所得 雑所得

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。 具体的には下記の様な所得が該当します。

(具体例)

区分詳細
公的年金等国民年金、厚生年金、共済年金等
生命保険契約等に基づく年金公的年金に該当しない年金等
損害保険契約等に基づく年金損害保険契約等に基づいて受ける年金
山林を取得の日以後5年以内に伐採又は譲渡した所得ただし事業として行う場合は事業所得 (注)令和4年分以後の業務に係る雑所得
営利を目的として継続的に資産を譲渡した場合の所得ただし事業として行う場合は事業所得
動産の貸付による所得ただし事業として行う場合は事業所得
作家以外の人の印税、原稿料非事業分
非営業貸金の利子非金融業者が行う貸付金利息
船舶の貸付による所得総トン20t未満の船舶等の貸付による所得 ただし事業として行う場合は事業所得
鉱業権等の使用料ただし事業として行う場合は事業所得
雑所得の金額 =(1)+ ⑵ +(3)

(1) 公的年金

公的年金等の雑所得 = 収入金額 – 公的年金等控除額

(2) 業務に係るもの(副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。)

業務に係る雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

(3)(1)、(2)以外のもの

その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいい、給与所得者に該当しない人をいいます。

事業所得又は雑所得の所得金額を計算する場合は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算することになっています。 ただし、納税者が家内労働者等に該当する場合は、必要経費として実際の経費に代えて55万円まで認められる必要経費の特例があります。 この場合の特例の必要経費額は、事業所得や公的年金等以外の雑所得の収入金額が限度になります。

実際にかかった経費の額が55万円未満のときであっても、所得金額の計算上必要経費が55万円まで認められます。

事業所得および雑所得の実際にかかった経費の合計額が55万円未満のときは、必要経費が合計で55万円まで認められます。この場合には、55万円と実際にかかった経費の合計額との差額を、まず雑所得の実際にかかった経費に加えることになります。

(1)給与の収入金額が55万円以上のときは、まづ給与所得控除の55万を給与収入から控除しますので、事業所得又は雑所得に対してこの特例の適用は受けられません。

(2)給与の収入金額が55万円未満のときは、55万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、事業所得や雑所得の実際にかかった経費とを比べて高い方がその事業所得や事業所得の必要経費になります。

上記で計算した結果、所得が基礎控除以下である場合は本人には所得税は課税されません。 また納税者の扶養者に対する配偶者控除、扶養控除を判定する場合、この所得金額で判定されます。

原則てして雑所得の金額は、事業所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。

ただし、一定の先物取引による所得については申告分離課税が適用されます。

公的年金等や原稿料・講演料などは、原則として支払の際に源泉徴収が行われます。

なお、定期預金の給付補填金、抵当証券の利息など金融類似商品の収益については、その支払の際に一律20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率で源泉徴収が行われます。これらの所得については、源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。

(参考)事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)

収入金額記帳・帳簿書類の保存あり記帳・帳簿書類の保存なし
300 万円超概ね事業所得(注)概ね業務にかかる雑所得
300 万円以下業務に係る雑所得
※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得

(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合

令和4年分以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は現金預金取引等関係書類を保存する必要があります。

(注)「現金預金取引等書類」とは、居住者等が上記の業務に関して作成し、または受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、その写しを含みます。)のうち、現金の収受もしくは払出しまたは預貯金の預入もしくは引出しに際して作成されたものをいいます。

また、業務に係る雑所得を有しており、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人が確定申告書を提出する場合には、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になります。