所得 事業所得
事業所得の計算
事業所得
事業所得とは、下記の様な事業から生ずる所得をいいます。
番号 | 業 種 |
1 | 農 業 |
2 | 漁 業 |
3 | 製 造 業 |
4 | 卸 売 業 |
5 | 小 売 業 |
6 | サ-ビス業 |
7 | その他の事業 |
事業所得の計算
事業所得 = 総収入金額 - 必要経費 |
総収入金額
総収入金額
総収入金額には、それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額 |
ロ 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額 |
ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等 |
ニ 空箱や作業くずなどの売却代金 |
ホ 仕入割引やリベート収入 |
総収入金額の収入すべき時期
事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日 |
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日 |
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日 |
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日 |
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日 |
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日) |
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日 イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息 その契約により定められている貸付元本の返済日 ロ その他の利息 その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日 ハ 手形の割引料 その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日) |
事業所得と雑所得の区分
事業所得と雑所得の区分の重要性
最近、国の奨励によりサラリ-マンの副業が増えておりますが、その副業が事業所得か、雑所得か判断が非常に難しく、その判断次第で納税額に大きな影響を与えます。 具体的には下記のように取り扱いが分かれます。
項目 | 事業所得 | 雑所得 |
損失の取り扱い | 損益通算が出来て、他の所得金額から損失額を控除できる | 損益通算の対象外 |
青色申告の適用 | 条件次第で申請すれば適用可 ①青色申告特別控除が適用でき、課税所得が減少し税額が少なくなる ②損失の繰り越しが出来るので翌年度以後の税額が少なくなる | 適用なし |
青色事業専従者給与の適用 | 条件次第で申請すれば適用可 必要経費が増えることにより所得が減少し、税額が少なくなる | 適用なし |
損益通算の対象となる所得の範囲
概 要
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
所得の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。
(1) 不動産所得 |
(2) 事業所得 |
(3) 譲渡所得 |
(4) 山林所得 |
その他の所得についての注意事項
(1) 利子所得および退職所得は、所得金額の計算上損失が生じることはありません。
(2) 配当所得、給与所得、一時所得および雑所得の金額の計算上損失が生じることはありますが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。
(3) 生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失は、競走馬の譲渡に係るもので一定の場合を除き、他の各種所得の金額と損益通算できません。
(4) 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの等の損失の金額は、その損失が生じなかったものとみなされ、他の各種所得の金額から控除することはできません。
(5) 申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、株式等に係る譲渡所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。
(6) 申告分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。
(7) 譲渡所得の金額の計算上生じた損失のうち、一定の居住用財産以外の土地建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失がある場合は、土地建物等の譲渡所得以外の所得の金額との損益通算はできません。
「帳簿保存があれば基本的に事業所得と判断」
修正後(令和4年10月7日付)の通達での事業所得・雑所得の考え方を図にすると、次のようになります。
業務に係る雑所得の例示
35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。
⑴ 動産(法第 26 条第1項((不動産所得))に規定する船舶及び航空機を除く。)の貸付けによる所得
⑵ 工業所有権の使用料(専用実施権の設定等により一時に受ける対価を含む。)に係る所得
⑶ 温泉を利用する権利の設定による所得
⑷ 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得
⑸ 採石権、鉱業権の貸付けによる所得
⑹ 金銭の貸付けによる所得
⑺ 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得
⑻ 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得
注意事項
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
【解説】
1 本通達は、業務に係る雑所得に該当する所得を例示するとともに、事業所得と認められるかどうかの判定についての考え方を明らかにしたものです。
2 事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定され、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に区分されるという関係にあります。
3 本通達の(注)の前段では、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」という取扱いを明らかにしています。
この社会通念による判定について、最判昭和 56 年4月 24 日では、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と判示しています。また、東京地判昭和 48 年7月 18 日では、「いわゆる事業にあたるかどうかは、結局、一般社会通念によって決めるほかないが、これを決めるにあたっては営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費した精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」と判示しています。
したがって、その所得を得るための活動が事業に該当するかどうかについて、社会通念によって判定する場合には、上記判決に示された諸点を総合勘案して判定することとなります。
(参考)事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
300 万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務にかかる雑所得 |
300 万円以下 | 業務に係る雑所得 ※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得 |
注意事項
次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
(国税庁HPより一部抜粋)
事業所得の必要経費
1 売上原価
期首棚卸 + 商品等の仕入 - 期末棚卸 |
*棚卸資産とは
①商品 |
➁材料 |
➂消耗機材 |
➃給食材料 |
⑤その他消耗品(貯蔵品に該当するもので毎年一定の購入の仕方の場合は棚卸を計算しないで購入額を必要経費に算入できる) |
2 租税公課
①事業用資産に対する固定資産税(生計を一にする親族の所有する事業用資産の固定資産税も含む) |
➁事業税 |
➂自動車税 |
➃事業用資産の登録免許税(登録により権利が発生する資産は取得価格算入) |
⑤事業用資産の不動産取得税 |
⑥事業所得の利子税 |
*所得税、住民税、相続税、贈与税、延滞税、加算金等は必要経費にならない |
3 給料
従業員及びパ-ト従業員等に支払う給料、賞与及び退職金(以下給与等という)で、下記のように区分します。
区分 | 給料勘定に該当 | 勘定科目 |
社員に支払う給料等 | 〇 | 給料 |
パート従業員に支払う給料等 | 〇 | 雑給 |
製造現場等で働く従業員に支払う給料等 | 〇 | 賃金 |
派遣社員に支払う給料等 | × | 外注費、人材派遣料等(給料には該当しません) |
青色事業専従者に支払う給料等(退職金は除く) | × | 青色事業専従者給与 |
4 青色事業専従者給与
概 要
所得税の場合、生計を一にする配偶者及びその他の親族に対する経費の支払いは原則的に必要経費に算入出来ませんが、青色申告承認申請書を提出して、承認を受け、かつ、青色事業専従者給与の届出書を提出することで、給与を支払い、必要経費に算入することが出来ます。
専従者の区分 | 内 容 | |
配偶者の事業専従者給与 | 基本的には同規模事業者の専従者給与に相当する金額ですが、配偶者の勤務時間、資格などにより金額は相当幅広くなると思われます。 | |
その他の事業専従者給与 | 基本的に配偶者と同じ | |
参考資料 | ちなみに国税庁「申告所得税標本調査結果」によれば令和2年度で専従者給与の額は単純平均で一人当たり平均222万円となっています。 |
青色事業専従者の要件
⑴生計を一にする親族でその年12月31日現在で年齢15歳以上であること |
⑵専ら青色申告者の事業に従事していること |
専従期間
専ら事業に従事するとは、その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を越えていることをいいます。ただし、次の様な場合には、事業に従事できる期間を通じて1/2を超えればよいことになっています。
① | 年の途中の開業等その事業が年中を通して行われなかった場合 |
② | 長期の病気などで専従者がその年中を通して事業に従事できない事情があった場合 |
注意 | 学生(夜間の学生を除く)、他でアルバイトをしている者、自分で事業をしている者等は専ら事業に従事する事が出来ませんので専従者にはなれません。 |
5 修繕費
詳細は別掲1修繕費をご覧ください
①事業用資産の通常の維持管理に要する費用は修繕費に該当します
➁その支出に資本的支出が含まれている場合は区分し修繕部分のみが修繕費になります
➂資本的支出と修繕費の区分
判定基準
判定基準 | 資本的支出 | 修繕費 |
支出金額が10万円未満 | ○ | |
3年周期の支出 | ○ | |
明らかに資本的支出 | ○ | |
30万円未満 | ○ | |
取得価格の10%以下 | ○ | |
割合区分による方法 | 支出金額 - 修繕費 | ①支出金額の30% ➁取得金額の10% ①と➁の少ない金額 |
実質により判定 | 資本的支出の場合 | 資本的支出でない場合 |
6 旅費交通費
①従業員の通勤費 |
➁本人の通勤費(社会通念上妥当な額) |
➂同業者会の参加費(事業の遂行の必要な費用) |
➃海外への渡航費(事業の遂行に直接必要な費用) |
7 交際接待費
①もっぱら事業の運営上必要な経費かどうかにより判断します
*同業者会の定期総会の会合費
➁冠婚葬祭費は原則交際費にはならない(従業員に対する分は福利厚生費として必要経費に該当する)
8 保険料
①事業用建物(事業部分のみ)、事業用資産に対する火災保険 |
➁従業員に対する生命保険で定期保険の掛け金 |
➂従業員に対する傷害保険の掛け金 |
➃従業員に対する労災保険の保険料 |
⑤従業員に対する社会保険の事業主負担分 |
*所得補償保険は必要経費になりません |
9 減価償却費
概 要
事業用資産(取得価額が10万円以上の物)の種類、用途に応じた耐用年数に基づき計算した償却費が必要経費になります
特 例
各種特例計算
A 青色申告者に対する30万円未満の少額特例(所定の手続きにより全額必要経費に算入) |
B 年の途中に取得した資産の償却費は月数按分 |
C 機械等の特別償却費は普通償却費に加算 |
D 償却費は強制償却(該当年の償却費はその年の必要経費) |
E 生計を一にする親族の所有する事業用資産の償却費は本人の必要経費になります(ただし対価を支払っても必要経費に算入することが出来ません) |
F 遊休資産は事業の用に供するため維持補修がされていて、いつでも稼働できる状態にある場合は減価償却をすることが出来ます |
リ-ス料は契約の種類により下記の様に区分されています
区分 | 処理方法 |
所有権移転ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転する契約) | リース料の総額を取得価額に算入し法定耐用年数の期間で償却する |
所有権移転外ファイナンスリ-ス(リ-ス期間中にキャンセルが出来ず、資産に関して発生する費用は自己負担で期間終了時に所有権が移転しない契約) | リース料の総額を取得価額に算入しリース期間定額法で償却する(ただし中小企業の場合は一定の条件のもと例外的に支払時に必要経費に算入することが出来る) |
オペレ-ティングリ-ス(途中でキャンセルが出来る契約) | リ-ス料を支払時に必要経費に算入する |
10 繰延資産
①繰延資産とは個人が支出する費用のうちその効果が支出の日以後1年以上に及ぶ次に掲げるもので10万円以上のもの(前払費用は除く)
A 開業費
事業を開始するまでの期間に支出する広告宣伝費、接待費、旅費、土地建物の賃借料、電気、水道、ガス等の費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
B 開発費
新たな技術、新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓のために特別に支出する費用
60か月で償却 (その支出金額の範囲内の金額をその年の必要桁費に算入する旨を確定申告書に記載した場合は記載した金額が償却費の額とすることが出来ます)
C その他
種類 | 細目 | 償却期間 |
公共的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合 | その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合 | その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数 |
共同的施設の設置又は改良のために支出する費用 | (1) その施設がその負担者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合 | イ 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の7/10に相当する年数 ロ 土地の取得に充てられる部分の負担金については、45年 |
〃 | (2) 商店街等における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん灯等負担者の共同の用に供されるとともに併せて一般公衆の用にも供されるものである場合 | 5年(その施設について定められている耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数) |
建物を賃借するために支出する権利金等 | 1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上にその建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合 | その建物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになってい | その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数 |
〃 | (3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合 | 5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)相当する年数 |
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用 | その機器の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間) | |
ノウハウの頭金等 | 5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数) | |
スキー場のゲレンデ整備費用 | 12年 | |
出版権の設定の対価 | 設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年) | |
同業者団体等の加入金 | 5年 | |
職業運動選手等の契約金等 | 契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年) |
11 その他の費用
① 貸倒損失
別掲2 貸倒損失を御参照下さい
得意先が行方不明、資産状況から回収不能が明らかな場合はその債権を貸倒処理することが出来ます
➁ 損害賠償金
事業に関する損害賠償金は故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➂ 従業員の行為によって支払う侵害賠償金
従業員の行為に対して事業主に故意又は重大な過失がなければ必要経費になります
➃ 従業員の交通反則金
事業に関連して従業員の交通反則金を支払った場合も必要経費になりません(所得税法では罰金、科料、過料は必要経費になりません)。 事業に関係しない場合は従業員対する給与として必要経費になります。
⑤ 研究費
事業に直接必要な研究、研修費用は必要経費になります(図書費、学会等の参加費等)
⑥ 貸倒引当金
必要経費算入限度額 = 年末の貸金等の額(社会保険診療報酬の未収分も含む) × 55 ÷ 1000
別掲1 修繕費
(資本的支出の例示)
業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1) 建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る金額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した金額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した金額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる金額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
業務の用に供しているソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注)
1 既に業務の用に供しているソフトウエア又は購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更するための費用のうち、所得税基本通達49-8の2(注)2により取得価額になったもの(所得税基本通達49-8の3により取得価額に算入しないこととしたものを含む。)以外のものは、資本的支出に該当することに留意する。
2 本文の修正等に要した費用(修繕費に該当するものを除く。)又は上記(注)1の費用が研究開発費(自己の業務の用に供するソフトウエアに対する支出に係る研究開発費については、その自己の業務の用に供するソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費に限る。)に該当する場合には、資本的支出に該当しないこととすることができる。
(修繕費に含まれる費用)
業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は法第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(所得税基本通達49-5の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態(業務の用に供された時において既に沈下していた土地については、その業務の用に供された時の状態とする。)に回復するために行う地盛りに要した費用の額(その土地の沈下による損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該部分の金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(少額又は周期の短い費用の必要経費算入)
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下所得税基本通達37-14までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
(1) その一の修理、改良等のために要した金額(その一の修理、改良等が2以上の年にわたって行われるときは、各年ごとに要した金額。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
(注) 上記の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下所得税基本通達37-14までにおいて同じ。
(災害の復旧費用の必要経費算入)
災害により被害を受けた固定資産(以下この項において「被災固定資産」という。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の額に算入された金額を除く。)を修繕費の額として当該業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、所得税基本通達37-10にかかわらず、これを認めるものとする。
(注)
1 被災固定資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災固定資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産の取得又は特別の施設の設置は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の対価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
2 この取扱いは、令第140条《固定資産に準ずる資産の範囲》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。
(形式基準による修繕費の判定)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年12月31日における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(注)
1 前年以前の各年において、令第127条第4項の規定の適用を受けた場合における当該固定資産の取得価額とは、同項に規定する一の減価償却資産の取得価額をいうのではなく、同項に規定する旧減価償却資産の取得価額と追加償却資産(同項に規定する追加償却資産をいう。以下この項において同じ。)の取得価額との合計額をいうことに留意する。
2 固定資産には、当該固定資産についてした資本的支出が含まれるのであるから、当該資本的支出が同条第5項の規定の適用を受けた場合であっても、当該固定資産に係る追加償却資産の取得価額は当該固定資産の取得価額に含まれることに留意する。
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(所得税基本通達37-12、37-12の2、37-13又は37-14の2の適用があるものを除く。)がある場合において、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。
(注)
1 当該修理、改良等をした固定資産に係る除却損失につき、法第51条第1項又は第4項の規定の適用を受ける場合には、上記により計算された修繕費の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。
2 当該固定資産の前年12月31日における取得価額については、所得税基本通達37-13の(2)の(注)による。
(災害の場合の原状回復のための費用の特例)
災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。
(注) 当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、法51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。
(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)
業務の用に供されている固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金(令第30条の規定により非課税とされるものを除く。以下この項において同じ。)の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として必要経費に算入することができる。 当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。
(注) 当該補償金の交付を受けた日の属する年の12月31日までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。
(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上費)
地盤沈下に基因して、業務の用に供されている防潮堤、防波堤、防水堤等の積上工事を行った場合において、数年内に再び積上工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。
(注) 当該減価償却資産の耐用年数については、耐用年数通達2-3-23参照
(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)
耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出する金額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。
(損壊した賃借資産等に係る修繕費)
居住者が、不動産所得、事業所得又は山林所得(以下この項において「事業所得等」という。)を生ずべき事業の用に供している賃借資産等(賃借若しくは賃貸をしている又は販売をした土地、建物、機械装置等をいう。)につき、契約により修繕等を行うこととされているものでない場合においても、当該賃借資産等が災害により被害を受けたため、当該賃借資産等の原状回復を行い、その費用の額を修繕費として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入しているときは、これを認めるものとする。
(注)
1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用の額は、災害損失特別勘定への繰入れの対象とはならないことに留意する。
2 当該居住者が、その修繕費の額として、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入した金額に相当する金額につき賃貸人等から支払を受けた場合には、その支払を受けた日の属する年分の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。
3 居住者が賃借している法第67条の2第1項((リ-ス取引に係る所得の金額の計算))に規定するリ-ス資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額及び災害のあった日の属する年の12月31日までに支払った金額を除く。) については、災害のあった日の属する年分において必要経費に算入することができることに留意する。
(国税庁ホ-ムペ-ジより一部抜粋)
別掲2 貸倒損失
貸付金等とは
(所得税基本通達51-10)
法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権」(以下51-12までにおいて「貸金等」という。)には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。
(1) 自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権
(2) 自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金
(3) 事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の債権
(4) 使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等
貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ
(所得税基本通達51-11)
貸金等について次に掲げる事実が発生した場合には、その貸金等の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があったこと。 この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げるものにより切り捨てられたこと。 その切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額を書面により通知したこと。 その通知した債務免除額
(回収不能の貸金等の貸倒れ)
(所得税基本通達51-12)
貸金等につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、当該債務者に対して有する貸金等の全額について貸倒れになったものとしてその明らかになった日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。この場合において、当該貸金等について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとすることはできない。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
(所得税基本通達51-13)
債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下この項において同じ。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、当該売掛債権に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(1) 債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過したこと(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)。
(2) 同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
(更生債権者が更生計画の定めるところにより株式を取得した場合)
(所得税基本通達51-14)
更生債権者が更生計画の定めるところにより、新たに払込み又は現物出資をしないで更生会社(新会社を含む。以下51-15において同じ。)が発行する株式を取得した場合において、当該取得した株式の価額の合計額が当該株式の割当ての基礎とされた債権額に満たないときは、その差額に相当する金額を貸倒れとすることができる。
(更生債権者が更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合)
(所得税基本通達51-15)
更生債権者が更生計画の定めるところにより更生会社の株式を取得する権利の割当てを受けた場合において、払込みをしなかったとき又は当該株式を取得する権利の価額が当該割当ての基礎とされた更生債権の金額に満たないときは、それぞれ当該更生債権の金額又は当該更生債権の金額と当該株式を取得する権利の価額との差額を貸倒れとすることができる。
(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)
(所得税基本通達51-16)
指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生手続の対象とされなかった更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
(金銭債権の譲渡損失)
(所得税基本通達51-17)
金銭債権を譲渡したことにより生じた損失の金額については、当該損失が当該譲渡により実質的に贈与したと認められる場合に生じたものである場合を除き、当該損失の金額に相当する金額の貸倒れによる損失が生じたものとして、法第51条第2項若しくは第4項、第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》又は第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定を適用する。
(国税庁ホ-ムペ-ジ一部参照)