金取引等関係書類を保存する必要があります。
(注)「現金預金取引等書類」とは、居住者等が上記の業務に関して作成し、または受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、その写しを含みます。)のうち、現金の収受もしくは払出しまたは預貯金の預入もしくは引出しに際して作成されたものをいいます。
また、業務に係る雑所得を有しており、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人が確定申告書を提出する場合には、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になります。
退職所得
退職所得とは
退職所得とは、下記の様な所得をいいます。
1 | 退職により勤務先から受ける退職手当などの所得 |
2 | 社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金 |
3 | 適格退職年金契約に基づいて生命保険会社または信託会社から受ける退職一時金 |
4 | 労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します |
計算方法
1 (原則)
退職所得の金額 = (収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 |
(注) 確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料または掛金がある場合には、その支給額から従業員が負担した保険料または掛金の金額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とします。
2 (例外)
⑴ 退職手当等が「特定役員退職手当等」に該当する場合
退職所得の金額 = 収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額
(注1) 特定役員退職手当等とは役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職手当等のうち、その役員等勤続年 数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます。
(注2) 「役員等勤続年数」とは、退職金等に係る勤続期間のうち、役員等として勤務した期間の年数(1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。
(注3) 「役員等」とは次に掲げる人をいいます。
① 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人ならびにこれら以外の者で法人の経営に従事している一定の者
② 国会議員および地方公共団体の議会の議員
➂ 国家公務員および地方公務員
⑵ 退職手当等が「短期退職手当等」に該当する場合
退職所得の金額 =1+2の合計額
1 Aの金額うち300万円以下の部分 A × 1/2
2 Aの金額うち300万円超える部分 A
(注1) Aの金額とは 退職金の額 - 退職所得控除額
(注2) 短期退職手当等とは短期勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいう。
「短期勤続年数」とは、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下であるものをいい、この勤続年数については役員等として勤務した期間がある場合、その期間を含めて計算します。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、次のように計算します。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円 × 勤続年数(年数の端数は切り上げます) ただし80万円に満たない場合には、80万円 |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数- 20年) |
(注1)障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額となります。
(注2)前年以前に退職金を受け取ったことがあるときまたは同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは、控除額の計算が異なることがあります。
税額の計算方法
退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。
(1)「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人
その退職手当等の支払の際、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告の必要ありません。 ただし各種所得控除や税額控除適用を受けるなどの理由により確定申告書を提出する場合は、確定申告書に退職所得の金額を記載する必要があります。
(2)「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人
退職金等の支払金額の20.42パーセントの所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収されます。 確定申告を行うことにより所得税額および復興特別所得税額の精算をします。
山林所得
山林所得とは
(原則)
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。
(例外)
①山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。
②山林を土地ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。
所得の計算方法
山林所得の金額 = 総収入金額-必要経費-特別控除額 |
総収入金額
譲渡の対価が収入金額となります。
必要経費
必要経費は、植林費などの取得費のほか、育成費、維持管理のために必要な管理費、及び伐採費、運搬費、仲介手数料などの譲渡費用です。
必要経費の特例
伐採または譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林を伐採または譲渡した場合は概算経費控除による必要経費の特例が適用できます。
概算経費控除 = (収入金額-伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額)×50% +伐採費などの譲渡費用
税額の計算方法
山林所得は、他の所得と分離して、5分5乗方式により税額を計算し確定申告することになります。
(注) 5分5乗方式とは 税額 =( 課税山林所得金額 ×1/5× 税率 ) × 5
分離譲渡所得(土地建物等の譲渡)
概要
土地や建物を売却したときの譲渡所得に対する税金は、事業所得等の他の所得と分離(分離課税)して、計算します。
土地建物等の譲渡とは
土地若しくは土地の上に存する権利(以下土地等という)又は建物及びその付属設備若しくは構築物(以下建物等という)の譲渡をいいます。 建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定で所定のものは資産の譲渡とみなされます。
所得の計算方法
譲渡所得 = 土地若しくは建物の売却金額 - 取得費 - 譲渡費用 - [居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除等、雑損失の繰越控除の規定の適用がある場合は、その控除額] |
(取得費とは)
売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額(ただし建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額)をいいます。
また、土地や建物の取得費が不明であったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)として計算することができます。
(譲渡費用とは)
土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分
土地や建物を売ったときの譲渡所得は、次のとおり所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行います。
種類 | 内容 |
長期譲渡所得 | ①譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます |
短期譲渡所得 | ①譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます ②その他土地等の譲渡に類する株式又は出資の譲渡で所定のもの |
所有期間とは
譲渡した土地建物等を取得の日の翌日から引き続き所有していた期間をいいます。 しかし次の場合はそれぞれに規定によります。
区分 | 取得の日 |
次の規定により取得した代替え資産等 ①固定資産を交換し所得税法58条の規定の適用を受けた場合 ➁収容等に伴い代替え資産を取得し課税の特例を受けた場合 ➂交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例を受けた場合 ➃換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例又は特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例を受けた場合 | これらの資産の取得の原因となった譲渡をした旧譲渡資産の取得の日 |
贈与等により取得した資産 ①贈与、相続(限定承認に係るものを除く)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く) | 贈与者、被相続人又は遺贈者が取得した日 |
個人から低額譲渡(譲渡金額が時価の1/2未満で、かつ、その譲渡金額がその取得費及び譲渡費用の合計金額に満たない場合に限る)により取得した資産 | 低額譲渡をした人が取得した日 |
相続(限定承認に係るものに限る)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る)により取得した資産 | その相続又は遺贈を受けた日 |
税額の計算
(長期譲渡所得)
分離課税長期譲渡所得 = 分離長期譲渡所得-所得控除(他の所得から控除しきれない所得控除額)
税額 = 分離課税長期譲渡所得 × 15%
(短期譲渡所得)
分離課税短期譲渡所得 = 分離短期譲渡所得-所得控除(他の所得から控除しきれない所得控除額)
税額 = 分離課税短期譲渡所得 × 30%
ただし、国又は地方公共団体等に譲渡した場合
税額 = 分離課税短期譲渡所得 × 15%
譲渡所得に係る特別控除
分離課税の譲渡所得には各種特別控除があり、それぞれに適合した場合は下記のような特別控除額をその譲渡所得から差し引き、税額を計算できます。
区分 | 控除額 |
1 収用交換等の場合 | 5,000万円 |
2 居住用財産を譲渡した場合 | 3,000万円 |
3 特定土地区画事業のための譲渡 | 2,000万円 |
4 特定住宅造成事業等ための譲渡 | 1,500万円 |
5 特定期間に取得した土地等の長期譲渡 | 1,000万円 |
6 農地保有の合理化等のための譲渡 | 800万円 |
7 低未利用土地等の長期譲渡 | 100万円 |
それぞれの詳細は下記の国税庁HPをご参照下さい