所得 土地建物等の譲渡

土地や建物を売却したときの譲渡所得に対する税金は、事業所得等の他の所得と分離(分離課税)して、計算します。 マイホ-ム等を売却した時はこれに該当します。

土地若しくは土地の上に存する権利(以下土地等という)又は建物及びその付属設備若しくは構築物(以下建物等という)の譲渡をいいます。 建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定で所定のものは資産の譲渡とみなされます。

譲渡所得 = 土地若しくは建物の売却金額 - 取得費 - 譲渡費用 - [居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除等、雑損失の繰越控除の規定の適用がある場合は、その控除額]

譲渡所得の収入金額は、通常、土地や建物の譲渡の対価として買主から受け取る金銭の額です。

買主から受け取る金銭の額以外に下記の様な事由がある場合には、処理欄に記載した金額が譲渡所得の収入金額又は譲渡所得の収入金額に加算されます。

区分処理
金銭の代わりに物や権利などを受け取った場合その物や権利などの時価が収入金額になります。
その他経済的な利益を受けた場合その経済的な利益も収入金額に含まれます。
所有期間に応じて清算した固定資産税(固定資産税の清算金)の支払を受けた場合その清算金の額は譲渡価額に加算されます。
個人が法人に対して土地建物を時価の2分の1を下回る価額で売った場合や贈与した場合その土地建物の時価が収入金額となります。
法人に対して土地建物を現物出資した場合受け取る出資持分や株式の時価が収入金額になります。
債務の弁済のために土地建物を債権者に渡す場合その土地建物の時価が収入金額になります。
借地権など資産の消滅した場合対価として一時に受ける補償金などが収入金額になります。
譲渡代金を2年以上にわたり受領した場合その売却代金の全額がその土地建物を譲渡した年の収入金額になります。
貸家の賃借人(店子)から預かった敷金、保証金等を買主に引き継いだ場合(いわゆる持ち回り保証金がある場合)持ち回り保証金は収入金額に加算されます。
離婚に伴い土地、建物を財産分与をした場合分与した土地建物の時価が譲渡所得の収入になります。
土地建物の負担付贈与負担額が譲渡収入になります。 対象資産の価額はその時の時価

売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額(ただし建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額)をいいます。

また、土地や建物の取得費が不明であったり、実際の取得費が譲渡価額の5パーセントよりも少ないときは、譲渡価額の5パーセントを取得費(概算取得費)として計算することができます。

土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。

立退料とは不動産を貸し付けている場合に、賃借人に立ち退いてもらうために立退料を支払う場合がありますが、その取扱いは次の内容に応じて下記のように取り扱われます。
処理項目立退料の内容
不動産所得の必要経費⑵に該当しない立退料で、不動産所得のもととなっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料
譲渡所得の譲渡経費賃貸している建物やその敷地を譲渡するために賃借人に支払う立退料
土地、建物等の取得費  土地、建物等を取得する場合に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料
土地の取得費(借地権の買戻し)   土地だけを賃貸し、他人に建物を建てさせていた場合、賃借り人(建物の所有者)に立ち退いてもらうための立退料

取得費=取得費の合計額-所有期間中の減価償却費相当額*1

減価償却費相当額とは旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額にその建物を取得してから売るまでの経過年数を乗じて計算します。

(具体的な計算方法)

減価償却費相当額=取得費×0.9×償却率(旧定額法による耐用年数の1.5倍に相当する耐用年数*2)×経過年数*3)

*1 建物の取得価額の95パーセントを限度とします

*2 1年未満の端数は切り捨てます

*3  経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。

取得費=取得費の合計額-建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の合計額(注1)

注1 事業割合が100%でない場合でも100%で計算した金額

取得費=取得費の合計額-[非業務用の期間の減価償却費+業務用の期間の減価償却費]

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、次のとおり所有期間によって長期譲渡所得短期譲渡所得の2つに区分し、税金の計算も別々に行います。

種類内容
長期譲渡所得①譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます
短期譲渡所得①譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます
②その他土地等の譲渡に類する株式又は出資の譲渡で所定のもの

譲渡した土地建物等を取得の日の翌日から引き続き所有していた期間をいいます。 しかし次の場合はそれぞれに規定によります。

区分取得の日
次の規定により取得した代替え資産等
①固定資産を交換し所得税法58条の規定の適用を受けた場合
➁収容等に伴い代替え資産を取得し課税の特例を受けた場合
➂交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例を受けた場合
➃換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例又は特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例を受けた場合
これらの資産の取得の原因となった譲渡をした旧譲渡資産の取得の日
贈与等により取得した資産
①贈与、相続(限定承認に係るものを除く)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)
贈与者、被相続人又は遺贈者が取得した日
個人から低額譲渡(譲渡金額が時価の1/2未満で、かつ、その譲渡金額がその取得費及び譲渡費用の合計金額に満たない場合に限る)により取得した資産低額譲渡をした人が取得した日
相続(限定承認に係るものに限る)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る)により取得した資産その相続又は遺贈を受けた日

(長期譲渡所得)

分離課税長期譲渡所得 = 分離長期譲渡所得-所得控除(他の所得から控除しきれない所得控除額)

税額 = 分離課税長期譲渡所得  × 15%

(短期譲渡所得)

分離課税短期譲渡所得 = 分離短期譲渡所得-所得控除(他の所得から控除しきれない所得控除額)

税額 = 分離課税短期譲渡所得  × 30%

ただし、国又は地方公共団体等に譲渡した場合

税額 = 分離課税短期譲渡所得  × 15%

分離課税の譲渡所得には各種特別控除があり、それぞれに適合した場合は下記のような特別控除額をその譲渡所得から差し引き、税額を計算できます。

区分控除額
1 収用交換等の場合5,000万円
2 居住用財産を譲渡した場合3,000万円
3 特定土地区画事業のための譲渡2,000万円
4 特定住宅造成事業等ための譲渡1,500万円
5 特定期間に取得した土地等の長期譲渡1,000万円
6 農地保有の合理化等のための譲渡800万円
7 低未利用土地等の長期譲渡100万円