法人 課税の特例等
収用等の課税の特例
法人の所有する資産が土地収用法等の規定により収用等され、交付を受けた補償金等(対価補償金および移転補償金などで対価補償金として取り扱うものに限ります。)により代わりの代替資産を取得した場合には、代替資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。
特例の適用要件
この特例の適用を受けるためには、次のいずれの条件も満たすことが必要です。
1 収用等された資産
収用等された資産(以下「譲渡資産」といいます。)が、固定資産であること。 したがって、不動産業者などの棚卸資産につしてはては、この特例は適用されません。
2 代替資産
代替資産は、譲渡資産と同じ種類の資産、譲渡資産と同じ効用を有する他の資産または事業の用に供する減価償却資産もしくは土地等であること。
3 代替資産が所有権移転外リース取引*により取得したものではないこと
代替資産が所有権移転外リース取引により取得したものではないこと。
4 代替資産の取得期間
原則として収用等のあった日から2年以内に代替資産を取得すること。
(注) *所有権移転外リース取引の内容については、当HPの減価償却の所有権移転外リース取引を ご参照ください。
経理方法
この特例を受けるためには、次のいずれかの経理方法を採用する必要があります。
(1) 損金経理直接減額法 |
(2) 確定した決算において積立金として積み立てる方法 |
(3) 決算の確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 |
5000万円特別控除との選択適用
法人が収用等の補償金等についてこの特例を受けない場合には、一定の要件を満たすときに限り、譲渡益の額と5,000万円とのいずれか低い金額を損金算入する所得の特別控除の規定を適用することができます。
計算方法・計算式
圧縮限度額は、次の算式によって計算します。
(算式)
手続方法
この特例を受けるためには、確定申告書等に損金の額に算入される金額を記載するとともに収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書など一定の書類を添付することが必要です。
収用等の特別控除
適用要件
⑴ 当期において法人の資産が土地収用法等の規定により収用され、補償金等を取得していること
⑵ 補償金等の金額>(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費)であること
⑶ 当期のうち同一の年に属する期間中に収用等の圧縮記帳等の適用を受けていないこと
⑷ 最初に買取等の申し出を受けた者に譲渡したものであること
⑸ 一の収用等に係る事業につき収用等の譲渡が2以上ある場合で2以上の年にわたって行われた時は最初に譲渡があった年分の譲渡に限ること
⑹ 収用等による譲渡が、その申し出のあった日から6月を経過した日までに行われること
特別控除の種類と金額
番号 | 適用法律 | 金額金額 |
1 | 土地収用法等の場合(措置法65の2) *詳しくは租税特別措置法65条の2をご参照下さい | 5000万円 |
2 | 特定土地区画整理事業の場合(措置法65の3) *詳しくは租税特別措置法65条の3をご参照下さい | 2000万円 |
3 | 特定住宅造成事業等の場合(措置法65の4) *詳しくは租税特別措置法65条の4をご参照下さい | 1500万円 |
特別控除の計算
⑴ 譲渡益
譲渡益 = 補償金等の金額 - (譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額 + *譲渡経費) *譲渡経費 = 譲渡経費 - 経費補償金 |
⑵ 控除限度額(土地収用法等による譲渡の場合)
①5000万円 - その年にすでに受けた土地収用法等による特別控除額 |
⑶ 特別控除額
⑴ と ⑵ のどちらか低い金額 |
国庫補助金等の圧縮記帳
圧縮記帳
圧縮記帳の意義
法人が国庫補助金等の交付を受けた場合、原則としてその事業年度の課税所得になりますが、一度にその年度の課税所得にすると本来の補助金等の趣旨にそぐわなくなることから、翌年以降に課税の繰り延べをするための会計処理方法です。
国庫補助金等の種類
現在の代表的な国庫補助金等には下記のものが有ります
ものづくり補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
<一般型>
中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援
<グローバル展開型>
中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)
<補助金の金額>
対象経費は機械装置の購入費用、技術導入費、専門家への依頼費用、運搬費用に限定され、支給上限額は500万円から3,000万円と幅が広く、補助率は3分の2となっています。
既存建築物省エネ化推進事業
<対象事業の種類既存のオフィスビル等の建築物の改修>
※ 構造躯体(外皮)、建築設備の省エネルギー改修に関するものを対象とします。
※ 省エネルギー改修に加えてバリアフリー改修を行う場合も対象とします。
※ 工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物の改修、後付の家電等の交換等は対象外とします。
<補助金の額>
支給限度額は5,000万円(設備改修関連は上限2,500万円)、補助率は3分の1以内となっています。
適用要件
⑴ 当期において国庫補助金等の交付を受けること
⑵ 当期において目的資産を取得すること
⑶ 当期末までに国庫補助金等の返還が不要であることが確定していること
⑷ 清算中の法人でないこと
経理方法
この特例を受けるためには、次のいずれかの経理方法を採用する必要があります。
(1) 損金経理直接減額法
(2) 確定した決算において積立金として積み立てる方法 (圧縮積立金認定損)勘定
(3) 決算の確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 (圧縮積立金認定損)勘定
圧縮限度額の計算
⑴ 国庫補助金等の額
⑵ 目的資産の取得価額
⑶ ⑴と⑵のどちらか小さい金額
注1
国庫補助金等の額≧目的資産の取得価額 (目的資産の取得価額 – 1)
国庫補助金等の額<目的資産の取得価額 国庫補助金等の額
償却限度額の計算
この金額を取得価額として償却額を計算 圧縮後の取得価額 = (取得価額-圧縮による損金算入額) |
国庫補助金等の特別勘定
特別勘定設定の意義
特別勘定とは補助金の交付を受けた事業年度に国庫補助金等の返還不要が確定していないこと等のため翌事業年度以降に補助金等の課税を繰り延べる会計方法です。
適用要件
⑴ 当期において既に国庫補助金等の交付を受けていこと
⑵ 当期末までに国庫補助金等の返還不要ガ確定していないこと
経理方法
この特例を受けるためには、次のいずれかの経理方法を採用する必要があります。
⑴ 損金経理
⑵ 確定した決算において積立金として積み立てる方法 (圧縮特別勘定積立金認定損)勘定
⑶ 決算の確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 (圧縮特別勘定積立金認定損)勘定
⑷ 法第43条及び第48条《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、積立金として積み立てる方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。(法人税基本通達 10-1-1)
繰入限度額の計算
交付を受けた国庫補助金等の額相当額
特定資産の買い換えによる圧縮記帳
概 要
法人が、令和8年3月31日までの間に、その所有する特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(取得資産)を取得して、下記⑴、⑵による条件を満たした場合には、圧縮記帳によりその減額した金額を損金の額に算入することができます。
⑴取得の日から1年以内に取得したその資産を事業の用に供した場合または供する見込みである場合
⑵買換した資産について圧縮限度額内で帳簿価額を損金経理により減額した場合等一定の方法で経理した場合
注1 譲渡の日を含む事業年度において特定の資産を取得出来なかった場合は下記をご確認下さい。
譲渡した事業年度に買換資産の取得ができない場合の取り扱い 国税庁へ
圧縮記帳の対象となる買換え
圧縮記帳の対象となる買換えは、下記の様な買換えです
内 容 |
1 航空機騒音障害区域の内から外への買換え(注2) |
2 既成市街地等およびこれに類する一定の区域(人口集中地区)内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する施策の実施に伴う土地等の買換え |
3 長期所有資産の買換え(所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物(その附則設備を含みます。以下3において同じです。)または構築物から国内にある一定の土地等、建物もしくは構築物への買換え) |
4 日本船舶から日本船舶への買換え |
(注1) 既成市街地等の区域内から区域外への買換えは、令和5年4月1日以後に譲渡資産を譲渡して買換資産を取得する買換えについて、対象外になっています。
(注2)令和5年4月1日以後に譲渡資産を譲渡して買換資産を取得する買換えについて、航空機騒音障害区域の買換えの対象となる譲渡資産から、次の区域内にある資産が対象外になっています。
区域内の内容 |
1 令和2年4月1日前に特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法に規定する航空機騒音障害防止特別地区となった区域 |
2 令和2年4月1日前に公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に規定する第二種区域となった区域 |
圧縮記帳の対象となる資産
圧縮記帳の対象となる譲渡資産及び買換資産の詳細は下記をご覧ください。
圧縮記帳を受けるための経理方法
この圧縮記帳の適用を受けるためには、次のいずれかの経理方法で処理する必要があります。
1 損金経理により買換資産の帳簿価額を減額する方法 |
2 確定した決算において積立金として積み立てる方法 |
3 決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 |
計算方法
圧縮限度額
圧縮限度額 | 圧縮基礎取得価額(注1)× 差益割合(注2)× 80(状況によっては60~90)/100(注3、注4) |
(注1) 圧縮基礎取得価額 | 買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡対価の額のうちいずれか少ない金額をいいます。 |
(注2)差益割合 | [譲渡対価の額 − (譲渡資産の帳簿価額 + 譲渡経費の額)] / 譲渡対価の額 |
(注3) 航空機騒音障害区域の買換え(上記「圧縮記帳の対象となる買換え」1)に係る措置について、譲渡資産が防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に規定する第二種区域内にある場合には、100分の70となります。
なお、譲渡資産が次の区域内にある場合の令和5年3月31日までの買換えについては、100分の70となります。
区域内の種類 |
1 令和2年4月1日前に特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法に規定する航空機騒音障害防止特別地区となった区域 |
2 令和2年4月1日前に公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に規定する第二種区域となった区域 |
(注4)長期所有資産の買換え(上記「圧縮記帳の対象となる買換え」3)については、次の場合には、それぞれ次の割合となります。
詳 細 | 割 合 |
1 譲渡資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内にあり、かつ買換資産が東京都の特別区の存する区域内にある場合で、本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴うとき | 100分の60 |
2 譲渡資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内にあり、かつ買換資産が東京都の特別区の存する区域内にある場合で、1以外のとき | 100分の70 |
3 譲渡資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内にあり、かつ買換資産が地域再生法に規定する集中地域(東京都の特別区の存する区域を除きます)内にある場合 | 100分の75 |
4 譲渡資産が東京都の特別区の存する区域内にあり、かつ買換資産が地域再生法に規定する集中地域以外の地域内にある場合で、本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴うとき | 100分の90 |
なお、上記1および4の令和5年3月31日までの買換えについては、それぞれ100分の70および100分の80となります | 100分の70および100分の80 |
手続き
圧縮記帳の適用を受けるためには、確定申告書等に損金の額に算入される金額を記載するとともに特定の資産の買換えにより取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書などの書類を添付する必要があります。 なお、令和6年4月1日以後に譲渡資産を譲渡して買換資産を取得する場合に圧縮記帳の適用を受けるためには、一定の期限までに適用を受ける旨ほか必要事項を記載した届出書を所轄税務署長に提出する必要があります。
借地権の認定課税
概略
法人が所有する土地を他人に賃貸し、賃借人がその土地の上に、建物などを建てたときは、借地権を設定したものと認定されます。 この場合、通常、権利金を収受する慣行がある地域にもかかわらず権利金を収受しないときは、次の場合を除き権利金の認定課税が行われます。
例外 | 詳 細 |
1 | その土地の価額からみて、相当の地代を収受している場合。 なお、相当の地代はおおむね3年以下の期間ごとに見直しを行う必要があります。 |
2 | その借地権の設定等に係る契約書において、将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で遅滞なくその法人の納税地を所轄する税務署長に提出している場合 実際に収受している地代が相当の地代より少ないときは、その差額に相当する金額を借地人に贈与したものとして取り扱います。 |
相当の地代
相当の地代の額とは、原則として、その土地の更地価額(時価)のおおむね年6パーセント程度の金額です。
時価以外の例外
時価によらない場合でも、課税上弊害がない限り次の金額によることも認められています。
(1) その土地の近くにある類似した土地のな合理的に計算した価額
(2) その土地の相続税評価額またはその評価額の過去3年間の平均額
相当の地代を授受することとしたときの手続き
借地権設定に係る契約書において、その後の地代の改定方法について、①土地の価額の値上がりに応じて、その収受する地代の額を相当の地代の額に改訂する方法、➁上記①以外の方法のいずれかによることを定め、遅滞なく「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を借地人と連名で法人の納税地の所轄税務署長に提出することが必要です。
法人と個人の固定資産の交換
概要
法人と個人がそれぞれ所有する資産を交換した場合は、それぞれ下記の様に課税されます
法人側の課税関係
法人が所有していた資産を交換により相手方に引き渡した場合は、原則として引き渡した資産の譲渡益又は譲渡損が課税対象になります。 ただし法人税法50条に該当する場合はその取得資産につき、その交換により生じた差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
交換により取得した資産の圧縮額の損金算入の条件
1年以上の所有期間
1 譲渡資産(その交換により譲渡した2の各号に掲げる資産)および取得資産[2の各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産]は、いずれもがそれぞれの所有者において 1 年以上所有していた固定資産であること
同種の資産
2.交換する固定資産は次のような区分に応じ、いずれかに該当するものであり又同一区分内での交換であること
➀土地(借地権、農地耕作権などの土地の上に存する権利を含む)
➁建物(付属設備及び構築物を含む)
➂機械および装置
➃船舶
⑤鉱業権(租鉱権、採石権などの権利を含む)
同一用途
3.取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること
交換差金
4.交換時の取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額が、これらの資産の価額のうち、いずれか多い価額の 20%に相当する価額を超えないこと
詳細
5 この内容についてのさらに詳しい内容は 国税庁へ
その他手続き等
6 この条文の適用を受ける場合は下記の手続きが必要ですので注意が必要です
番号等 | 内 容 |
1 | 確定申告書に同項に規定する減額した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 |
2 | 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 |
3 | 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び次項において「適格分割等」という。)により取得資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、第一項に規定する交換により取得をし、譲渡資産の譲渡の直前の用途と同一の用途に供したものに限る。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転する場合において、当該取得資産につき、同項に規定する計算した金額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。 |
4 | 合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人が適格組織再編成により被合併法人等において第一項又は第五項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
5 | 合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人が適格組織再編成により被合併法人等において第一項又は第五項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
(参照条文) | (法人税法第五十条) 内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において、一年以上有していた固定資産(当該内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び第七項において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項及び第七項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたもので、当該被合併法人等と当該内国法人の有していた期間の合計が一年以上であるものを含む。)で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産(当該他の者が適格組織再編成により被合併法人等から移転を受けたもので、当該被合併法人等と当該他の者の有していた期間の合計が一年以上であるものを含む。)で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合において、その取得資産につき、その交換により生じた差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。 ➀ 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。) ➁ 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。) ➂ 機械及び装置 ➃ 船舶 ⑤ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。) ⑵ 前項及び第五項の規定は、これらの規定の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。 ⑶ 第一項の規定は、確定申告書に同項に規定する減額した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 ⑷ 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 ⑸ 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び次項において「適格分割等」という。)により取得資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、第一項に規定する交換により取得をし、譲渡資産の譲渡の直前の用途と同一の用途に供したものに限る。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に移転する場合において、当該取得資産につき、同項に規定する計算した金額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。 ⑹ 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に同項に規定する減額した金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。 ⑺ 合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人が適格組織再編成により被合併法人等において第一項又は第五項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
個人側の課税関係
個人が他の者と固定資産を交換した場合は、原則として交換により譲渡した資産に対して譲渡所得が課税されます。 しかし所得税法58条の適用がある場合は課税の繰り延べによる特例が設けられています。(固定資産が棚卸資産に該当する場合は譲渡所得になりませんので適用されません) すなわち当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなされます。
課税の繰り延べの条件
1年以上の所有期間
1 譲渡資産および取得資産は、いずれもがそれぞれの所有者において 1 年以上所有していた固定資産であること(交換のために取得したと認められるものでないこと)
同種の資産
2.交換する固定資産は次のいずれかに該当するものであり、同一区分内での交換であること
➀土地(借地権、農地耕作権などの土地の上に存する権利を含む)
➁建物(付属設備及び構築物を含む)
➂機械および装置
➃船舶
⑤鉱業権(租鉱権、採石権などの権利を含む)
同一用途
3.取得資産を、譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること
交換差金
4.交換時の取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額が、これらの資産の価額のうち、いずれか多い価額の 20%に相当する価額を超えないこと
その他手続き等
5 この条文の適用を受ける場合の手続き
番号等 | 内 容 |
1 | 確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 |
2 | 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 |
(参照条文) | (所得税法58条) 居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。 ➀ 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。) ➁ 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。) ➂ 機械及び装置 ➃ 船舶 ⑤ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。) ⑵ 前項の規定は、同項の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。 ⑶ 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 ⑷ 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 ⑸ 第一項の規定の適用を受けた居住者が取得資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 |
組織再編税制による合併について
概 略
法人が合併する場合はその内容・形態により適格合併または非適格合併に分かれ、下記の様に課税されます。
種類 | 課税方法 |
適格合併 | 被合併法人の合併直前の税務上の資産負債の帳簿価格により強制的に合併法人に引き継ぎます(特に課税は発生しませんし、被合併法人の繰越欠損金も引継ぎが可能です) |
非適格合併 | 被合併法人の資産負債を時価により合併法人に引き継ぎます (移転資産等の譲渡利益又は譲渡損失は被合併法人の最後の事業年度の所得の計算において益金の額又は損金の額に算入します) |
適格・非適格の判定
適格合併の場合は原則として、合併法人の株式のみを対価とすることが求められています
金銭等の交付 | 種類 | 支配関係 | 保有割合以外の要件 | 判定 |
あり | 非適格 | |||
なし | 企業グル-プ内の再編 | 100%の資本関係(完全支配関係がある) | 適格 | |
50%超の資本関係(支配関係がある) | ➀大部分の従業者の引継ぎ 被合併法人の合併直前の従業者のうち、概ね80%以上に相当する数の者が合併法人の業務に従事する事が見込まれること ➁主要な事業の引継ぎ 被合併法人の合併事業が合併法人において合併後において引き続き営まれることが見込まれること | 適格 | ||
➀➁に該当しない場合 | 非適格 | |||
共同事業再編 | 50%以下(支配関係がない) | 共同事業運営で一定のもの(注1) | 適格 | |
上記に該当しない場合 | 非適格 |
合併法人とは 吸収合併における存続法人
被合併法人とは 吸収合併における消滅法人
(注1) 共同事業運営で一定のものとは以下の要件の全てを満たすもの
➀ 大部分の従業者の引継ぎ
被合併法人の合併直前の従業者のうち、概ね80%以上に相当する数の者が合併法人の業務に従事する事が見込まれること
➁ 主要な事業の引継ぎ
被合併法人の合併事業が合併法人において合併後において引き続き営まれることが見込まれること
➂ 事業の相互関連性
被合併事業と合併事業とが相互に関連するものであること
➃ 事業規模又は経営参画のどちらかの要件に適合していること
イ 事業規模
被合併事業及び合併事業のそれぞれの売上金額、従業者数、資本金額等の事業規模の割合が概ね5倍を超えないこと
ロ 経営参画
合併前の被合併法人の特定役員(社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに 準ずる者で法人の経営に従事している者をいう)のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが合併後の特定役員になる事が見込まれること
⑤ 株式継続保有
合併直前の被合併法人の株主で合併により交付される合併法人の全株式を継続保有すると見込まれる者が有する被合併法人の株式数の合計が被合併法人の発行済株式総数の80%以上であること
(被合併法人の株主数が50人未満の場合は⑤の要件が追加されます)
支配関係について
完全支配関係
一の者が法人の発行済株式若しくは出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除きます。以下「発行済株式等」といいます。)の全部を直接若しくは間接に保有する一定の関係又は一の者との間にその一定の関係がある法人相互の関係とされています。
下記の様な関係は完全支配関係に該当します
➀ 一の者がA会社の株式100%を直接所有する関係
一の者とA会社の関係
➁ 一の者がA会社の株式100%を直接及び間接に所有する関係
一の者がA会社の株式80%所有し、B会社(一の者が株式100%所有)が20%所有
一の者とA会社の関係
➂ 一の者との間に完全支配関係がある法人相互間の関係
一の者がA会社の株式100%所有し、同時にB会社の株式100%所有
A社とB社の関係
その他の支配関係
完全支配関係以外の支配関係(50%超100%未満)です。 上記の判定をする場合に関係割合を計算して適格・非適格を判断する必要が有ります。
一の者の範囲
➀ 個人又は外国法人の場合 → 個人又は外国法人
個人又は外国法人がA会社及びB会社のそれぞれ株式を100%所有
A会社B会社はグル-プ法人(完全支配関係あり)
➁ 個人及びその者と特殊関係にある者がいる場合 → 個人及びその個人と特殊関係にある者
A個人がA会社の株式100%所有し、A個人の特殊関係にある人がB会社の株式100%所有
A会社B会社はグル-プ法人(完全支配関係あり)